贅沢な時間
本を読んだ。
というより、以前読んだ本を読み返した。
新刊として発売された際、好きな女性作家の方の本だったのですぐに購入した一冊だ。
小説はなかなか処分できない。
ビジネス書は必要無くなったら、どんどんメルカリで売っているし、実際によく売れるのだが、小説は自分の思いが深くて気に入ったものは処分できない。
おそらく20年以上前に買った小説もまだ手元に何冊も残っている。
手放せない理由は、
・小説の主人公
・風景
・ストーリー
に深く自分が入り込んでしまった経験があるから、その情景と感情にいつでも手軽に戻りたいという気持ちがあるからだと思う。
好きな小説の数だけ、私には独自の世界がある。
なんて贅沢なんだろう、と思う。
特に自分が行ったことがある国や街が舞台になっていると、自己体験と小説の描写が重なり、その街の思い出も、匂いも立ち上ってくる。
なんて幸せな時間なんだろう。
そして1度目に読んだ時と2度目では、感動する場面が違う。
1度目の記憶も曖昧なくらいに久しぶりに読んだ本は、初めて読むかのような気もするし、1度目から2度目の間に流れた自分の時間と、体験と感情が加わって、違う自分が読むのだから、感動する場面が違っても当然かもしれない。
その感覚が新鮮で、
「あーちゃんと私生きてきたんだな」
と、今までにあった出来事、体験全てが今の自分を作っていることに感動し、感謝した。
こんな贅沢な時間は冬の雨の日にはぴったりだ。
以前には思ってもいなかった、
「こんな素晴らしい小説を書いてくださりありがとうございます」
という気持ちを、作家の方に持っている自分がいる。
本を読む人が減っても、決してなくならないだろうと思う。
本の楽しさを知っているのは、本当の贅沢とは何かを知っている人、とイコールになるだろうけど。
何度か買い替えてはいるものの、決して私の自宅からは本棚がなくならない理由がここにあると気づいた日曜日。
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