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読了後感想を書くようになったきっかけ

読書メーターという本のSNSで読書管理をしている。読んだ本を登録すると、1月何冊何ページ読んだか、どの作家の本をどのくらい読んでいるかなどがわかる、大変便利なサイトだ。他にも読みたい本や積読本の管理もできる。私はそのサイトを愛用し、本を読み終わったら感想を書いて登録するようにしている。今はもう習慣のようになったが、習慣にするにはあるきっかけがあった。

東京から島根へ移住して、主に2つの仕事を同時にしていたが、どちらも報告書が必要だった。片方はメモのようなもので良かったので問題はなかったのだが、もう一方は、2週間に1度報告書が必要で、経緯やまとめなど詳細に書かなければならない上に、チーム内で読み上げなければならなかった。

芸能系の専門学校を卒業し表に出る人間として生きてきた私は、アルバイトですら書類に触れる機会などほとんどなく、報告書をどうやって書けばいいのかすらわからなかった。詰まりながらも頑張って書いていたが、年齢に合わない稚拙な文章を読み上げるのは大変恥ずかしかった。


運転免許を取得するのに勤務開始日を遅らせてもらったため、私が仕事を始めたころは初夏に差し掛かっていた。雪が降って外で動けなくなるまでが忙しい仕事だったので、勤務開始してからずっと休みを後回しにし一生懸命働いた。

そんな忙しい日々が続いていたので考える暇もなかったのだが、雪が積もり、仕事が落ち着き休みを持て余したころ気が付いた。遊び場所がない。移住した地域は思ったよりも田舎だったのだ。一応、市の形はとってはいるが、市内にファストフード店すらない。20分車を走らせた隣の市にある。そんな地域に遊ぶ場所はなかった。


そんな時、職場の方から仕事に関する本を勧められて読んだ。本は大変面白く勉強になった。本を読むのが好きだったことを思い出した。余っている時間を読書に充てようと思った。

市の管理する図書館は数か所あり、広くて綺麗で本もたくさんあるということを教えてもらった。図書カードを作成し、有川浩先生の図書館戦争を1巻から別冊2巻まで全て借りた。結構な厚みのあるハードカバーの本を6冊抱えてカウンターに出したインパクトが強かったらしく、図書館の職員さんにしっかり顔を覚えてもらった。


ただ読むだけでも良いかもしれないが、せっかくなので、本の感想を書くことで、文章力を鍛えようと思った。何も伝わらない報告書をなんとかしなくてはと思っていたのだ。

残念な文章力エピソードは他にもある。

とある研修に参加した際、自分の感想を交えて報告を上げなくてはいけないのは頭の片隅で理解はしていたのだが、自分の考えをまとめて文章にして回覧する、という事が大変恥ずかしかった為省いて、何月何日どこへ行ったという必要最低限の添付書類と資料だけを報告で上げたら、今度は自分の感想も書いてねと言われた。当たり前だ。

そんな恥ずかしい状態から脱却したいと思い、読書メーターに登録し、本を読み終わったら250文字程度の感想を投稿するという事をはじめた。

あるとき、読書メーターとコラボしたKADOKAWAオススメ100選という企画があった。これは、KADOKAWAが発行している文庫本のおすすめフェアを全国の紀伊国屋書店の主要店舗で行うというものだった。私の感想が2つほどポップとなり、自分の感想が書店に並んだ。もしかしたら人に影響してるかもしれないと考えると、より嬉しかった。友人みんなに自慢した。

しっかり読んできちんと感想を書いていたご褒美だと思った。

あちこちで告知していたところ、作者さんにも伝わったらしく、読んでくれて&紹介してくれてありがとうとお礼をいただいた。楽しませていただいたのはこちらなのに、お礼をいただいてしまった。大変嬉しかった。


読了後のプチ感想文は、続けていくうちに、自分の文章が少しずつ変わっていくのが分かった。報告書の作成で文章が詰まることが少なくなったし、自分の考えがまとめられるようになったり、報告が詳細にできるようになったりした。

そしてその習慣は今も続けている。文章力向上という目的は変わらないが、今はプラスして人に紹介できるように意識して書いている。若者の読書離れが深刻な今の時代、私の感想がきっかけとなり、本を手にとってもらえる人が一人でもいれば嬉しい。

2017年3月12日 大好きな村山早紀先生が本屋大賞にノミネートされたと知って、嬉しくなって撮影した。ある晴れた日の自宅の和室にて。

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