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焼きそばを食べる前と後

電気ポットに水を入れ、コードをコンセントに差し込み、スイッチオン。


徐々にポットの中の水がコポコポと音を立て始める。水が熱湯へと進化している証拠だ。



この間にメインの準備。



テーブルの上に用意されたカップ麺の蓋を開け、付属の加薬やソース、ふりかけを取り出す。



俺の好きなメーカーの焼きそばだ。



事前に加薬を開き、カップの中に入れていくが、ここでちょっとした裏技。



普通の人は麺の上に加薬を開けてしまうが、これだと加薬が蓋についてもったいない。
そこで麺の下に加薬を入れると、湯切りした時に蓋に加薬がつかずに済む。




長年の研究が生み出した小技である。




カチッ





さて、どうやらお湯が沸いたようだ。




熱いお湯を手軽に用意できる電気ポットに感謝。




お湯をカップの線まで注ぎ、蓋をし5分暫しの待ち時間を強いられる。



この時間何回目だろうか。



体感時間5分が経ち、中のお湯を捨て思いっきり蓋を剥がす。



アチッ、蓋についたお湯に襲われてしまった。


 
火傷は跡が残るから嫌だなぁ。



いい感じに解された中太麺にソースとふりかけを一面にかけて完成。



用意された割り箸を割り、いただきます。







カチッ






電気ポットに水を入れ、コードをコンセントに差し込む。




俺は今この工程を千回以上やっている。





白い真四角の部屋で、何度も同じことを。





焼きそばを作り、食べようとした瞬間時間が戻される。



この部屋でわかることは二つ。
俺は誰かの監視下にある。誰かは知らない。

そして身体も作る前に戻るらしい。
先程わざと水滴を飛ばしてみたが、それも元通りになっている。





ここは一体どこなのか。。。






俺はもう一度、焼きそばを作る。





さて、俺が焼きそばを食えるのはいつになるだろうか。



                  【続く】

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