見出し画像

保育業界の人材紹介会社の介在価値についての考察

ホワイトカラーを中心に人材を採用する有用なチャネルとして近年益々一般的になってきている有料職業紹介事業者(紹介会社)についてですが、保育士採用市場においても年々存在感を増しています。

一方で、1名採用するに当たっての採用コストが最も高いチャネルも紹介会社経由になる訳ですが、本来紹介会社に求められている介在価値と保育業界においての現状を、紹介会社の営業と保育士の採用責任者の双方を経験した立場から考察してみました。


人材紹介のマーケットについて

<2019年4月1日付 日本人材ニュースONLINEより抜粋
2017年度の職業紹介事業の手数料収入は約4395億円となり、5年連続で過去最高を更新したことが、厚生労働省が発表した「職業紹介事業報告書」集計結果で分かった。

就職件数(常用就職)は約65万件で前年度比2.5%増。このうち、有料職業紹介事業は約61万件で3.0%増、無料職業紹介事業は約4万件で5.9%減だった。

上記を見ていただくだけでも、所謂職業安定法上の労働力の需給調整システムの中でも、民間の企業による有料職業紹介のシェアは年々増えていることがよく分かります。

<中でも保育士の紹介会社経由の就職件数の伸びは著しい>

画像1

上の図表で見ても分かる通り、中でも看護師・保育士の順に年々紹介会社経由での就職件数は伸びています。※図表は5年前のものになるので、2020年現在はより件数は伸長していると予測しています。

保育士の中でもハローワークで仕事を探したり、新聞の折り込みやフリーペーパーで仕事を探す人がどんどん減っているということです。
それでは、なぜそのような流れになってきているのでしょうか?
あんまり考えたことないですよね?
求職者側・採用企業側双方の立場になって考えてみましょう。

求職者側のメリット

・スマートフォンの普及とポータルサイトの利便性
まずはこちらにつきますよね。スマートフォンが普及した今、私たちが求人を検索デバイスはスマホほぼ一択です。わざわざフリーペーパーを該当で入手したり新聞の折り込みを保管して置いたり自宅に帰ってからPCを起動して求人を探さなくても、手元に持っているスマホを通じであらゆる情報がインターネット経由で入手できる時代です。
ユーザーである求職者の利便性はこの10数年で爆発的に向上しています。

それに加えてポータルサイトの台頭です。
よっぽど「この保育園に就職したい!」という指名意思がない限りは求職者はいちいち園ごとの個別の採用ページをチェックしてエントリーなんかしないですよね。
人材系の会社やWebの求人媒体などが運営しているポータルサイトにアクセスするだけで、多様な業界・職種・雇用形態の求人をチェックできることもユーザーの利便性を大きく向上させています。

・キャリアの可能性の幅が拡がり、新たな求人との出会いが有る
人材紹介会社に登録すると、多くのサービスでまずは専任のキャリアアドバイザー(以下CA)との電話や対面での面談が実施されます。
求職者は、CAとの面談を通して自分の今までのキャリアを振り返りつつ今後のキャリア形成において重要視するポイントや自身の職種適正・武器となるスキルなどを整理します。

その上で、これからの自分にマッチした最適な事業者(多くの場合複数案件)の求人の提案を受け、応募に進みます。
CAが提案してくれる求人の中には、今までの自分の視野では想像もしていなかったような園の求人に出会える可能性が有り、一人で悶々と考えているよりは転職活動が前に進みやすい場合がありますよね。

・面接の日程調整や模擬面接の実施、条件交渉まで間に入ってくれる
在職中に行うことが多い転職活動。自身が日中業務で忙しい中でも紹介会社の担当者が面接日程の調整を行ってくれたり、希望する求職者には模擬面接を実施したり、給与面含め様々な条件交渉も間に入ってくれ代理で行ってもらえます。

他にも様々なメリットが考えられますが、大きく切り出すと求職者側のメリットは概ね上記の通りかと思います。

次に、採用企業側のメリットを考えてみましょう。

採用企業側のメリット

・応募者の母集団形成に関して力が強い
多数の事業者の求人を掲載しているポータルサイトを運営していたり、リスティング広告を初めWeb経由での求職者の集客力が強い人材紹介会社に依頼をすることで、自社だけでは出会うことが出来ない様々な求職者の母集団形成を可能にします。

