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フランスで自分たちにあった保育ママさんに出会うために:不安を乗り越えて

前回からの続きです。

20の質問以外にも、直接は聞かなかったけれど、気にしてみていたのは、テレビの位置と大きさ、ベビーベッドの種類です。
保育をする部屋に大きなテレビが壁付けされているお家、テレビにお守りを任せている可能性が…。フランス人に同僚に相談したとき「私が会った人、みーんなおっきいテレビあったよー。でも責められないよね。私だって大変なとき見せちゃうもん。子ども3人も面倒見てる人に、テレビみさせないでくださいなんて、厳しいこといえないよ…。」
いや、それでも私はテレビが、保育部屋に無い人みつけるわよーーー!
ベビーベッドの種類は、木のベビーベッドか、折りたたみ式か、をみていました。フランスの保育ママさんは、折りたたみ式の簡易ベッドを使っている人が多いのです。底板がついておらず、布でできているので、ハンモック状態になってしまい背骨に悪そう、ということで気にしていました。

ここまで書いていて、私って、なんて怖い親なんでしょう…。
そう、実は、私がキチキチしすぎたせいで、タタさんと契約する前に、軋轢を生んでしまったのです。今後、保育のお願いをすると決めて、仮契約をする際、本来であれば、一ヶ月分のお給料の小切手を予約金として、お渡しすることで、席を確保できるのです。でも、タタさんは受け取りませんでした。はじめ私は訳が分からず、何度も、受け取ってくれるようお願いしました。そしたら、「私が一度引き受けるといったら、引き受けます!これは、人と人との繋がりなのよ!お金を払ったら契約放棄できる権利みたいじゃないの!私は、契約放棄されることを心配して、小切手を受け取る人間でもありません!」と、すっかり心象を害してしまいました。そんなつもりはなかったなのに…。これは、保育ママを保護する規則なんだけどな…。ひとまず、仮契約書は取り交わしたものの、気まずい空気の中、タタさんちを後にしました。

特に、私達の場合は、契約開始まで2ヶ月以上の間がありました。席を確実に確保しておきたいという気持ちもあったし、事前に保育ママ協会まで行き、「正しい契約のやり方」を学んでいました。仮契約時に予約金を払うというのは、ここで教えてもらったことです。ですが、タタさんは「今までそんなことは1回もなかった」というのです。もしかしたら、最近できたルールなのかもしれないし、周知徹底されていないだけだったのかもしれません。フランスでよくある「当事者同士が良ければ細かいことは気にしなくてもよい」という風潮にのっかるべきだったと後悔しました。仕事モードで、ビシバシ細かいところまで契約書を読み込んで、間違いのないように、キッチリと、という私の態度は、タタさんとのやり取りにはそぐわなかったのです。

その後、タタさんからご機嫌を伺いに度々、お電話を頂くようになりました。ですが、それが産後で疲れた心と身体に堪えました。最後のやり取りがよろしくなかっただけに、もう良い印象がなくなってしまっていたのです。やっぱ他の人に変えようか、そんなことが頭をよぎっている中、かかってくるお電話。確かに、小切手渡してたら、サクッと断れたなー。
既に7人、この地域に絞って面接してしまっています。30人に電話かけた上で。面接4人目ぐらいで、「あら、あなた達、この前、○○さんの面接した人?」と、面が割れてしまっています。もしここで、タタさんをキャンセルしてしまったら、もうこの地域では悪い噂が流れて、他に誰も見つからないかも知れない。せっかく夫の会社の近くなのに…。

このときもまた、日仏たくさんの方々に相談しました。仲の良い友達全員が、「モヤモヤするなら変えたほうが良い」とのご意見。完璧主義な私の性格を把握した上でのアドバイスでしょう。でも、もう疲れ切ってしまっていたのです…。
そんなとき、パリに赴任している元同僚の奥さんが「もう、めんどくさいから、タタさんで良いんじゃない?菓子折り持って、よろしくね!って挨拶いって、安心させてあげたら?きっと、電話かけてくるのも、カッコよく小切手を断った後に、やっぱり不安になっちゃったんじゃない?ラクな方がいいよ!」
めんどくさかったら、ラクしていいのかー。ちょっと目からウロコでした。さすが小学校の先生で3児の母。でも、今となっては、本当にあのときラクして良かったと、心から思えます。常に全力で頑張るだけが正解じゃないんだと、学びました。

その後、タタさんに預けはじめて、あ、この人だったら大丈夫だ、と確信できた出来事が2つありました。
ひとつは、ベビーカーについて、聞かれたときのことでした。「とっても素敵なベビーカーね!どこで買えるのかしら?教えてくれる?」と。サイトのリンクを送りました。そしたら、その後、お迎えに行ったとき、他の子のベビーカーは、アパルトマンの共有ゾーンの内廊下に置いてあるのに、我が家のベビーカーは、部屋の中で保管されていました。そう、我が家のベビーカーはちょっと高級車なのです。たぶん、取り扱っていく上で、値段が気になったのでしょう。お店を教えて、と遠回しに聞いて、値段を調べたのだと思います。その気遣い、アッパレです!
ふたつめは、靴下のはかせ方でした。私が娘に靴下を履かせるときは、いつも足首周りがグチャグチャ。帰ってきて、ツナギを脱がせると、靴下がソックタッチで止めた女子高生の如く、ピッとしているではありませんか!丁寧な仕事ぶり、ありがとうございまっす!
こういう些細なことから、人柄がみえるものだなと、自分自身も気をつけようと思ったのでした。

お世話になって、もう2年以上。契約前のひと悶着も、今思えば、タタさんの人情味ある人柄だったからこそと理解できます。娘のお誕生会には、我が家にきてくれますし、タタさんのお誕生日にはケーキを焼いて持って行くという関係にまでなりました。
ロックダウン以降、まだ夫婦共に在宅勤務が続き、娘は我が家にいます。娘も、はやくタタさんに会いたいだろうなぁ…。

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