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ラクしちゃっていいフランス式育児

保育ママのタタさんの都合が悪く、急遽会社の保育園の一時保育を利用した日のこと。散々気を揉んだわりに、娘は泣くことなく、神妙な面持ちでバイバイ。昼過ぎに、様子を伝える丁寧な電話が保育園からかかってきて、「お母さんが去った後、1時間ぐらいして、ママがいないと泣き始めましたが、抱っこしてヨシヨシしたら、すぐに泣き止み遊び始めました。」とのこと。
ちょっとテンポがゆっくりな子なので、もしかしたら知らない場所に置いていかれた、ということを理解するのに少し時間がかかったのかもしれません。やっぱタタさんといた方が良かったんじゃないか…。前回までのお話はこちら

幼稚園へのステップとしての保育園

電話を切ると、同僚達が一斉に「どうだった!?」と私の方をみます。
私が保育ママさんとの契約を終了して、会社の保育園に預けることに対し葛藤していることは、職場の同僚達は周知済み。ほぼ全員が保育園をすすめていました。きっぷの良いお針子のオバちゃんからは「私だったら、保育ママさんに仁義を通すね。」といわれ、揺れる心。

「少し泣いたみたいだけど、大丈夫っぽい。」と話すと、みんな口々に保育園の良さを語り始めました。私としては本当は、こっちを選びたいんだけどなんか踏み切れない、というような状況で、フランス人の同僚達はそこを汲み取って理論的(っぽいけど基本持論)に解説、援護してくれます。たとえそれが妥協するような場合であっても「これがベスト解答!!!」とポジティブに力強く背中を押してくれるのが上手な人達。

私の心をラクにしてくれたのは、育ちの良さそうな美人パリジェンヌ、クロエの言葉。
「私も赤ちゃんの頃は保育ママさんで、幼稚園に入る一年前から保育園にうつったよ。小さい頃は、少人数の保育ママさんにきめ細やかにみてもらって、幼稚園前に保育園で集団生活っていうのが理想なのよ。私は保育園大好きだったなぁ。」
ひとりの保育ママさんに対して、預けられている子は3人程度なのですが、年齢差があることが多く、保育園では同年代の子と複数人で遊ぶことで新しく学べることがあるというのです。

3歳から通い始める義務教育の幼稚園は、子ども20〜30人に対して先生が2人。保育園は、子ども4人に対してひとりの保育士がつきます。保育ママさんは他人であれど、お母さんと一緒に家で過ごしているのと同じ状況です。幼稚園でバイトをしていたという一児の母、アリスは、子どもをみれば保育園出身か、保育ママさん出身か、一発で分かるといいます。前者は積極的、後者は引っ込み思案という想像通りなのですが。幼稚園入園一年前の保育園は、保育ママさんと幼稚園をつなぐ良いステップだと力説されました。

お母さんの心持ちが子どもに影響する

アリスが話した中で、何より心に響いたのは、こんな言葉でした。
「私は断乳が辛かったのを、子どもが可哀想だからって思ってたの。でも、寂しくて辛かったのは私自身なんだよね。私の心持ちが子どもに影響しちゃって、親子で辛かったんだと思う。」
いわれてみると、保育ママさんを離れることに辛さを感じているのは、娘よりも私に間違いないのです。ただ、送り迎えの距離が近くなる、保育料が安くなる、そんな現金な理由でラクな方を選んじゃって良いのかという罪悪感。相変わらずメソメソしている私に、アリスが一喝。

苦労しても何も良いことない

「子どものことを考えたら、新しいことが学べる保育園が良いんだよ。子どもはどんな環境にも馴染むし。送り迎えが近くなって、安くなるなんて良い事尽くしじゃない? 苦労しても、何も良いことは起きないよ?ラクして何が悪いの?」

あぁーーー、苦労した方が正しい気がしていました。手を抜いたらツケが回ってくるような怖さがありました。この感覚ってなんなんでしょう。この何事に対しても頑張らなければならない、難しいことに価値がある、という思い込みは私の悪いクセ。

かくして、保育ママのタタさんにお別れを告げるという重圧を抱えつつも、自分の中で結論がでて少し落ち着いたのでした。

今までのタタさんとのエピソードはこちらにあります。


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