・CAがマッチングを図ってくれるので自園に合った求職者を採用できる
求職者のメリットの部分でも述べましたが、企業側から考えてみても自園の採用活動だけでは出会うことの出来ないような層の求職者に出会うことが出来たり、自園の雰囲気やニーズにマッチした求職者の採用が可能となります。

・面接後のクロージングや入社までのフォローアップなどを代行してくれる
面接終了後求職者と連絡を取り合い、入社意思への温度感向上に一役買ってくれたり、入社前の不安定な時期の求職者のフォローアップをしてくれることで入社辞退や他社決定などのリスクヘッジを図ってくれます。

以上が企業側から考えた時の紹介会社利用のメリットです。※保育業界に限らずすべての業界の人材紹介会社で普遍的な内容だと思います。

人材紹介マーケットの課題点と転換期

一方で、保育業界の人材紹介業のマーケット特性には多くの課題点も存在していると私は考えています。そして、テクノロジーの発展が著しい現代において、近い将来起こるであろう転換期についても考えてみましょう。

保育業界の人材紹介業の課題点とは?
➀労働集約的なビジネスモデルなので規模の経済が働かず単価が下がらない
人材紹介業の売上は「1コンサルタント辺りの紹介件数×紹介単価×コンサルタント数」という形で表現できますが、労働集約的な事業になりますので沢山の件数をこなしたところで1件当たりの爆発的な生産性の向上は起こりえません。コストとなる集客単価に関しても、金額を張って数を獲得すればするほど求職者の獲得単価は上がるというのがWebマーケティングのセオリーです。

上記のような理由で、人材紹介会社は紹介件数の多い少ないによらず単価は変わらない傾向があります。買い手である企業からしても、たくさん採用しても単価が変わらないということはコストが重く圧し掛かる結果となります。

②紹介会社側のCA・コンサルタントのマッチング手法は属人的でブレがある
こちらもよくあるケースですが、同じ紹介会社でもコンサルタントAさんのマッチングスキルとBさんのマッチングスキルとを一定にすることが難しかったりするので、紹介してもらう求職者と自園のマッチングが上手く図れる場合と全くのミスマッチの場合と、ブレが発生しやすいという側面があります。

理由としては元来人材紹介という事業は属人性が高いものなので、コンサルタントのマッチングスキルや求人情報のナレッジの蓄積を均一にすることが難しいという特性からくるものです。

③保育士の自発性の欠如につながっており安易な理由での短期退職者が増加
この売り手市場の最中で、紹介会社の利便性だけに意識がフォーカスされていて肝心要の求職者である保育士側に「自分に合った求人を自分で見極めて選択する」という意思が薄弱になっているケースが多いように感じます。

保育事業者の採用担当者さんとの商談の中で結構頻繁に聞く声として、面接の際に「当園に応募してくれた志望動機を聞かせてください」と質問しても「紹介会社の人に提案されたので」とか「自宅から一番通いやすかったので」のような、まるで自分が転職活動当事者であるという意識をどこかに置き去りにしたまま面接に来社されるような保育士が非常に増えている。という悲痛な声も良く聞きます。

④求人案件のコモディティ化(紹介会社取り扱っている求人に差が無い)
この問題は求人を安易に多数の紹介会社に渡しまくっている事業者側に原因があります。どこの紹介会社も概ね同じような取り扱い求人ラインナップになっていますので、

どこの紹介会社に誰が登録して、どの事業者の求人に興味を持ってくれて応募に至り、複数の内定の中から最終的にどの事業者が採用に結びつくか?

という一連のプロセスがほぼ確率論のような状態になっていますので、事業者側からすると「どこの紹介会社から紹介してもらっても同じ。」ですし、紹介会社から見ても「最終的にどこかの事業者に採用してもらえれば紹介手数料=売上にはなる。」といった感じの何とも無機質な商流になっているように感じます。本来紹介業というものは、もっと有機的なつながりの中でドラマティックに行われるものであると私は考えていますが、今の保育士採用業界はそんな姿からは程遠いように感じています。

つまるところ私が何を言いたいか・・・

紹介会社経由の保育士の採用単価が75万~90万円になっている保育業界において、本来紹介会社が出していくべき「対価に見合った介在価値」を事業者側が感じられているケースがどのくらいあるか?

