見出し画像

私が嫌いな言葉に反論してみた


昔から嫌いな言葉があります。
「つぶしが効かない」と言う言葉です。

おそらく、自分がしてきた経験や持っているものが全て無駄だよ、と言われている気がするからなのでしょう。
経験してきたことや、得たことが無駄だって言われたら、誰だってその使ってきた時間とエネルギーを返してほしい、と思います。
だから、基本的に「無駄なことはなかった」と思いたい。
それなのに、「つぶしが効かないよね」と言われると、腹が立ちます。

元客室乗務員と言う仕事柄、これをよく聞きました。
「客室乗務員はつぶしが効かない」と先輩や、同僚、さらには全く違う仕事の人も言っていました。
でも、いつも本当にそうなんだろうか?と思っていました。

私は退職後、客室乗務員になりたい人たちを育てる側に回ったので、「つぶしが効く世界」に入ったのだと思います。そう言われたこともあります。
「客室乗務員を辞めたら、そのくらいの仕事しかない」と、私に対して言った人もいました。ずいぶん失礼だけど。
「そのくらい」とか「しかない」とか、私は一応、自分が教えることが好きだったな、と退職する際に思っていたから、きっと教える仕事が好きなんじゃないか、と思って、「次就職するなら、教える仕事」って思って退職していたんですけどね。
そんなこと、人には言いませんが・・・

しかし、実際に役立ったのは知識より、人脈でした。
業界知識なんて、3年もすれば古くなります。新しい知識は、現役の人から仕入れるしかありません。そのためにも、業界内に知り合いがいると言うことの方がずっと大事でした。
そしていくら、同じ航空業界を主体にした仕事であっても、客室乗務員と、客室乗務員を育てる仕事は、全く違います。
採用される側と採用する側で、180度違うのです。

ある採用担当者の方に言われたことがあります。
「あなたは、自分がなぜ採用されたかわかっていますか。それがわかっていなかったら、生徒さんたちを合格させていくことはできませんよね」と。
これは、ガーンと頭を殴られた気分でしたね。

そこから、です。
採用する側は何を考え、どこを見て、どうやってそれを見抜いていくのか、を研究し始めたのは。
生徒さんの試験の結果分析ももちろんしっかり、丁寧に、相当レベルまで行いました。
生徒さんの試験の予想質問を全的中できるくらいにまでなれたのは、この分析力のおかげです。
それらを少しづつ続け10年経った時、「ああ、これで大体どんな生徒さんが来ても、ちゃんと教えられる」という自信めいたものができました。

つぶしが効く、と言うのはおそらく全く同じ職種に転職する際にのみ、通用することなのだと思います。例えば、SEがSEとして転職するなら、必要言語を習得していれば「つぶしは効く」でしょう。
しかし、違う職種に転職する際には「つぶしは効かない」のです。
では、すべての経験は無駄なのか?
今日のテーマは、ここからです。

私は、「全ての経験は無駄ではない」と思っています。
ただ、「応用が必要」と言うことです。
私が、航空業界の人脈を活用したように、です。
さらに「採用担当者は何を見て、そのためにはどんな質問をしているのか、どう受け取っているのかを分析した」のは、「自分が客室乗務員新人時代に、どうしたら仕事ができるようになるのか、先輩たちはなぜあんなに観察力が鋭いのか、を分析していたから」できたことだと思っています。

さらに、ベテラン教官客室乗務員の人が言った「私は、25年この仕事をしているけど、一度たりとも100%満足だったことはないのよ。だから、今でも客室乗務員を続けているの」と言った、高いレベルを目指す姿勢があったからこそ、生徒さんの合格率でも一定の成績を出すことができたのだと思っています。

新しいことに挑戦する時、異職種に転職する際に、「つぶしを効かせるためには」工夫と応用が必要なのだと思っています。

そして、もう一つ言うならば「一つの仕事に集中して高みを目指した経験は、どの仕事にでも活かせる」と私は思うのです。

だから、仕事への取り組み方次第で、どんな経験も「つぶしは効く」のです。

こうして、嫌いな言葉である「つぶしが効かない」に反論してみました。笑
現在「書くことで生きていく」と言う、新しいことに挑戦中ですが、これからも、今までの経験全てを応用して生かして行きたいと思います。

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

サポートありがとうございます!いただいたサポートは、次の良い記事を書くために使わせていただきます!