見出し画像

春蘭 お稽古の帰りに

お茶の稽古を初めて1、2年が過ぎた頃、先生に言われました。
「古道具屋さんに、普段使いに良い茶碗が出ているから、帰りに見ていらっしゃいよ。十二カ月で一揃いのものだけれど、ひとつずつ買えるから」
いそいそと行ってみると、もうひとつしか残っていなくて、それが春蘭の描かれた萩茶碗でした。

茶色の線で描かれていた絵はあっさりしていて、とても気に入ったわけではないけれど、せっかく勧められたものだしと思い、2000円ほどで手に入れたのでした。家で手に取ってみると、どうも大きすぎる気がします。うーん……。

画像1

使わないままに幾星霜が過ぎ、今あらためて眺めてみると、やはり少し大ぶりです。でも、やさしい枇杷色がいいかなと思います。くっきりと線で描かれた春蘭は、正面が分かりやすくて初心者向き。

箱書を見てみると、「茶人好み抹茶茶碗揃 茶花十二カ月 四月 春蘭 (斎藤)一斉造」と書かれています。

画像3

ということはつまり、ほかの月の茶碗には、別の花が描かれているわけですね。調べてみたところ、一月は侘助、二月は水仙、三月は菜の花、五月は杜若、六月は鉄線、七月は鷺草、九月は竜胆、十二月は寒牡丹…となっており、いろいろな方がつくられていました(八、十、十一月は残念ながら不明)。
ご縁のあった春蘭を、『加藤淡斎 茶花』(里文出版刊)で探してみたら、こんな花でした。

画像2

なかなか素敵。いつか実際に見てみたいものです。

昨晩は久しぶりにこのお茶碗で抹茶を点てて、一服いただきました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?