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伊藤詩織さんのブラックボックスを読んで書評/感想①

ついにアマゾンで購入しました。今迄なぜ買わなかったかと言いますと。面白くないのが分かっていたからです。社会的に注目されていても、です。

大抵、著者の顔アップが表紙になっている女性の告白本ってつまんないものが多いからです。

やっぱり、「こんな社会的に注目された事件の告発本がブログのエッセイみたいなクオリティなんだ、よくこれで千円の価格設定ができたな」というのが正直な感想です。

格式ある料亭だと思って入ったらコンビニ弁当が出てきた感じ。

当時無名の人が書いたタレント本

とにかく文章があちこち飛んで、研究論文や仕事の報告書などをちゃんと書いてこなかった人だな、と思いました。

「読む相手を思いやる文章」じゃないんですよ。読者に不親切。死語でいうと「独りよがりな文章」

著者のファンが読む前提の「タレント本」とそっくりな仕上がり。

でも当時はこの人、無名だったんですよね。

とにかくこの本は全体的に構成力がなくて中身が雑です。私はこうだった、私はこう思った、私はこう感じた、こんなことされた、こんなこと言われた、という「私」しかいない。はっきり言って自己中心性の強い人だと思いました。

そういう人はたくさんいますから別にいいんですが、タレントや女優ならいざ知らず、ジャーナリストに向いていないと思いました。あとで書きますが「この人記者に向いてないなぁ...」と思うことがたくさんあります。それとこの本の特徴ですが伊藤詩織さん、「自分に都合の悪いこと」は書いてない。これもあとで説明します。

人間関係図がわかり辛い

登場人物が少ない割に、事件の関係図がわかり辛いのです。

まず伊藤詩織さん、同居した恋人、ご両親、妹さん、友人K、R、捜査員のA氏、そして山口敬之さん。大体はこれくらいなんですが、どういう関わりなのか、というところがしっかり体系化されてないんですね。唐突に人物が出てくる。

変に大事なところを省いているというか。その割にどうでもいいことは細かく書いてある。子供の頃にイルカの浮輪を買って欲しくてスーパーの床に転がって大泣きしたとか、所構わず迷子になったとか。友達を引き連れて日が暮れるまで冒険して友達の母親を心配させたとか。

多動児なのでは

これは後々の伊藤詩織さんの行動の端々に現れることなので印象に残りました。しかしこの描写は事件に必要なのか。

モデルとしてプロ意識を疑う行動

それで、詩織さんは9歳の頃にモデル事務所に入り、仕事をするようになります。ここでも、わかり辛い描写が出て来ます。(p.24)詩織さんにモデル事務所からから持たされるのが「ピカピカのブック」というところ。

これは営業のためのモデルのサイズや年齢など書いたプロフィールファイルブックのことだと思うのですが、モデル事務所を経験したことない読者には何のことだか分からないだろう、と思いました。

モデル業の表現も「自分が商品になった気がした」って書いてますが、そもそもモデルってそういうものでしょう。何を期待してモデルをされてたんでしょうか。自分の美で服を売る仕事でしょう。

この後、大手芸能事務所に友人がいる私には衝撃的な詩織さんのプロ意識のなさが出てきます。モデルになったことでいじめに発展した。とあります。うーん...そうではなくて、モデルを鼻にかけたのではないかな、と思いました。

(p.25)で詩織さんは入院生活を送ります。病気になったのです。しかし肝心の病名が書かれてない。

読んだ方はモヤモヤしますね。なんの病気だったの?この肝心のところが書かれていないくてモヤモヤするというのはこの本の特徴の一つですね。記者魂あるなら、どういう病気でどう快癒したのかちゃんと細かく書かなきゃ。誰かの参考になるかもしれないでしょ?

ジャーナリズムの役割ってそこじゃないの?

そして、退院するとまた唐突にアメリカに留学に行ってしまいます。最初はカンザスのトレーラーハウス。その次は「牛を300頭以上飼ってる家」。

いいえ、こういう時は「牧場主の家」とか「300頭の牛を擁する農家」と書かないと読者は分かり辛いでしょう?基本的にこの人、文章に馴染んでないんですよね。

豊富な読書の跡が見えない文章というか。いわゆる語彙が豊富ではないとか、そういうところですらなくて、一度きちんと日記や書評から書き始めて小論文で起承転結をまとめるトレーニングをしたほうがいいのでは、などと思ったり。この本出した時の編集の苦労を考えてしまいました。

