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【シリーズ】あるじとしもべのダイアローグ(18)

「オイこらしもべ こっち見ろ」
「(またこのくだりか…)どうしたんですあるじ また今日もご機嫌よろしくなさそうな」
「ご機嫌がええ理由に心当たりあんのか ワイは今日も怒っています」
「今日はどういったご用件で…」
「どういったご用件ておまい AI画伯やがな おまいなんでもかんでもAIに描いてもろたらSNSなんとかなるー思うてるやろ」
「まあ楽になりますよね 実際助手さんとして考えると超絶優秀です それがなにか…」
「おまい、見たろこれ なんやねんこのイラスト
「…扉絵のこれですか」

「せや これや これはいくらなんでも…」
「まあまあ、これはこれで」
「せやかておまい、これワイのほうもぜんぜん似てないいうかよぉ あと毛の色もなんか違うし これはおまい採用したらあかんかったやつちゃうんけ」
「ちゃうんけってあるじ まあまあ、いろいろ試してみましょうよ しょせんnoteなんですから」
「あかん 社長命令や 今後はちゃんとしたものを使えください」
「(チッ うるせえな…)わかりました 反省してます」
「反省してへん中年男の目ぇしとる まあそれはそれとして」
「まだなにか」
「今からが本題やで おまい、またどっかおでかけしよーとしとるな」
「はいあるじ 今月末はちょいと東京のほうに」
また東京かぇ なにしにいくねんそのトーキョーとかいうとこ 何回も何回もよぉ」
「いろいろ用事があるんですよあるじ 実際、毎度楽しみなイベントですので」
「楽しみておまい、ワイを家に残してやることかそれ ワイまたひとりやんけェ」
「わたくしの家族がまた面倒みてくれますから大丈夫ですよ もう何回も経験したでしょ」
「…」
「あっ不満そうな顔してる やはり私がいないとさびしくて死にそうだったりするんです?」
「アホこら ワイをなめとんかぇこのボケカス~ ワイはいつまでも子どもじゃあありません おまいなしでも生きていけるねん なめんなよ」
「まあまあ、すぐ帰ってきますから 6月の東京は1週間弱ですかね…それでいえば、おととしの東京出張は1か月以上滞在しましたからね~ もうあれほどの長期間不在もそうそうないとは思うんですが」
「まーええわ はよ帰って来いよ で?トルコも秋に行くんやな」
「ハイあるじ あるじの故郷に 故郷、なつかしくなりませんか」
「まーそうやな きょうだいとかママンとか今頃なにしとんかな~とは思うけど」
「そうかもしれませんね しかしきっとみんな元気にやっていますよ きょうだいねこさんたちはみんな里親が見つかってましたしね あるじが最後に残っていて、それを不肖わたくしめがお引き取りいたしました」
「あーあ ワイ、きっとキラキラしたおひめさまみたいなやさしいおねーさんが白馬にのってワイをお迎えにくるもんやと思うてたんや そしたらおまい、あの日忘れもせん2017年10月21日な おまいが汗だらだらで当時住んでたおねいさんの家に来てよぉ キラキラのはずがダラダラや 『ラぁ』しか合うてへん」
「まあまあ そうですね 当時の最初の保護者のおうちにおじゃましまして」
「『さあ この馬車にお乗りください』言うから」
「言いましたっけそんなこと」
「言うたことにしとけ んでさぞかし素敵なお城に連れて行ってくれる~思うたら」
「思うたら」

「むさい中年男のアパートやった~いうオチやがな え!??ここがワイのおうちになるの~思うてよ その日は涙にあけくれたがな」
「あるじ、家にきてすぐ昼寝しましたし、なんならおふとんで初日から一緒に寝たじゃないですか ちょっと記憶の改ざんが…」
「ええねん細かいことをごちゃごちゃ言うな まあ過去のことは水に流すとしてや… なにがなにやら、現在はとゆーとトルコから10000kmも離れたところにきてしもうた」
「さようですあるじ 長崎の生活もすっかり板につきましたね しらんけど」
「アホぅ ネコちゃんは家に住みつくんやで 環境適応能力なめんなよ あーあしかたない… おまいのパパンとママンとバーチャンに遊んでもらうか…」
「ぜひそのようにしてください 私、7月、10月、12月とそれぞれ家を空けますので…」
「は?7月????」
「ハイ 7月」
「10月トルコやろ それは聞いた 12月アゼルバイジャンやろ それも聞いた 来月聞いてない💢 来月なんやのん」
「7月も2週目かな 東京のとある研究会に参加します」
「おまい、7/1に帰ってきてその2週間後また東京行くの」
「偶然なんですけどそういうこともありえるのですあるじ ほんとうにすみませんね… わたくしめも寂しいので、せめて後頭部を死ぬほどなでなでしてから行ってきますから」
「あかん 行くなください」
「いやでももう、飛行機も宿泊先もおさえt」
「あかんあかんあかーーーーん」
「どうしてです ははーんやっぱり私がいないと寂しいんですね」
「寂しないわ💢 おまいネコのしもべの自覚あるんけ」
「家を空けるのはいつも申し訳ないなと思って出かけるんですよあるじ まあまあ、おみやげちゃんと買って帰りますから」
「おみやげ何するん」
「え?」
「ワイにおみやげて、具体的に何やねんて聞いとんねん」
「えーとほら ご当地ちゅーる…とか…そんなのがなんか」
「そんなんあるんけ」
「…」
「ないもんをあるかのように言いやがって これやから言語学者は」
「いやそれ、各方面から怒られそうなのでやめてください まあ埋め合わせは戻ってきたら必ずしますから」
「…ホンマやな 指切りゲンマンしろください」
「はりせんぼん飲ーます、のやつですね よくそんなのご存じで」
「フフン ワイはなんでも知ってるねん ワイの知識量なめんなよ」
「あ そうだ 指といえば大事なこと思い出しました」
「なんやねん」
「そろそろ爪を切らないと…そうだ、東京に行く前に切っておきましょう さああるじ おててを出してください(爪切りを出す)」
「イヤや 爪切り嫌い 何回も言うてるやろ ワイは獣医さんと爪切りと柑橘類がこの世で一番キライやねん」
「一番が多すぎますあるじ ちょっと 逃げないでくださいよ」
「うるさい こっち来るな」
「あーもう、逃げ回らんと ほらもう あるじ」
「バーカ バーーーーーカ ほらみろ おまいの目つきがさっき変わったからイヤな予感したんや はよ東京でもアゼルバイジャンでも行ってこいください しばらくかえってこんでええ!!!!!!」

(次回に続く!!)

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