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茶道をつづけて四半世紀。日常から少しだけ離れて静かな心待ちになること、お茶と菓子とひと…

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茶道をつづけて四半世紀。日常から少しだけ離れて静かな心待ちになること、お茶と菓子とひとときの語らいをともにすることは無常の喜び。四季を愛で、先人に学び、資源を大切に、だれもが楽しめるこれからのお茶を探求します。おたのしみ茶会主宰。

最近の記事

深夜の抹茶、ツユクサの謎

ツユクサが咲いた。 あとで活けようと思っていたら、午後には花が閉じていた。 そういう性質の花だったのか……今度はもっと早く摘もうと思いつつ、 写真に撮って、母に見せる。 「これ、ツユクサじゃないわよ。ツユクサは青い色の花だし、葉がまったく違うもの。アヤメかなにかでしょう。ツユクサは雑草よ」 「で、でも、買ったとき、ツユクサって表示があったし…」 押し問答になり、手持ちの本で調べてみたら、あっさりと謎がとけた。 我が家の花は、ムラサキツユクサだった。 ツユクサと同じツユク

    • 春風に笑む

      お雛様ですね。咲き始めたばかりの雪柳の向こうに小手鞠をさして、春の訪れを喜んでいます。色紙には「笑春風」の文字。ですが、今日の風は強くて冷たかったー! お雛様の笑顔であたたまりたいほどの寒さでした。 お雛様の向こう側には桃の花。元の禅語は「桃花依舊笑春風(桃花旧に依って春風に笑む)」というそうです。 段飾りのお雛様には、桃の花が飾られることもありますが、通常は、左大臣の側には桜の木花が、右大臣の側には橘(たちばな)の木花が飾られます。いずれも、古来から「魔除け」「邪気払い

      • 節分と初音

        124年ぶりに2月2日だった今年の節分。豆まきをしたあと残った豆で、抹茶味のカリカリ大豆をつくりました。煮詰めた砂糖をにからめて、抹茶をふりかけて、菜ばしでパラパラになるまで混ぜます。これが結構おいしい。ココアや赤しその粉末でもできるそうなので、次はぜひ三色にしたいと思っています。 7日の稽古は、ちょうど白梅が咲き初めだったので、紅梅に鶯の薄茶器を出して稽古をしました。床には「雪裏梅花只一枝」永平寺 北野元峰 筆。鶯がその年に初めて鳴く声を初音というそうですが、まさに初音が

        • 昨日は、丸切合釜に唐金鬼面風炉、木地の丸卓にてつけ薄茶の稽古をしました。江戸ガラスの水指が涼をもたらしてくれました。 処暑を迎えた今日はひさしぶりの雨。夜になってまたひと雨きたようです。昼間の蝉しぐれから一転、虫の声が聞こえます。

        深夜の抹茶、ツユクサの謎

        • 春風に笑む

        • 節分と初音

        • 昨日は、丸切合釜に唐金鬼面風炉、木地の丸卓にてつけ薄茶の稽古をしました。江戸ガラスの水指が涼をもたらしてくれました。 処暑を迎えた今日はひさしぶりの雨。夜になってまたひと雨きたようです。昼間の蝉しぐれから一転、虫の声が聞こえます。

          【ビフォーアフター(後編)】アドバイスの内容は「重心を下げるとよいですよ」というもの。仰せの通り、直してみたところ、OKをいただけました♪ ありがとうございます。

          【ビフォーアフター(後編)】アドバイスの内容は「重心を下げるとよいですよ」というもの。仰せの通り、直してみたところ、OKをいただけました♪ ありがとうございます。

          【ビフォーアフター(前編)】今年の夏は木槿と撫子ががんばって咲いてくれました。それに水引をくわえて活けたところ、南のご指南番よりアドバイスが…。

          【ビフォーアフター(前編)】今年の夏は木槿と撫子ががんばって咲いてくれました。それに水引をくわえて活けたところ、南のご指南番よりアドバイスが…。

          抹茶のなかみ

          「抹茶はどうやってつくられているのですか?」と時々聞かれます。 抹茶は碾茶(てんちゃ)を用いてつくられます。「覆い下栽培」といって、茶畑に覆いをかけて日光に当たらないようにして育てた生葉を、揉まないで乾燥させたものが「碾茶」です。その碾茶から茎や葉脈などの余分な部分を取り除き、茶臼などで挽いて微粉状に製造したものを「抹茶」といいます。 日差しを当てずに栽培することで、うまみの多い柔らかな新芽に育ちます。そのため、うまみ成分であるテアニンは煎茶よりも抹茶の方が多く含まれていま

          抹茶のなかみ

          端午の節句、織部の兜

           お茶の稽古に通い始めて2、3年のころ、織部焼の兜(かぶと)の蓋置が水屋に出ていました。5月5日の子どもの日が近かったのです。  季節や節句ごとにいろいろなお道具があるものだなあといそいそと織部の兜を手に取り、建水に入れて持ち出して、薄茶のお点前を進めました。あとは片付けるだけとなったとき、それは起こりました。  右手の柄杓越しに蓋置を持たせて、建水を左手に持って下がっていくときに、蓋置がするっと指先から落ちたのです。あっと思ったときには、兜は畳に転がり、かたほうの鍬形(く

          端午の節句、織部の兜

          すべての人におとずれる春 掛け軸の詩

          家の外では花々が次々と満開になり、自然界のしなやかさに目を見張ります。人間界もこんな平らかな春だといいのですが…。茶室にも「春の朝」という詩の掛け軸をかけました。 時は春/日は朝(あした)/朝は七時/片岡(かたおか)に露 みちて/揚雲雀(あげひばり)なのりいで/蝸牛(かたつむり)枝に 這ひ/神、そらに知ろしめす/すべて世は事も無し ロバートブラウニング 春の朝 龍雲 書 この詩の訳は、この詩を日本に紹介した上田敏によるものです。(『海潮音』明治38年(1905年)10月刊

          すべての人におとずれる春 掛け軸の詩

          春蘭 お稽古の帰りに

          お茶の稽古を初めて1、2年が過ぎた頃、先生に言われました。 「古道具屋さんに、普段使いに良い茶碗が出ているから、帰りに見ていらっしゃいよ。十二カ月で一揃いのものだけれど、ひとつずつ買えるから」 いそいそと行ってみると、もうひとつしか残っていなくて、それが春蘭の描かれた萩茶碗でした。 茶色の線で描かれていた絵はあっさりしていて、とても気に入ったわけではないけれど、せっかく勧められたものだしと思い、2000円ほどで手に入れたのでした。家で手に取ってみると、どうも大きすぎる気がし

          春蘭 お稽古の帰りに

          花見の茶碗

          うららかな三連休の最終日。近所に買い物に出たついでに見た桜並木は三分咲きほどでした。日当たりのいいところは、きっともっと咲いているはず……。 夕飯のあと、桜のお茶碗で花見もいいな、とお盆点てをしました。 お盆に載っているのは、桜の茶碗と抹茶を入れた棗(なつめ)です。茶碗には、茶巾(ちゃきん)と茶杓(ちゃしゃく)と茶筅(ちゃせん)をセットしてあります。お盆ごとテーブルに持ってきて、ポットと建水(けんすい)を脇に置いて、準備は万端。 シャシャシャ……と点てているあいだに、家人

          花見の茶碗