留学から帰国すると11キロ太っていて真っ黒

(p.32)〜で留学から帰国したとあり、詩織さんは11キロ太って真っ黒になっていた。

「久しぶりにモデル事務所に行くと驚いたスタッフにダイエットをするように命じられたが(中略)以前の芸能の仕事は必要なかった」

このページを読んで、「ええ?」と思わない人は芸能界を知らない人です。モデルが11キロ太るなんて重大な契約違反です。

プロ意識を疑われます。宣材写真も全部撮り直さないといけないし、オファーを受けたり、挨拶回りしたところには容姿が変わったことを一から報告しないといけません。

売れっ子ならいざ知らず、一年近くも留学ができるということは相当おひまな子だったんでしょうし、(これも事務所とっては迷惑だったでしょう)そんな手間暇かけられません。これはクビになったんだと思います。

自分から辞めたように書いてはいますが、多分、芸能事務所から解雇されてます。

こういうところで業界筋の人は「この人は... 」と警戒感を抱くんじゃないですかね。

チェックインに遅刻、飛行機に乗り遅れる〜貧困学生なのに世界各国の大学へ留学

(P.34〜5)あたりは、詩織さんがどこの大学に行ったのか、どの国に行ったのか、何回も読み直ししないと理解できない仕組みになっています。ジャーナリストを目指して世界を飛び回る才女、というイメージがなぜか浮かんでこない。諸国を右往左往。

一つの街にじっくり腰を据えて街を研究するとか、そんな風情でもなく、「ニューヨークの大学に行くために各国の大学で単位を集める作戦」ということですが、ドイツへ行き、スペインにいき、単なる思い付きで学習環境を変えているように冷たいようですが見てしまいます。

こうして国際的な素養を身につけていて、多国に就職先を求めることが可能なはずのに、なぜ、日本のマスコミ大手に勤務していた山口氏を頼ろうとしたのだろうか...という疑問が浮かびましたが、何度読み返してもこの謎は最後まで溶けませんでした。

それで詩織さんは友人と東南アジアに行く旅でチェックインに遅刻し、搭乗予定の飛行機に乗り遅れます。この辺りでジャーナリストに向いてないのでは...とさらに思いを強くしました。こんなことをする記者を雇う会社はないだろうと思いました。社員として囲うにはリスクがありすぎる。

ジャーナリストというよりは、社会人に向いていないのでは。

環境を変えることで成功できると思うトラブルメイカー

自分を変えずに環境を変えることで自分が輝くことができると信じてる人って傍迷惑なんですよね。こういう人は震災や原発事故などの時代の転換期に「今こそ自分が社会を牽引する時!」みたいに突然活動家になってトンチンカンなことをして被災者から嫌われたりします。

何故なら災害・被災の専門分野を勉強したこともないのに、被災者に偉そうに指図したり説教したりするからです。裏を返せば、そういう人は、自分よりも弱い立場、困った立場にいる人に威張りたいだけなんです。本質は「自己優位性の確認」なんです。だから被災者から本質を見抜かれて嫌われる。基地問題の活動家とかも当てはまります。

詩織さんもそういう性質の人ではないといいなと思いつつ、ページは進みました。

不可解な恋人との別れ

詩織さんは(p.36〜)で同居していた恋人と別れます。実はこのことが詩織さんの運命を大きく変えることになります。

ニューヨークでジャーナリズムを学ぶために各国で単位集めをしていた詩織さんに対して、まだ学業半ばなのに恋人はプロポーズしてきます。これも唐突だな、と思いました。せめて大学卒業まで待てないのか。

そして詩織さんは全ての努力はジャーナリストになるためにと書いてあり、プロポーズを断ります。

しかしここで恋人と別れるとジャーナリズムを学ぶ道も閉ざされるのではと思い、随分矛盾したことを言うなぁと思いました。

やはり一人暮らしのコストに耐えきれず、両親に借金を申し込んで帰国を命じられ、日本に戻ります。そこで日本での就職探しに奔走することになりますが、やっぱり行動に一貫性がなく怖いな、と思いました。ジャーナリストになりたくて散々世界を放浪してきたのに、両親の帰国命令には素直に従うんだ...なんだか腑に落ちないものを感じました。

ポンコツ女のメンヘラ日記?

ジャーナリズムの学業を半ばにして、年齢も中途半端(26くらい?)これで両親を安心させるために日本で報道関係の正規雇用への道を探すというもの、随分虫がいい話だな、と思いました。そんなに両親思いならそもそも世界を放浪するだろうか?と思いました。何か各箇所に矛盾が出てくるんですね。エッセイとしても成立しない内容です。


ビザに対する説明不足

(p.40〜)で帰国した詩織さんはロイターのアジア本社と契約を結びます。これにご両親が大反対します。いつもご両親が詩織さんの岐路に立ちはだかります。理由は「生活が安定しない」。

ここでも私は少し驚きました。25過ぎて親の干渉を受けすぎ。

何か「世界を放浪してジャーナリストを目指す」という「自立した女性」には考えられない他者依存が見えてきました。恋人と別れたらNYでは一人では生きていけない。日本でロイターと契約したら親から不安定だからと反対されNYで現地採用の道を考える。

