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[二冊目]名刺代わりの10冊

僕の小説との初めての出会いはあさのあつこさんの「バッテリー」でした。

野球少年だったこともあり、本を読む習慣などこれっぽっちもない

僕が友達に連れられて図書館に行くと、図書館の先生が

「これとかいっぷくんにおすすめだよ。

まあでも、はまっちゃってたいへんなことになるかもしれないけど・・・」

今思うとすごく意味不明で、含みのある言葉だなぁと感じます。

当時10歳の僕には

「どうせ飽きて途中で読むのやめちゃうのになあ。

それよりもゲームか野球したいなぁ」

と、心の中で考えていたことを今でも覚えています。

しかし、作中に出てくる登場人物たちの心情が

文面から痛いほど伝わってくるのが、なんというか、

やみつきになりました。

ことなくして、先生の言った通り、小説の世界に

はまっちゃって大変、程ではないにしても

休み時間のドッジボールよりも本の世界

寝る前のバラエティ番組よりも本の世界

野球しかしていなかった僕の

ライフスタイルがガラリと変化しさせたのでした。

あさのあつこさんが描く少年達に憧れと共感が絶えなかった

時代に出会った、僕の幼少期の青春そのものみたいな一冊です。

小学生だったぼくよりも年上だった登場人物たちの

日常的な悩み

年相応な性の悩み

人と接することの不安と安心感を

会話ベースで読むことが出来ます。

ヒロインのメグがどんなに可愛いのか想像しながら、

ヒロインの想いをものともしない貴史(たかし)に

ヤキモキして、主人公の歩(あゆむ)がそのたかしに

引っ張りまわされるその様子に、

その日の悪い試合結果を忘れさせてくれる

僕の大事な精神安定剤でした。

子供ながらに感じる大人の苦痛さ

大人って考えることが多すぎるんだよ。                だからしたいようにできないんじゃないかな。瀬田歩

親の心子知らず

なんというか、当たり前な話だと思います。

大人同士でもわかりあえない人間がこんなに

溢れかえっているのに、世に出て数年足らずで

それをわかれというのは、冷静な時なら

誰しもが理解できる、不可能なことだと思います。

しかし、その子供にも心情というのはいつか芽生えて、

わからないけどわかりたいと思う瞬間が来ます。

それを言葉で発せられた時、

過酷な大人への道に、足を踏み入れた瞬間なのかなぁと、

いまは大人になってしまった僕は、残酷に思います。

大人になって読む

子供心を忘れてしまいそうな世知辛い世の中から、

ちょっとだけ旅行できる。

そんな今もなお

僕の精神安定剤な一冊です。



(一冊目で熱くなりすぎたIWGPタカシと

同じ名前が出てきたのがえもいなぁ)

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