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勝負哲学(岡田武史・羽生善治)【読書メモ】

かなり前に買って読んでなかった。最近はD2Cとかアフターデジタルとかトレンド・テック系の本を連続で読んでいたので、息抜きもかねて、この本を読んでみました。

元サッカー日本代表監督の岡田武史さんと将棋で初の7冠を達成した羽生善治さんの対談です。ほとんどの人が2人のことを知ってる気もしますが、一応、2人の紹介(amazonから引用)。

岡田武史さん
サッカー日本代表前監督。1956年大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、古河電工サッカー部(現ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。日本代表としても活躍する。1990年現役引退後、コーチ就任。その後、ドイツへのコーチ留学、ジェフユナイテッド市原のコーチを経て1994年日本代表コーチとなる。1997年日本代表監督に就任、ワールドカップフランス大会の日本代表監督を務める。コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスで監督を歴任。2010年にはワールドカップ南アフリカ大会で二度目の日本代表監督を務めると、自国開催以外のワールドカップで初のベスト16に導く快挙を達成。日本サッカーを世界レベルに押し上げた立役者であり、選手からの信頼も厚い。日本が世界に誇るもっとも優れた名監督のひとりである。
羽生善治さん
1970年埼玉県生まれ。将棋棋士。6歳で将棋を覚え、小学6年生で二上達也九段に師事し、プロ棋士養成機関の奨励会に入会。奨励会の6級から三段までを3年間でスピード通過。中学3年生で四段に昇段、プロ棋士となる。1989年19歳で初タイトルの竜王位を獲得後、破竹の勢いでタイトル戦を勝ち抜き、1994年九段に昇段。1996年には王将位を獲得し、名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王と合わせて「七大タイトル」全てを独占、史上初の七冠達成として、日本中の話題となる。2007年に、最年少、最速、最高勝率で史上8人目の通算1000勝を達成。現在、全7タイトル戦のうち6つで永世称号の資格を保持する、名実ともに最強の棋士。
補足)2020年の段階だと永世7冠(史上初)。

厳しい勝負の世界に身を置いている2人の対談には仕事や人生において、いろいろとヒントになるような言葉がいくつもありました。気になってる部分に付箋貼っていたらだいぶつけてしまった。

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プロとしての姿勢やマネジメントについて参考になる本でした。サッカーが好きな人は岡田さんのW杯の裏話的な内容もでてくるので、それも楽しめると思います。

メモした言葉たち

岡田「つまり直観はロジックを超えるものですが、同時にロジックによって支えられているものでもあるんです。」
岡田「羽生さんの強さの秘密を少し垣間見た気がするな。周到さと切り替えの早さだ。」
羽生「『じっと我慢』が状況を好転させる。損ねたものを挽回しようとするより、まだ残っているものを見失わないようにする」
岡田「よく点をとるがディフェンスをしないFWと点も取るがディフェンスもよくするFWのどっちがいいかと言えば後者のほうがより素晴らしいに決まっています。どうせ目指すなら、その素晴らしいほうを目指そう」
岡田「いいチームというのは、いろんな才能が組織的に連動しているものです。」
羽生「決断とリスクはワンセットのものだということです。リスクテイクの覚悟のない決断は本来ありえません」
羽生「結果的に上手くいったか、いかなかったかではなく、そのリスクをとったことに自分自身が納得しているか、していないかをものさしにしているんです。」
羽生「英断というのはプラスの環境からは出てこない気がします。」
岡田「たしかに。決断というのは足し算ではないね。逆ですね。余分なものをそぎ落とす作業です。」
岡田「それ(プレッシャー)を開放させるのは練習と、練習に裏打ちされた楽観。」

などなど、たくさんメモしました。

岡田さんと羽生さんのような境地にまでは、まだまだたどり着けていはいませんが、2人に少しでも近づけたらと思いました。

目次だけでも学びになりそう。下記で気になる項目ある人はぜひ2人の対談をまとめてある本書を読んでもらえると楽しめると思います。

目次

まえがきー岡田武史

1章 勝負勘を研ぎ澄ます
論理を超えるもの、直観を支えるもの
・データなしでは勝てない、データだけでも勝てない
・W杯直前のシステム変更を決断させたひらめき
・努力の積み重ねが直観力を発達させる
・勝負の中の「偶然性」にどう対応するか
・直観を信用するために必要なこと

勝負どころを読む力
・危険なとき、苦しいときこそ勝負のとき
・小さなミスほど試合の流れを大きく変える
・「じっとがまん」が状況を好転させる
・相手に「手を渡す」ことで勝機をつかむ
・相手の長所を消しながら自分の強みを出せ

全体を客観視できる「広い目」をもて
・戦況を第三者の視点でながめる中立の目
・トップアスリートに必要な「広い集中力」

2章 何が勝者と敗者を分けるのか
リスクテイクをためらうな
・選手の自主性と組織の一体感が両立した理想のチーム
・リスクから逃げるたびに、少しずつ、確実に弱くなる
・「死ぬまで勉強、一生チャレンジ」を体現していた老棋士
・新しさに鋭敏でないと最前線では競えない
・守るべきものと変えるべきもののさじ加減

打たれ強さを養う
・重力でありながら揚力でもあるプレッシャー
・開き直りでしか背負えない「重圧」のそこで目覚めたもの
・可能性に比例してプレッシャーも高まる
・「勝てるメンタル」に何が必要か
・心おきなく戦うために「ふつうの時間」を担保せよ

「勝てる人間」を育てる
・選択肢が多すぎる時代に「野生」の復権を
・「気づかせる」指導が選手の自主性を引き出した
・「絶対に譲れない一線」で本気が伝わる

3章 理想の勝利を追い求めて
集中力の深度を増す
・棋士の集中力の密度は並外れて高いか
・「深い集中」と「力まない集中」のふたつがある
・集中力の深海に交錯する狂気と玲瓏の世界
・チーム全体が「ゾーン」に入った稀有の体験

闘争心を制御せよ
・執着心のわずかな不足が敗退につながった
・「制御された闘争心」こそが勝利に不可欠
・勝ち負けより「勝負のもつ深み」に出会いたい
・スポーツとしてのチェス、文化としての将棋
・大震災の悲劇の底から変化の火種を取り出そう
・すべて不確かな世界の中で頼れるものは何か

戦いに美学を求める
・隙のない戦い方が生み出す美しさ
・ずるがしこい戦い方は日本人の美学にそぐわない
・「負け」の中からこそ潤沢な教訓を拾い上げられる

あとがきー羽生善治





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