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【自己紹介⑲】19年間の教員人生にピリオドを打つまで〜崩壊したクラスとの再開編パートⅡ〜

先日、離任式に参加してきました。私が働いている自治体は、異動に関する発表は4月1日の教育新聞。始業式に来て、初めて先生が異動した事や退職したことを知ります。離任式の挨拶はとても苦手です。ですが、先輩教員に「子ども達にきちんとお別れの時間をとってあげること、区切りをつけることが大事だよ」と言われて納得しました。でも、行ってみたら区切りの日というよりも、子ども達からたくさんのパワーをプレゼントしてもらう日でした。
教員を19年間やってきて、本当によかった!そう思える時間でした。

教員養成大学を卒業して、そのまま採用試験に一発合格……違和感を感じつつ、なんだかんだで19年間必死で小学校教員やってきました。……が、ついに2021年3月で退職しました。

自己紹介を兼ねて、退職に至るまでの道のりを書かせてください。

今回は、2年生で激しく学級崩壊した単学級を3・4年生で死にそうになりながら担任をしながらも、子ども達との信頼関係を築き、子ども達を励まし続けた2年間。しかし、5年生で担任が変わり、再び、学級崩壊してしまった。

教員人生17年目のこと。
かつての教え子達の荒れた学級の様子を聞き、投げやりな子ども達の姿を見た時、再びあの子達を担任することを決めた。

今回は6年生の1年間を再び担任した時のことを書きます。

1.信じて、待つ


始業式・入学式で発覚したお菓子事件。

もう絶対に学校にお菓子を持ってこない

学校でお菓子を食べない

学校のルールを守る

お互いに止める

流されない

そんなことを誓った子どもたち。

こうなったら、教員のすることはただ一つ

「信じる」です。

変わりたいと思っている子ども達を信じて

変わっていくのを待つ

教員をしていて、そして自分も親になってみて

「待つ」ということが

いかに大事で、そして難しいか実感した。

待ってもむだなことがある 
待ってもだめなこともある 
待ってもむなしきことばかり 
それでもわたしはじっと待つ (相田みつを)

親も教員も、子どもを信じて待つ

裏切られても、その時結果が出なくても

だけど、信じて待ってもらった経験が

子ども達にとっては心の栄養になる

そう信じて……

2.待てないこともある

だけど、イジメ問題は待てない

2日目は、イジメ問題に斬り込む。

担当直入に、

「このクラス、イジメがあるよね❓」

と投げかけた。

一瞬空気が止まった感じ。

「なんでこんなことしてるの❓」

どんな理由があってもイジメは許されない。

でも、何のためにやっているのか

彼の何が許せないのか

彼はここまでされるほど何かを彼らにしたのか

イジメている側にはイジメている側なりの正義

だけど、それならばもう十分でしょう

イジメのきっかけは、

イジメられていた彼が言った

心ない一言

言われた子も深く傷ついたに違いない

でも、イジメの中心になっているのは

言われた本人ではなく、周りの子ども達

最初は正義感から始まったことだった

でも、ひどいことを言われた当人は

みんなでイジメで欲しいなんて

1ミリも思ってない

溜まった思いをとにかく吐き出させた

「こいつが言ったあのひどい一言が許せない」

「何度言っても直らない」

「鼻くそほじってた」

いちゃもんみたいなことも多い

彼の全てが許せない

そんな状況

次に聞いたのは、

「今のクラスについてどう思っているのか」

全員に一言ずつ、自分の意見を言ってもらった

イジメなんて嫌だと思っていても

やめようって言えない

そんなことしたら自分もそうなるのかも

イジメには、3種類の立場がある。

①イジメられている人

②イジメている人

③イジメを見ている人

この全員が傷つくイジメ。

イジメられている本人の心の傷は計り知れない

そして、その後の人生にも大きな影響を与える

イジメは見ているだけでも心は疲弊し、傷つく

そして、イジメている本人も

他人を傷つけ、そして自分を傷つけている

正しいことではないとよく分かっている

どんなに言葉で正当化しても

それは、ただ必死に自分を守っているだけ

あいつが人を傷つけたから

おれもあいつを傷つけていい

イジメられるのはあいつが悪い

救いは、

イジメのないクラスにしたい

という思いはみんな同じだったこと

イジメを先導していたメンバーは

かつて、たくさんの間違いをしてきた

誰もが、たくさんの間違いを許してもらって

今ここにいること

誰だって間違ったり、失敗することがあること

違いを受け入れることが無理でも

違いを受け止められるようになって欲しいこと

そんなことを伝えた

そんなにひどいことをしたつもりはなくても

誰かの人生を台無しにしたり

誰かの命を奪うほどの

そのくらいのことを集団でやってしまっている

そこまで想像してごらん

心の中に溜まっていた言葉を吐き出させて

今どう思っているのか

これから1年間どんな風に過ごしたいのか

集団としての思いを確認して

話し合いは終わった

こうしなさい、これはやめなさい

ではなくて、

1人の大人としての私の考えを伝えた

私はこう思う

でも、

これからどうするのか決めるのはあなた

いつだって教員にできることは

伝えることくらい

どうやったら伝わるのか

どの言葉が響くのか

そんなことに悩みながら

押したり引いたり

だけど、イジメは絶対ダメなんですよ

待ってたらダメなんですよ

3.その後

次の日から、突然和気あいあいとして

集団の中に彼を迎え入れる

という雰囲気にはならなかったが

イジメはなくなった

普通に彼に話しかけ、

一緒に様々な活動ができるようになった

イジメが彼の心につけた傷は深い

その後の友達との関わりの中で

日記に書く文章の中で

深い傷が残っていることを

感じずにはいられない場面がいくつもあった

学年1クラスしかない学校

クラス替えがなく、担任が変わるだけの6年間

人とのコミュニケーションに課題があった彼は

そんな環境の中で、

心から分かり合える友達と出会うことが

難しく、苦しかったに違いない

思春期に差しかかり、

自分を理解すること

自分を理解してもらうこと

に悩みながらも

日記に本音を綴り

理解のある保護者のおかげで

笑顔で卒業式を迎えることができた

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
このクラスを6年生で受け持った時には、様々なドラマがあったなぁ…と思います。
あまりにもドラマがありすぎて、教員としてやり切った感じがした1年間。

また機会があれば、この年の思い出を書きたいと思います。

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