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「2023年 第2回留学“デザイン”Program」開催報告

2023年11月17日(金)夜7時より、海外日本人研究者ネットワークCheiron Initiativeの共催で、2023年第2回目の留学“デザイン”プログラムをオンラインで開催いたしました。
このプログラムは中高生向けで、海外留学経験のある大学生・研究者が日本に在住中の中高生と情報交換し、交流を深め、中高生が自らの手で海外留学をデザインすることを目的としています。
コロナ禍の2020年から始まったこのプログラムは、今年で4年目を迎えています。

今回のプログラムには、熊本高等学校、福岡工業大学附属城東高等学校、駒場東邦高等学校、立川国際中等教育学校などから約30名の生徒が参加してくださいました。

冒頭では、熊本高等学校の早野仁朗先生が「知り合いが増えることが大切。今日のプログラムを通して、年齢を超えて留学の先をデザインしましょう」といった挨拶を行いました。その後、演者として参加いただいた5名の大学生が自己紹介を行いました。

■ドイツ・宗教学・学士課程正規留学

ドイツのハイデルベルク大学からは、久米優里さんにご参加いただきました。
久米さんは、中学校時代にイギリスに、大学時代にはイギリスとドイツに留学されたそうです。
それまでの経験から、ドイツに非常に好印象を持っていたため、現在の大学に入学されたそうです。

大学では宗教学を中心に一部哲学も学んでいるそうです。
ドイツは学費がほとんどかからず、いろいろな面で学生待遇が良いそうですが、講義はドイツ語だけで実施されるとのこと。

レベルの高い講義が行われているため、学生に対してもアカデミックな要求レベルが高いそうです。
外国人学生(アジア人の学生として)として文化研究をヨーロッパで学ぶ意義にも触れて頂きました。

■ドイツ・サッカー留学・修士課程正規留学

同じくドイツからは、ケルン大学に留学中の杉本翔大さんもご参加いただきました。
もともと杉本さんは日本生まれのアメリカ育ちで英語はしゃべることができるそうです。

中学3年生の時にサッカー留学でドイツ・ケルンに渡ったそうです。
今でこそケルン大学大学院でビジネス分析や計量経済学を専攻していますが、サッカー留学の際にはまさかドイツの大学に進学するとは思っていなかったそうです。

ドイツで生活しているうちに友人ができネットワークが広がり、自然な流れでドイツの大学に進学したそうです。
ご自身のキャリアビジョンはまだ決まっていないそうですが、データサイエンティスト、データアナリスト、マーケティング、言語を活かした仕事、サッカークラブでの仕事などが選択肢にあるようです。
「世界のどこにいても幸せになれる自信がある」という強い信念がとても印象的でした。

■オランダ・オペア留学

比嘉美由紀さんからは、「オペア留学」に関するお話を伺いました。皆さん、「オペア」って聞いたことありますか?
「オペラ」ではなく、「オペア」です。「オペア」とはいわゆる「ベビーシッター」的な役割を担う仕事で、ホストファミリーの子供たちをフルタイムでサポートする仕事です。
従って、オペア留学先は「ホストファミリー」となります。

比嘉さんはアメリカでオペア留学を経て、ヨーロッパにも興味を持ち、現在はオランダでオペア留学をされています。
オペア専用の部屋やお風呂があり、子供好きの人にはとても良い留学形態です。
ホストファミリーは比嘉さんを家族の一員として迎え入れ、家族旅行などにも一緒に連れて行ってくれるそうです。

■ドイツ・農業経済学・博士課程正規留学

児玉航さんドイツのゲッティンゲン大学に留学しています。
児玉さんは小中学校時代にマニラやバンコクに滞在する期間があり、その中で海外に住むことが楽しいことに気づき、並行して社会問題にも関心を持つようになったそうです。

大学の在学中にはフィリピンにも留学し、国際イネ研究所でインターンシップを経験されました。
大学院修士課程までは日本で過ごし、博士課程よりゲッティンゲン大学へ進学されたそうです。
経済学や社会問題全般を学ばれており、とりわけ途上国農村の貧困問題、食料問題、エネルギー問題に関心があるそうです。

■アメリカ・交換留学

北海道大学に在籍中の小林哲史さんは、現在、交換留学でアメリカ・シアトルのワシントン大学に滞在しています。
もともとアフリカとの接点が多かった小林さんは、高校時代にケニア、大学二年生の時にはルワンダに訪れたそうです。
現地では環境ボランティアとして野生動物の観察・調査に携わり、「アフリカって簡単に来れるんだな」というのが正直な感想だったと語りました。
多くの学生が集まっていたことから、異なる文化で育った人との交流が楽しかったそうです。

現在は日本の大学に在籍しながら、今年の9月からワシントン大学に留学し、授業、研究、語学に取り組んでいるとのこと。
アメリカの授業が丁寧に設定されていることが、日本との違いとして挙げられました。


以上、5名の留学生が自己紹介を兼ねてこれまでのキャリアパスをお話してくれました。
その後、Zoomを5つのブレイクアウトルームに分割し、各部屋に1名の留学生と数名の中高生が入室しました。運営スタッフも各部屋に1-2名ずつ同席しました。中高生から留学生への様々な質問が飛び交い、留学生たちは一つ一つの質問に丁寧に答えてくれました。
質疑応答は2回行われ、中高生は2回目に別の留学生の部屋に入室することができました。


2回のブレイクアウトルームでの質疑応答の後、再び全員が集まり、各部屋で行われた話を生徒さんたちに簡単に紹介してもらいました。
どの部屋も熱く議論が交わされ、各部屋の報告を聞くだけでもワクワクする感覚を味わうことができました。


最後にはUJA理事の赤木紀之先生(福岡工業大学)からまとめとして、「グローバル化について考えよう」と題して2-3分のお話がありました。
プログラム全体を通して2時間という短い時間でしたが、中高生にとっては記憶に残る有意義な時間となったでしょう。
その後、時間に余裕のある方はそのままZoomに残り、気軽に情報交換が行われました。

2023年の留学”デザイン”プログラムはこれで終了となります。運営スタッフは2024年の開催に向けて、より一層内容を充実させ、中高生たちの興味を引くプログラムを検討しています。来年もぜひお楽しみにしてください。


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