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大使館に通った時代

アゼルバイジャンはここ数年、ずいぶん入国前の手続きが緩和されていますが、初めて訪問した2014年の入国のときは、それはそれは大変でした。

何が大変といって、東京の大使館に直接ビザを申請しに行かなければならなかったのです。こちらがどこに住んでいても関係なく、日本なら東京の目黒にある大使館で申請しないといけないということで、各種書類をなんとかそろえて夜行バスなどを利用して東京-大阪間を2往復したのが懐かしく思えます。

2往復、必要だったのです。最初の往復はビザ申請。次にビザが下りたら、パスポートを受け取りに来いとおっしゃる。郵送はしてくださらなかったので、そうとなれば自分で直接受け取りに行くしかありませんわな…返す返す、当時は不便なことでしたよ。マジで。

この各種書類というのも大変で、そのうち一つはナゴルノ・カラバフには入境しない(当時、誰だか観光客が入って大問題になったらしいと風の便りに聞いたことがあります)という、所属先の長のレターというものまで要求されたことでした(その節は東京のとある研究機関に大変お世話になりました)。

しかもビザ申請に行ったのは3月8日、「世界女性デー」でアゼルバイジャンが祝日になっていて、したがって大使館も休みだと言われてしまう始末。わしゃ大阪から来たんだから、なんとかパスポートだけでも受け取っておくれよ(意訳)とお願いして、とてもいやそうな顔をなさっていた女性職員の方になんとか大使館の玄関先で受け取ってもらったという思い出も蘇ってきます。

そりゃもうね。ハイそうですかといって、大阪に戻れるわけないじゃないですか。バス代なんぼかかっとる思とんねん、と言いながら。

かくして以前書いた通り、2014年3月に初のバクー訪問を果たしたわけですが、その後滞在地をアンカラに移し、そこからアゼルバイジャンに行く際にもアンカラ市内郊外にある大使館にビザの申請に何度となく通ったものです。

目的はもちろん、ビザの申請。たしか2018年あたりまで、今(2022年5月現在)のように空港でアライバルビザが取得できるという話などは夢のまた夢の話なのでした。

アンカラ中心部からオラン(Or-an)地区というところにある大使館までバスかドルムシュという乗合のミニバスなどで行くことになるのですが、いずれにしても片道40分かそれ以上はかかるところでした。

申請するときにはビザが下りるまでパスポートを預けておかないといけないというので、もしこの間市街地で警察などに誰何などされたら、どうなるんだろうか?という不安にもなったことでした。

なんせ、当時のアンカラというのは社会情勢的にも激動の時代(今もそうだという説もありますが)で、外国人居住者としては気が気ではなかったのです。

かような手続きが必要な時代でしたから、ビザが無事発行されてパスポートを受け取ったときは、それはそれはもう安心したというかなんというか。大使館近くに行きつけのカフェがあったので、そこでささやかな打ち上げをするのを恒例にしてもいました。

その後時は流れ、空港でビザが取れるようになりましたし、ビザそのものもE-visaというウェブ上のシステムで(こちらは有料なのですが)個人的に申請できます。ビザの代金はクレジットカード決済で支払えるので、それを持っておけば空港のカウンターでいらぬ押し問答をしないですむという利点があります。

たとえば先般、ターキッシュエアラインズを利用しましたが、航空会社カウンターの職員さんは日本国籍のパスポートを所有していれば、バクーの空港でアライバルビザが取得できることをご存じではありませんでした。同様にアンカラからバクーに渡航したときも、空港でアライバルビザが取れると何度言ってもカウンターの職員が聞かない(調べろよ、と思うのですけどね!)ので、無用な押し問答をしたものです。トルコ語でやりとりができたからよかったものの、まあ不毛な言い争いになりますからね…。

ともあれ、ここ数年でビザ申請の手続きもずいぶん簡素化されましたし、出入国のときも多くのほかの国と同様、スタンプを押してもらうだけですむようになりました。

かつてはビザを取得すると、パスポートの1ページ分いっぱいに、取得証明としてシールを貼られたものです(これはこれで趣があって嫌いではないのですけどね!)。おそらくアライバルビザや観光ビザの場合のみこのように簡略化しているのかな、とは思います。たぶん。

アンカラの同国大使館で、ビザ業務時間になるのを待ちながら、同じく待っていたトルコとアゼルバイジャンを行き来しているというトルコ国籍のおじさんたちと「俺は仕事で行ったり来たりするんだけど、おまえはバクーに何しに行くの」「ちょっとアゼルバイジャン語の勉強に。おじちゃんらもトルコ国籍だけど、ビザがいるんだねえ?」等々。他愛もない話などしていたのも、今やすっかり懐かしい過去の思い出となってしまいました。


アゼルバイジャンにはそんなわけで、いろいろありまして何回か訪問するという機会を得て現在に至るわけですが、今年はついにその成果を発揮するときがやってきたように思います。毎回の宣伝で恐縮ですが、ぜひこちらを。

いよいよというか、ついにというか、ようやくというべきか。そろそろ受講者の募集が始まります。

みなさまぜひぜひ、奮ってご応募ください。完全にシェイプアップを果たした(推定)私とカマラ先生とで、せいいっぱい務めたいと思っております。この夏は、府中で会おうな!

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