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人に頼らない、新しい時代のホスピタリテイ

はじめに

 私は、以前客室乗務員としてお客様にサービスを提供する側の

仕事をしていました。


現在は、その航空業界で働く人を育てる側のエアラインスクールの

代表をしています。


 このような経験から、「おもてなし」については、

ある程度理解をしているつもりでした。
しかし、今回宿泊した旅館では全く違うアプローチでおもてなしを

実現していて、
私自身が衝撃を受けたので、このレポートにまとめようと思いました。

 時代が変われば、おもてなしも変わる。

そんなことを感じた1泊2日でした。

ホスピタリテイ業界、人材難や、人材教育に悩んでいる方々に読んで
いただけると嬉しいです。


                      2020年9月
                             上野 博美


目次


はじめに
 ホスピタリテイとはなんなのか
従来のホスピタリテイ
従来のホスピタリテイの3つの問題点
問題点を解決した実例
「おもてなし」の未来
最後に

 ⑴ホスピタリテイとはなんなのか

「ホスピタリテイ」という言葉を聞いて、何を想像しますか?

おもてなし

満足

サービス

心地よさ


など、様々なワードがうかんでくると思います。
東京オリンピック誘致に成功したのは
「おもてなし」という言葉でした。
ホスピタリテイを調べるとこんなことが書いてあります。

ホスピタリテイを教えている
「東京YMCA国際ホテル専門学校」のホームページには
このように記載されています。

ホスピタリティにおいては、提供する側とされる側の立場は対等です。

対してサービスは提供される側の人が主人であり、提供する側は従者という

関係になります。 さらに、サービスは顕在化したニーズに応え、

ホスピタリティは潜在化したニーズに応える点があります。

(引用ここまで)


つまり、「義務ではなく、こうしてあげたいな、という自主的な

気持ちがスタートであり、お客様自身さえ気づいていないことに

気づいて行動に移す」という意味だと思います。


サービススキルの習得はできても、ホスピタリテイはその人の気持ち次第、

という部分があります。本当に「人に喜んでいただくことが好きな人」

が、自然とホスピタリテイ溢れる人になっている、と言えます。

あなたの周りにも、「あの人、気が利くよね」と言う人はいませんか?


その人は、あなたに何かを期待して、お世話をしたり、

気配りをしているのではなく、自然と「してあげたいからしている」

と言うことだと思います。


そのような人が「ネイテイブホスピタリティーの人」だと思います。

私は、以前客室乗務員をしており、その際に先輩方のホスピタリテイ

あふれる姿を見ながら、育てていただきました。

 赤ちゃん連れのお客様のお荷物を自然と持つ


 赤ちゃん連れのお客様がお手洗いに行く際には、おしぼり、ゴミ袋、
 を持っていく


 お客様が走ってきて搭乗され、額に汗が見えているときには冷たいおしぼりと
 お水を持っていく


 窓側のお席のお客様が、窓の下をずっとみているよだったら、地点案内のために
 お声をかける 


 お客様が暇そうにされていたら、ふとしたきっかけから話しかけてみる

 これらはほんの一部ですが、先輩たちが自然と行っていたことで、
 お客様が喜んで下さることが多かったものです。

 今は、安全上の問題や、時間の関係でこれらの「ホスピタリテイ的行動」

は減っていると思います。


機内でのドリンクサービスは、手順に則って決められたことであり、

それを提供することは、「サービス」(料金の対価)ですが、

ドリンクサービス中に
ビジネスマンの方がパソコンで作業中で前のテーブルを

出すことができず、
ドリンクを受け取ることも難しい場合、隣の席が空いていたら

その席のテーブルを
客室乗務員が出して、そこにオーダーされたドリンクを置く、

というのは
ホスピタリテイ、です。

お客様にとって、サービスでは感動はあまりないけど、

(決まっていることだからでしょう)、

ホスピタリテイには予測していない分、感動することが多いと言えます。


つまり、究極のところ「お客様が喜んでくださること」

がおもてなしであり、
ホスピタリテイなのだと私は考えています。


⑵ ホスピタリテイの問題点

ホスピタリテイ自体は素晴らしいもので、

お客様も感動されるのですから、
接客要員、または接客がメインの仕事ではなくても、

人と接する際には
この気持ちを持っていたら、お仕事もうまく行きやすいと思います。

しかし、接客の現場では、このホスピタリテイには

3つの課題点があると
私は以前から思ってきました。

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