ロイターアジア本社との雇用契約はどんな内容で記事の対価はいくらで、どれだけ記事を書いたら生活が成り立つのか、計算したら成り立たない、とかインターン(無給の見習い)と報酬体系がどう違うのかとか、そんな説明は書いてないので両親の過干渉だけが強く印象に残りました。精神的自立ができない女性だな、という感想しか出てこない。

それで...(ここまででかなり読むのが苦痛になってきました...)詩織さんはワシントンにいる山口氏に就職のツテを求めて連絡を取ります。

(p.45〜)ではビザについて詩織さんはこう書いています。「ビザには色々な種類がある。プロデューサーなら正式な就労ビザが必要だ。」

(p.46〜)で山口氏は「インターンなら即採用、プロデューサーで有給でも検討する」とのこと。そして詩織さんは山口氏からビザを持っているか聞かれます。

そもそも、詩織さんは就労ビザの説明を一切しないのでビザのことでどうして後々山口氏と揉めたのか、読者には全然わかりません。読者には小学生だっているかも知れない。パスポートを持ったことがない、という人だっているでしょう。旅券のことはいいとして、就労ビザがどんなものか説明しないと。

とことん大事なことが「説明不足」なんですね。記者に向いていないです。「自分が取材や体験でよく知っている事象を、知らない人のためにわかり易く説明する」これが記者の仕事の基本だと思います。逆に誰でも簡単に説明できる事をわかりやすく説明できないって、相当頭悪いんじゃないか、と思いました。

就労ビザとは日本人が海外で働くための許可証のようなものです。当地で就職先が決まってないと出してもらえません。犯罪歴がない事、専門性ある大卒資格等、審査はとても厳しい。外国人の不法就労で自国民の利益や治安を侵害されないためです。

そのため、日本から海外で働きに行く場合は先に就職先を探したり、求職活動を展開しないといけません。雇用先の海外企業や日本の海外支店が労働者のビザ申請をサポートすることが多いです。

ビザの攻防戦

山口氏はここで詩織さんに大きな「希望の箱」を見せます。

(p.44〜)山口氏「履歴書受け取りました。ありがとう。最大の関門はビザだね。TBSで支援する事も可能ですので検討してみます」

つまり山口氏はここで詩織さんにとって安定した仕事をもらえる最後のツテになります。インターンではNYで生活できないことを骨身に染みた詩織さんは当地で有給の仕事を得るために、何としても就労ビザを手に入れなければなりません。

この就労ビザが出せるか出せないかは、詩織さんと山口氏の攻防戦にとって大きなカギになります。

詩織さんは最初から最後まで山口氏が自分にビザを用意してくれるのが当たり前だとする言動をしています。果たしてその価値が当時の詩織さんにあったのでしょうか。やや不気味な気持ちが(p.45)あたりから。

怖いな、この人の「自分はジャーナリストになれる素質があり、山口氏が人を紹介したり自分のためにビザを用意してくれるのは当たり前だ」とする自信はどこから来るのだろうかと思いました。

多分、いくつかの署名記事はあり、山口氏に送っているのだろうな、と思いましたが、そういうところの記載は見当たりませんでした。

ビザをお願いするのに奢り?

このブラックボックスには記載がありませんが、この事件を追及している「サイト」には双方のメールが記載されており当時のやり取り全てが残っています。それで、山口氏は詩織さんを事件があった当日の夜に食事に誘います。「奢りますよ」と書いてあり、これも私はびっくりしました。

こういう場合、「お世話になる方が一席設ける」ことは誰からも教わらなかったのでしょうか。山口氏が奢りますと言っても、私が就職の斡旋をお願いする身なら「私にご馳走させてください」と即座に返信します。ランチなら銀座でも三千円くらいで美味しい料理を食べさせてくれるお店はたくさんあるし、なぜそんなに「タカリ体質」なんだろうと思いました。私は詩織さんが恋人と別れた理由はここにあるような気がします。

記載に矛盾あり、信ぴょう性に欠ける箇所多数

それで事件のあった夜のことですが、(p.49)に二軒目の寿司屋で昏倒しトイレの蓋に腰掛けて、そこからの意識はない、と書いてありますが、(p.205)に寿司屋を出た後に乗車したタクシー運転手の話で詩織さんと山口氏が「仕事の話をしていて、お寿司が美味しかった」と会話しているのを証言しているので一冊の本の中で記載に矛盾があります。

だからと言って詩織さんが被害を受けていないとは私は考えていないのですが、杜撰な箇所がいくつもあり、一体編集は何を考えてこの本を出したのかと思いました。裁判が全て終わって、判決が出た時では遅いんでしょうか。

続く(※この本を読んだ直後までは詩織さんは性被害者だと思っていましたが、多くの方が開示した資料を読むにつけて、詩織さんは虚偽告訴をしたのではないか、との疑いを強く持ち始めました。この疑惑の変遷は記録しておきます。)

ツイッターはアカウント変えました。

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