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人はなぜ悩むのか

 悩みを抱えているという実感があるとき、それは本当に苦しい時間です。目の前に立ちはだかり行く手を阻む鬱陶しい敵として、我々はその除去に猛進します。普段よりもちょっとだけギアを上げて、なるべく早く解決できるようアイディアを捻り、あらゆる選択肢を比較検討して最善策を模索します。

 その過程をこうして文字にしてみると、何だか仕事で大きなプロジェクトに取り組んでいるように見えますよね。仕事をしている人もそうでない人も、大人も子供も、誰もが無意識にこのプロセスを行っています。会社は、社員が安定して暮らしていけるよう雇用の必要性を創出し続けなければなりません。そのため、利益を生むプロジェクトを次々と立ち上げ成功させていく、というのを繰り返していくと、結果的に会社が大きく成長し更なる雇用が生まれます。もしくは規模を変えずに長年に渡り安定的に雇用を守り続けていくことができます。

 人の悩みも、それと同じです。

 100年余りという長く限られた時間を有意義に生きるという目的を果たすためには意欲を創出し続けなければなりません。生きる意欲を持ち続けるには、何らかの課題をクリアし、成長を実感して更に上を目指していくという好循環の動力が必要です。その何らかの課題、つまり会社でいうプロジェクトが個人における『悩み』なのです。プロジェクトの成功が利益を生むように、悩みの解決は成長をもたらし生きる意欲に繋がります。ですから、なぜ人は悩むのかという問いの答えとしては、“生きるため”です。

 老若男女を問わず、どのような立場であろうと関係なく、全ての人に、それぞれに応じた悩みが訪れます。時には悩みから逃げたくなる時もありますよね。どんなに目の前に立ちはだかろうと、目を逸らし何事もなかったかのようにスルーしたくなる時もあります。なぜなら、先に申し上げたように悩みの解決には普段よりもちょっとだけ多めにエネルギーを要するように感じるからです。目の前の悩みの大きさに怖気づき、「今は立ち向かえない」とへたり込んでしまうこともあります。それでもいいんです。なぜなら、悩みは必ずまたやってきてくれるからです。悩みはその人の成長に必要だから訪れるわけですから、充電して悩みに向き合えるようなコンディションになった時に、再び、時と人と場所を変えて同じ悩みがやって来てくれます。逃げても逃げても必ず追っかけてくる、なぜなら悩みはその人の成長を決して諦めずに信じ続けてくれているからです。悩みの外見は醜悪かもしれません、しかしその存在は何とも愛おしく思えてきますよね。

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