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パナソニックが向き合う多様な組織への変革における痛みと学び

採用課題から組織を多様にする必要性が浮き彫りに

なぜPanasonicは多様な組織へ変化する必要があったのか

ー多様な組織にするに至った背景や課題を教えてください。

パナソニックは社名は知られているものの、採用の場面になると働くイメージできる人が少ないことが課題だと感じていました。人を発掘して声をかけて採用して、さらにいうと配置と育成など「面」で捉えないといけないなと。特に前半の入社に至るまでの共感の部分はもっと力を入れたいと思っていましたまずは現状から変えようと思ったものの、当時のメンバーはほとんどパナソニック、人事、男性中心で同質的。新しいアイディアを出すよりも、やるべきことや守るべきことに集中して目の前の事をこなすのに精一杯。だから、世の中やトレンドが全然見えてなかったんです。

ー実際にどのように取り組んでいったのでしょうか。

マーケットやトレンドを掴める組織にするため、2015年は人事プロパーが83%だったところから、19年に着手して去年までで人事のプロパー人材を3割まで減らしました。キャリア入社の方、僕の在籍していた人材ビジネス会社から出向してもらうなど、様々なキャリア・属性の方にチームに入っていただきました。

人脈が広がるなど、期待していた成果を得られた

ー実際にメンバーの多様性を高めることで、どのように変化したのでしょうか。

人脈が広がり、自分自身が成長したと思います。見えている景色が全然違いますね。採用面での成果として、今までパナソニックに入社してもらえなかったような方々にアプローチできるようになりました。同志社大学や早稲田大学と一緒にカリキュラムをつくり、人材を育成するところから関われるようになり、面白くなってきましたね。

多様になった結果生まれた痛みとは?

「暗黙知」が通じなくなり、コミュニケーションの摩擦が発生

ーそのような変革の途中でmentoを導入されていますよね。採用自体はうまくいきはじめていたかと思うのですが、どのような課題が発生したのでしょうか。

暗黙知が通じなくなったことですね。同質的だと、言わなくてもある程度わかりあえるため、コミュニケーションが少なく理解を得られやすかった。理念などが知らず知らずのうちに身についていて、お互いに同じ認識のもとで話すことができるんです。多様にしたことで、言葉や定義ひとつずつについて悩んだり話し合いをする必要が生まれてきました。自分が持っていた価値観、育ってきた環境によって無意識に積み重なってきたものが、ガラガラと崩れ落ちていくことが何回もありました。
 
自分の意見が意図していない方向で現場に届くなど、コミュニケーションの摩擦が起きていましたね。そのような課題を感じているときに、部下からmentoを紹介してもらい、木村さん(mento CEO)とお話をしました。その中で、第三者の視点が大切だなと、自分のやり方が間違っているのかあっているのか、という自信がほしいということに気付いたんです。

部長や課長が自信を持つためには、第三者の視点が必要なのでは

ーどのような変化を期待していたのでしょうか。

課長や部長に対して、自信を持ってほしいと思っていました。主に、部下や自分との接し方の観点ですね。自分がやってきたことが違うのかも知れない、個性を出していいのだろうか、これ言っていいのだろうかと、彼らは迷っていた。自信を持てたら、メンバーが目指す方向性も統一され、よりみんなが動きやすくなるのではと。

コーチングによって得られた成果

意思が発揮されるようになり、行動のスピードが向上

ー実際にはどのような変化が起きたのでしょうか。

自信を持てるメンバーが増え、行動のスピードがはやくなりました。コーチングで葛藤や価値観と向き合うことで、頭の整理ができるようになった。その結果、意思が明確になり、リーダーシップを発揮できるようになったんだと思います。それが自信につながり、迷いがなくなり、スピードが上がりました。特に、上司と部下の間に挟まれている課長職のメンバーは、自分の思いを部下に自信を持って伝えられるようになりましたね。

ー他にも変化はありましたか?

予想しなかったサプライズだったのですが、コーチになりたいって人が増えたんです。傾聴や人の話を聞く技術に対して「こんなに素晴らしいものなんだ」「人の話を聞くってこんなに人に変化をもたらすんだ」ということに気付いた。自分たちが誰かに話を聞いてもらうことで、傾聴に対する感度が上がり、もっと聞く能力を磨かないといけないのではと、思い始めたんだと思います。

メンバーや学生の話も聞くようになり採用力が上がっていますし、チーム全体の雰囲気もよくなりました。コーチングは、チームという歯車をスムーズにまわす潤滑油のような役割として機能していると思います。

風土や人材など中から変えるためには、コーチングは有効である

ー組織を変革する場合、人事コンサルという手段もあると思います。コーチングとはどのように使い分けているのでしょうか。

人事コンサルは外科手術だと思っていて、何かしらアドバイスをくれますよね。一方、コーチングは体内から変える、東洋医学だなと思っています。なので、組織のハードを制度、ソフトを風土や人材と分けるとすると、ハードはコンサル、ソフトはコーチングが役立つなと。組織を変えたければ、内面、体質から変えないといけないというのは今回のmentoによって起きた変化からも感じています。

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