ということです。

もちろん私自身も人材紹介・派遣サービス「キララサポート」の営業部門の統括に従事していましたし、保育園の採用責任者として採用業務に邁進していた身ですから、紹介会社の皆さまには沢山助けていただきました。
同時に、上記のような業界全体を覆う課題感を感じずにはいられないのも、事実です。

テクノロジーの発展で訪れるターニングポイントはすぐそこに

近年、「ダイレクトリクルーティング」という単語がそこかしこで聞こえてくるようになってきていますが、私はダイレクトリクルーティングの本質は、「元来労働集約的で属人的だった人材紹介のビジネスプロセスをWebプラットフォーム上の機能で代替することで業界全体の採用コストを圧倒的に下げる」ことにあると考えています。
AIやRPAに代表されるテクノロジーの発展により、今までは人間でないと出来なかったビジネスプロセスがWebサイトやアプリの機能に代替され、自動化出来るようになってきています。

<テクノロジーで代替可能な人材紹介のビジネスプロセス>
・求人票の作成と求人掲載
・求職者の適性検査・適職診断
・求職者と求人のマッチング
・レコメンドやスカウト送信
・面接日程の調整

上記が実現できれば、前述した人材紹介業で課題となっている「労働集約的なビジネスモデル」や「マッチングの属人性」などを解消でき、サービスの質の向上とコストダウンが図れます。

きらぽんJOBで実現したいビジョン

20190927_FBIG_きらぽんJOB_1


私が保育領域特化型のダイレクトリクルーティングのプラットフォーム「きらぽんJOB」を事業化した理由は、

(対企業)きらぽんJOBというプロダクトで保育業界の採用コストの圧倒的な低減と労働集約的で属人的な採用業界の改革を実現していきたい。

(対求職者)保育士が自分に合った理想の職場を人任せではなくて自分で見つけることで、責任感と帰属心をもって生き生きと保育をしてもらいたい。

という想いがあるからです。
詳しくは下記創業エントリ拙筆をご覧ください。


まだまだよちよち歩きの拙いプロダクトですが、理想は大きく・業界の課題解決を目指していく所存です。

また、特に採用担当者の皆さまの中には私が感じていることと同じような課題感をお持ちの方もいらっしゃると思います。
現在の状況を変革していく為には、事業者側が「変えていきたい」という決意をしていただき、皆で手を合わせて出来るだけ多くの仲間で進めていく必要が有ります。
私が未熟でまだ気づくことが出来ていない課題も有ろうかと思いますので、是非きらぽんJOBの無料トライアルキャンペーンにご参画いただき、サービスの改善に力を貸してください。

1.プロダクトについて
きらぽんJOBには人材会社の求人は一切掲載しておらず、事業者の求人を直接掲載し求職者の応募を募ることと、登録が有る求職者の中から事業者が直接スカウトを出し応募の母集団形成を図ることができるようなシステムとなっています。(詳細はこちら

20191002_FBIG_きらぽんJOB_3

2.無料トライアルキャンペーンについて
2019年10月1日~2020年3月31日までは全ての機能を無料トライアルで事業者の皆さんにお使いいただけるキャンペーンを行っています。
※求人掲載可能なのは東京・埼玉・神奈川・千葉のみとなっております。

限定100社様までとしていたのですが、おかげさまで予想を上回る数のお申込みをいただいておりますので、無料枠を更に50社様分追加しました。
無料トライアルのお申し込みは→(こちらから

有料化は2020年4月1日以降となりますが、料金体系としては事業者のニーズに合わせて「業界最安値の成功報酬プラン」と「月額固定プラン」を選択できるようにしようと考えています。UI/UXの設計も、機能面もまだまだ未成熟なサイトではありますが、保育事業者に「ダイレクト採用」という選択肢を提示し、採用コストを劇的に圧縮できるようにサービスを磨き上げていく所存です。

人材紹介の営業と、保育園採用担当の双方を経験した私だからこそ出来得るアプローチの仕方で、保育業界をより明るく・健全にするために心血を注いでいきたいと思っていますので、同じ心の影をお持ちの採用担当者さま、経営者の皆さま、是非色々とアドバイスやお声がけをいただければと存じます。
よろしくお願いいたします。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?