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300年前まで遡って、上田で最大規模の地震の震度は5~6程度~2024年3月議会①~


災害リスクを数字や根拠を持って冷静に捉え、対策を練っていく必要がある

(斉藤達也君) おはようございます。本日は、災害対策に絞って質問してまいります。
 質問に入る前に、令和6年能登半島地震により亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
 まず、今回の質問の意図についてお伝えします。2つあります。1つは、能登半島地震を教訓に上田市で想定されている最大規模の自然災害とその対策等について、市民の皆様にお知らせをすること。2つ目は、12月議会でも確認したとおり、当面歳出の増加が避けられない中、それを上回る既存事業の見直しや歳入増加が見込めない現状では、令和6年度当初予算を見ても分かるとおり、基金を取り崩して一般財源をやりくりしていくしかないという厳しい状況であります。想定されている災害を正しく恐れる必要がある、そのように私は認識しております。つまり、想定されている災害リスクに最大限対応できる上田市の財政状況であればよいのですが、それができないのであれば、災害のリスクを数字や根拠を持って冷静に捉え、できる対策を練っていく、そういった必要があると感じています。

上田市で過去に発生した最大規模の地震とその被害状況、現在想定されている最大規模の地震や洪水、土砂災害の発生確率、地域ごとの被害の大きさは?

 質問に入ってまいります。能登半島地震は26年前の地震被害の想定が見直されていない中発生してしまいました。上田市は、災害に強いと言われてきましたが、能登半島地震を教訓に、改めて上田市における地震等大規模災害で想定されている被害とその対策を確認させていただき、続いて、特に大きな課題となっている水とトイレの確保について、住宅密集地での災害対策、そしてこちらに関しては以前質問させていただいた中心市街地の治水対策の現状、そして最後に、災害ボランティアの登録制度の拡充について順次質問させていただきます。
 まず、想定されている最大規模の自然災害について伺います。
 1点目として、上田市で過去に発生した最大規模の地震とその被害状況はどうであったか。また、現在想定されている最大規模の地震や洪水、土砂災害の発生確率、地域ごとの被害の大きさはどうか。
 2点目として、想定されている最大規模の地震や洪水、土砂災害について、発生確率や地域ごとの被害の大きさは異なるが、市内の指定緊急避難場所及び指定避難所の収容能力はどうか。水、食料等はどのような前提を基に備蓄しているか。また、市民にとって身近な避難所である一次避難所の耐震性や洪水、土砂災害時のリスクを把握し、対応はしているか。
 以上2点お尋ねし、第1問といたします。

300年前まで遡って、上田で最大規模の地震の震度は5~6程度

総務部長(倉島弘一君) おはようございます。
 上田市で過去に発生した最大規模の地震とその被害状況についてのご質問でございますが、上田市地域防災計画の資料編におきまして、「新編 日本被害地震総覧」などの記録から、1707年の宝永地震、1847年の善光寺地震、1854年の安政東海地震、1912年の上田地震が掲載されており、いずれも震度5から6程度の地震が発生しております。
 このうち、1912年の上田地震では、大正元年8月17日の深夜23時21分に、マグニチュード5.1の地震が発生し、旧上田町を中心に直径12キロメートル、面積にして113平方キロメートルが震動区域になったと記録されております。この地震での被害状況として、中心となった旧上田町では、室内の食器類や瓦の落下及び外壁の亀裂や剥落をはじめ、神社の石塔や墓石の転倒及び地盤の小規模な亀裂などの被害があったと記録されております。

一方で、想定されている最大規模の地震は最大震度7、被害想定は市内全域で死者数2,000人

次に、災害種別ごとの被害想定につきましては、長野県地震被害想定調査に基づく被害想定について、上田市地域防災計画や災害ハザードマップに掲載しております。被害想定でございますが、地震災害では、糸魚川静岡構造線断層帯による地震を最大震度7と想定し、発生の確率は、30年以内に14から30%、50年以内では20から50%、100年以内では40から70%と想定しており、被害は市内全域で死者数2,000人、負傷者数2,180人、重傷者数1,140人、最大避難者3万320人、断水人口14万450人、停電件数6万6,760件と想定しております。

洪水の被害想定は、千曲川の洪水で最大20メートルの浸水が発生する可能性により危険区域は41自治会に及ぶ

また、洪水や土砂災害の被害想定では、浸水被害の最大値として、千曲川流域の2日間の総雨量を386ミリと想定し、これによる千曲川の洪水で最大10メートルから20メートルの浸水が発生する可能性により、千曲川の洪水氾濫の影響がある危険区域は41自治会に及ぶと想定しております。

指定避難所の収容能力は1万9,000人、食料品の備蓄は人口の5%・1日2食の2日分

 次に、指定緊急避難場所及び指定避難所の収容能力についてでございますが、上田市では指定緊急避難場所が74か所、指定避難所は66か所を指定しております。初めに、指定緊急避難場所の収容能力でございますが、グラウンド等の屋外での収容として、1人当たりの使用面積を2平方メートルとした場合の収容数を約20万9,000人と想定し、上田市の人口の約140%を収容できるものと見込んでおります。
 次に、指定避難所でございますが、施設屋内での収容として、指定緊急避難場所同等の1人当たり2平米を基準とした場合では、収容数は約2万9,000人、上田市人口の約20%と見込んでおりますが、感染症対策により一定間隔を考慮した場合には、1人当たり3平米を基準として算定することから、収容数は約1万9,000人となり、上田市の人口の約13%程度の収容想定数になると見込んでおります。
 次に、食料品等の備蓄品の確保対策でございますが、市では、上田市地域防災計画により、食料品等の備蓄・調達計画を定めておりまして、食料品の備蓄は人口の5%、1日2食の2日分を目安として、調理を要しない、または調理が容易な食品を中心に備蓄を進めております。
 また、飲料水につきましては、備蓄品としてボトルウオーターを確保しているほか、有事における配水池や浄水池の使用を想定し水源を確保する対策や、給水車及び給水タンクの確保をするほかに、飲用水を確保するためのろ過資機材を備蓄品として確保しております。
 このほか、災害発生時には、民間事業者等から食料品や資機材を提供していただけるよう防災協定を締結しておりますが、市で全てを賄うことは困難であるため、地域での出前講座等におきまして、市民一人一人が最低3日間、可能な限り1週間程度の食料品等の備蓄をしていただくよう周知啓発に取り組んでおります。 

各自治会の第一次避難所の安全性確保策として耐震化を推進

次に、第一次避難場所の耐震性や、洪水、土砂災害等のリスク把握についてですが、第一次避難所の安全性確保対策として、昭和56年以前に建設された建物につきましては、市として耐震診断士の派遣制度や耐震化工事に対する助成制度等を設けるなど、施設の耐震化を推進しております。また、各自治会における災害発生のリスクにつきましては、災害ハザードマップの配布のほか、自主防災組織リーダー研修や出前講座等において、各地区の災害発生想定など、日頃からの地域の点検や確認活動に対する周知、啓発を推進するとともに、地域の実情等に即した地域防災計画や地区防災マップの作成を促進し、作成に向けた助言や取組への支援を進めております。
 以上でございます。


(斉藤達也) 非常にご丁寧にご答弁いただきました。
 過去300年以上にわたって遡っても、地震に関しては震度5から6程度で、約100年前の上田地震の被害の状況というのも、非常に大きなものというわけではなかったということが分かりました。
 今後起こる自然災害に関しましては、もうあとは確率の話になってくると思うのですけれども、それを見据えて中長期の災害リスクを見越したまちづくりが必要になってくるのかなというのを改めて今答弁を聞きながら思ったところです。

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