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素人をプロにするためのデザイン研修

Webサイト制作をする制作課を管理してました。
有名な会社でもないし研修が十分に揃ってるわけでもないし給与が高いわけでもない。即戦力を採用することは難しかったです。

採用方針として組織に馴染めそうな素人を採用して入社後にスキルアップしてもらうしかなかった。試行錯誤した結果、以下の研修に落ち着いた。

入社後の研修

Step01:デザインのトレース
Step02:先輩との検証会
Step03:違う人のデザイントレースと検証会
Step04:時間意識

Step01:デザインのトレース

まず過去に社内で作ったサイトのキャプチャをとります。それをフォトショップとかイラストレーターでトレースしてもらう。JPGからPSDとかAIとかのデータを作る。復元作業みたいなイメージ。
最初は時間は制限しません。終わるまで頑張ってもらいます。

Step01で確認したいこと
①フォトショップとかのツールがどれくらい使えるか?
②わからないことに対する対応(ずっと悩むタイプ、すぐに先輩に聞くタイプ、自分で調べてるタイプなど)
③時間意識(キチンと納期を守れるか)
④こだわり度
を主に見てました。
面接のときではわからない実際のスキルと仕事に対する姿勢がわかるので今後のマネジメントの参考にします。

Step02:先輩との検証会

トレースが終わったら次は実際にそれ作った人(先輩)にチェックしてもらいます。
ここの線はこうやったとかこのレイアウトはこう言う意図とか、この表現するときはこの機能使うと早いよとかレクチャーしてもらう。
ツールの使い方とかコツみたいなものも教えてもらう。
先輩の作った過去のイラレやフォトショップのデータも見てもらってレイヤーの使い方とか効果の使い方とか自分とどう違うか確認して知らないことは覚えてもらう。

Step02の目的
①一回悩んでから知ったことの方が納得度(記憶)が違う。
②新人と先輩のコミュニケーションが増える(今後お互いに話しやすくなる) 。
③先輩は教えることでスキルの復習になる。中途半端に覚えていたことを人に伝えると整理されるので先輩も勉強になる。
④先輩から評価報告をもらうことで先輩の人が普段何を気にしてるのかなど先輩のことも確認できる。

Step03:違う人のデザイントレース

今度は違う人の過去のデザインをトレースしてもらって終わったらまた検証会をする。

デザインは人によって癖みたいなものがあるしテイストが微妙に違う。得意なデザインも違う。出来るだけ最初に色々なテイストのデザインを経験してもらい今度の成長に役立てもらう。
できれば先輩全員分のトレースしてもらう。そうすることで全員とコミュニケーションとりやすくなるし全員から報告もらうことで既存のスタッフの視点の把握と多角的に新人をチェックできる。自分だけでは気づけなかった特徴とかも把握できるから今後のマネジメントの参考になる。

Step04:時間意識

今までは時間制限なしでトレースしてもらっていたけど次は時間制限つける。社内の標準工数内でトレースしてもらう。
最初はこれまでトレースしたものを再度トレースして、時間内に終わるまで繰り返しやる。
アイデア出しがない分、本来より時間短く終わらないといけない。
終わらないのはツールの使い方が慣れてないだけなので覚えれば早くなる。これで最低限のツールの使い方は覚える。

商業デザインなので必ず締め切りがある。いかに時間内に最高の制作できるかが大事なので時間意識はしっかりと持ってもらう。
生産性を考えられない制作者は、だいたい成長が中途半端なところで止まる。

時間内に終わるようになったら本番。少し納期の長めな案件を任せてみる。不安なときは先輩にも同じ案件任せておいて保険つくっておく。だいたいそのパターンのときは先輩のほうが採用される。比較して足りないところを自覚してもらって成長につなげてもらう。

この流れでとりあえず最低限の戦力として計算できるようになる。ようやくスタートラインに立てる。
早い人だと1ヶ月、遅いと半年くらいかかる。

まとめ

この方法のよいところは放置時間が長いこと。人が足りなくて採用してるので教えてる暇なんてない。一日中研修したりしてる時間なんてない。デザイントレースするのにだいたい1日はかかるので、その間はだいぶ放置していられる。

あとは先輩側のチェックもできる。
先輩の報告聞くことでこの人はこんな視点で仕事してたのかとかこの人はマネジメントもできそうだなとかの確認できるので先輩側の今後のマネジメントに役立つ。

たまに座学で人集めて研修みたいのやりますが制作は悩んで試行錯誤しながら手を動かすのが1番スキルが身につくと思う。

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