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発音から始めるフランス語学習

以前、日本企業で働いてたときに、フランス赴任が決まってすぐに、赴任経験のある先輩達からたくさんのアドバイスをもらいました。そこで一番印象に残ったのはドイツに赴任していた先輩の「今から第二外国語を文法から始めても喋れるようにならない」との言葉。デザイナーは机に向かって勉強するのが苦手な人も多いので、納得です。「感覚的に音で覚えていった方が良い」とも。

そこで、本屋さんで音声付き教材を手にしたのが私のフランス語学習の始まりでした。もちろん、音を聞いても、本を眺めても、全然わからない。全く見当がつきません…。これは、さすがに語学学校へ行かないと、どうにもならないなーと感じ、都内で通えそうな範囲で探し始めました。語学学習って本当にいろいろなメソッドがあって、未知の世界でした。

内示から赴任までの短期間でしたが、とても効果的な語学学校に出会ったのでご紹介。
日本で結構勉強してきたのに、フランスに来たら一切通じなかった、という話をよく聞きます。私はこの発音に厳しいメソッドのおかげで、初心者の頃から現地でコミュニケーションを取ることができました。ここで習うフレーズが日常でよく使うものが多いというのも、通じるフランス語を学べる理由だと思います。

それは、東京の青山にあるクラス・ド・フランセの、色を使って学んでいくというメソッドでした。このカラーパネルの色一つ一つに、発音の音が割り当てられています。実際のレッスン用のパネルには発音記号は書いてないものを使いますが、下の図では、説明するために発音記号をつけています。ここに載っている発音のうち、フランス語の音を身に着けていくのが最初の3ヶ月間でした。音と色を結びつける練習です。発音を繰り返し練習する日々で、なかなか、フランス語の全体像がみえず、焦りました。ですが、これが頭に入って以降、一気に楽しくなったのです!

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NO BORDER LEARNINGより画像引用)

その後、色分けされた単語のパネルを使って授業が始まります。先生が色付きの単語を指すのに従って、発音していくのです。色と発音は既に覚えているので、色をみて発音できるのです。これを繰り返していくうちに、綴りと発音の関係がなんとなくわかってきて、単語の綴りだけでもを発音できるようになるのです。フランス語は、綴りから発音を想像することが難しく、それを感覚的に身に着けていけるのは画期的でした。
例えば、水色は発音記号e(エ)ですが、単語の末尾の -er がこの音です。頭の中でer=水色=(エ)と繋がってくるのです。

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Pronunciation Scienceより画像引用)

このパネルは実際にはもっとたくさんあり、基本的にはこれを使って、文章を組み立てる練習を繰り返していきます。クラス・ド・フランセでは一番上のレベルのクラスでも、このパネルを使っています。

フランスに住み始めてからも、一時帰国の際は、講習会に参加しました。フランス国内の語学学校で習うのと比べて、先生方が日本人に慣れていて、日本人が間違えやすい部分をよくご存知です。特に発音に関して厳しく直してもらえるのがありがたいです。

ここで指導されている先生方は全員フランス人で、みなさんとても日本語がお上手なのですが、生徒と同じメソッドで日本語を学んでいるそうです。先生方の実践結果をみることで、このメソッドの効果を感じました。英語や日本語のパネルだと、こんな感じです。

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SWランゲージセンターAll my languagesより画像引用

「ガテニョ・メソッド」といい、「サイレントウェイ」とも呼ばれているそうです。レッスンで一番言葉を発するのは生徒であるというもので、先生は正しい発音、文章づくりへの補佐的役割を担います。同時に「インプリシット文法」という手法で、文法の専門用語や文法解釈をせずに学んでいきます。子どもが語学を習得するプロセスを再現するというコンセプトで、感覚的に身に着けていくのです。

フランスでも何か所か、このメソッドを取り入れている語学学校があります。以前、フランスでこのメソッドで指導する語学学校に通っていたことがあります。興味深かったのが、学習障害があるフランス人の子どもに対しても、このサイレントウェイを使って母国語であるフランス語を教えていたのです。確かに、先生が一方的に話し続ける授業とは異なり、生徒のアウトプットが主体となった授業形態なので、子どものペースで進んでいけて良いのでしょう。

このように書いても、なかなか実際の授業がどのような流れかを想像するのは難しいと思います。気になるけど、以上の説明を読んでも、よくわからないという方は、ぜひ体験してみて頂きたいです!

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