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選挙事務を10年やった元公務員が選挙について考える

もう少ししたら選挙がやってくる。
7月10日は参議院議員選挙。
今回はどのくらいの人が投票に行くのだろうか。

私はとある自治体で10年もの期間、選挙事務に携わってきた。
その経験から選挙について思うところを勝手に語っていこうと思う。

多くの自治体には「選挙管理委員会」があって、そこが主となって選挙に必要な準備や業務をすることになる。
ただ、選挙がある時はとてつもなく忙しいが、選挙が無いとそこまですることが無い。
そのため他の部署に比べると圧倒的に人員が少ない。
(私が勤めていた自治体は正職員が2名で業務の繁忙さに応じて会計年度任用職員を雇うというような感じだった)

選挙は選挙管理委員会だけでは当然できないので各部署へ応援要請がされる。というか勝手に割り当てられる。

まず期日前投票に関する職員の応援要請。
期日前投票に行ったことがある人であれば雰囲気がわかると思うが、投票所には案内する人や入場券を確認する人、投票用紙を発行する人、投票所の責任者・立会人といった人がいる。
その人員を確保するため各部署へ応援要請をかける。

ただ選挙はそれだけではなく、必要物品の手配、仕分け、掲示板の設置、人員配置、問い合わせ対応等々いろいろやることがある。
それを会計年度任用職員で募集する。いわゆるバイト。
ちなみに選挙事務のバイトは仕事内容によっては深夜近くになることも往々にしてあるので定時で帰りたいとかっていう人は注意したほうがいい。

そして選挙の前日および当日。
ここで多くの職員が借り出される。
主に若い職員。といっても若い職員なんて採用を削ってるから結局は上の職員も借り出されることになる。
若い職員がいい理由は人件費が安く済むから。
まぁ当然と言えば当然。
私も所属部署での業務が無い限りはもれなく割り当てられていた。

前日に投票所の設営を行い、当日は選挙事務に従事する。
ちなみに応援要請される職員は大体自分の住んでいるところの近くの投票所に割り当てられることが多い。だから当日は友人や知人が投票に来たりして若い人の投票率の低さから「ちゃんと投票に来るんだ」と感心したりもしていた。

当日は投票所での投票事務のほか、開票事務が投票時間が終了したあとに行われる。
投票事務も拘束時間が13時間なので長いのだが、その後に開票事務を行わなければならないので、当日の拘束時間の長さはかなり堪える。
しかも選挙は大体日曜日に行われるので、翌日からまた仕事なのである。なんなら土曜日は準備作業があるためあっという間に12連勤の完成だ。

開票事務は規模が大きくなれば大きくなるほど時間を要する。
例えば各自治体の長の選挙であれば候補者の人数に応じて票を分けて数を数えれば済むが、今回のように小選挙区と比例代表とがあれば、それぞれが混ざらないように数える必要があり、候補者の人数の多さ・政党名と個人名が入り混じる票を分けるだけでも時間を要することになる。
担当業務によって帰れる時間はマチマチだが、日付が変わる前に帰れたら上出来だろう。
最終確認をする人なんかは夜中か明け方の帰宅になることもザラにある。

これが選挙事務だ。

選挙事務をやっていたこともあり選挙には毎回行っていたが、今の世の中誰がやってもどこの政党に入れても変わらないと思っている人もいるだろう。
政治に興味がない人や忙しくてそんな余裕がない人、面倒くさい人もいるだろう。
気持ちはよくわかる。
元公務員で選挙事務もやっていた私でさえ特段政治に興味があるわけでもなく行くのが邪魔くさいと思ってる人間である。
ただ、それでも何らかの意思表示は必要だと思っている。
投票に全く行かない人が政治に文句ばかり言うより、直接投票所に行って「私は今の候補者に応援したい人はいないので誰にも投票しません」と意思表示をしてほしい。
(私が10年の期間で従事した選挙の中でそういう人は1人しかいなかったけど)

面倒だと思う。
わざわざ時間を割いて何の意味があるんだと。

でもその投票によって選ばれた議員が政治に携わりこの国の行く末を決めていこうとするのである。
その決めた政策が私たち国民に返ってくる。
なかなか恐ろしいことだ。

買い物のついでや遊びに行くついでとかでもいい。
入場券が無くても投票はできる。

たまには投票に行ってみるのもいいかもしれないよ。

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