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深夜の抹茶、ツユクサの謎

ツユクサが咲いた。
あとで活けようと思っていたら、午後には花が閉じていた。
そういう性質の花だったのか……今度はもっと早く摘もうと思いつつ、
写真に撮って、母に見せる。

「これ、ツユクサじゃないわよ。ツユクサは青い色の花だし、葉がまったく違うもの。アヤメかなにかでしょう。ツユクサは雑草よ」
「で、でも、買ったとき、ツユクサって表示があったし…」

押し問答になり、手持ちの本で調べてみたら、あっさりと謎がとけた。

我が家の花は、ムラサキツユクサだった。
ツユクサと同じツユクサ科だけれど、属がちがう。ムラサキツユクサ属と、ツユクサ属。『加藤淡斎 茶花』(里文出版)には、ツユクサは「道端や荒れ地に生える雑草。ツユクサは露を帯びた草の意味」、ムラサキツユクサは「北米原産で明治初年に渡来した花」とある。

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けれども、午後に花がしぼむところは同じだ。だから、ツユクサは朝茶などに入れるとよく、ムラサキツユクサのほうは、「午後遅く」なるとしぼむので注意しなくてはならない、とのこと。

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▲青紫色の三弁花

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▲花が閉じたところ

活けてみると、すっきりとして清々しい。
「江上数峰青(こうじょう すうほう あおし)」の掛け軸と並んでも堂々としている。
たくさんつぼみをつけていて、毎日そのどれかが花開く。

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▲江上数峰青(河の彼方には青い峰々が見える) 堀内宗完(兼中斎)筆

ある日帰宅すると、もう夜だというのに、きれいに咲いていた。
蛍光灯がついていて、時間の感覚が変わってしまったのだろう。
なんだか申し訳ない気持ちと、咲いている姿を見られて嬉しい気持ちがいりまじる。

寝る前に抹茶を点てて、もう一度見にいってみる。
夜露を帯びたようなムラサキツユクサがひっそりと開いていた。

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 ▲もう一種、白く小さなトキワツユクサ







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