アーティストにオススメの働き方(長文)
これまで6年間、渋谷で毎月開催しているオープンマイクイベント「彩りモノクローム」。
「アーティストの楽屋の延長線上」をコンセプトに、どんなアーティストでもノルマなしで10分間歌える環境を作ってきました。
毎月15組前後のアーティストが来てくれているので、これまでのべ1000組以上、リピーターが3割として700組くらいは見てきています。
それに加え自分の活動で経験したことも踏まえ、法則めいたものを感じています。
最近、働き方やアーティスト活動のアドバイスを求められることが多いので、書いてみます。
不愉快な部分もあるかもしれないですが、普段通りのことを。
まず年齢ですが、24歳前後までに大手から声がかかっていないと、自然に声がかかることは滅多にありません。
そして、バイトや仕事ですが、アーティスト業で若くして結果が出る人は、何をしていても関係なくアーティストとして結果を出します。
断言しますが、華や才能っていうのが、そこには本当に存在します。
そうでない24歳以上のアーティストは、活動の仕方を考え直し、「続ける」「結果を出すため」の方法を考える必要があります。
まず、僕が一番大切だと思うのが、「社会人としての一般的な教養を身につける」ことと、「仕事以外で付き合う人間を選べる環境を作る」ことです。
これは早ければ早いほどいいです。
「僕は頭悪いんで」なんて言っている人は、アーティスト辞めたほうがいいです。
アーティストだって個人事業ですよ。そんな甘い世界じゃないです。
付き合う人間を選べる環境は本当に大切で、いわゆる現実的なチャンスをコンスタントに掴むために必要な環境です。
よく、「自由に動けるようにしておきたい」と言う人もいますが、独立して企業クラスから仕事を受けるノウハウがあるわけでもなければ、「自由に動けます!」と言っても魅力はありません。
音楽関係、出版関係の人達は、あなたに才能があるなら小一時間くらいいつだって時間を作ってくれます。
イベント出演なども、土日を使うとか、仕事の時間休を使うとかで工夫すれば、定期的なサイクルを作れます。
「自由な時間を作るため」と言って高給な仕事を不規則にすると、仕事以外の時間に会える人も「そういう世界の人」しかいなくなります。
アーティストのKREVAさんなども取り入れていますが、一般の社会人と同じサイクルに身を置くことが、実はどんな理屈を当てはめても、全てにおいて近道なのです。
手っ取り早く身につくのは、例えば派遣社員で、
大手の企業
9時〜18時
土日祝休み
未経験可
officeソフトを使う事務
時給1250円〜
などやると、実務経験、企業の仕組みも学べます。
それを2年もやれば、もっと給与のいい仕事も見つかり、「なるほどキャリアアップってこんな感じなのかな?」ということも感じられます。
仕事にやりがいを持ってもいいですが、
「アーティストを本業にしたいなら、たとえ社員の立場になったとしてもバイトだと思うこと」
「どんなにバイトで稼ごうが、本業で稼げていない原因はその仕事にある」
「キャリアアップを前提でコツコツやること」
という意識は大切だと思います。
本気でアーティストでやっていきたいなら。
もちろん、仕事はしっかりこなす前提ですよ。
だから「フリーで働く」ということは、「一般的な能力+専門的な能力」という二層をしっかり保つ努力が必要なのです。
一般の方が社内コンテストなどで受賞や売上アップをすることは素晴らしいことです。それが本業ですから。
でも、アーティストはそれを喜んではいけません。
断言しますが、「味をしめたらお終い」なのです。
アーティストもフリーで活動する個人事業主も同じですが、副業や複業と言えるのは、「自分の本業の結果があって仕事が発生する」場合です。
僕は、アパレル、事務、アプリ会社、保険など、いろいろやってきた身ですが、基本的には2年で仕事を変えるようにしていました。
無意識に本業を忘れてしまいがちになるので、極力そうしていました。
よく「このバイトのつながりで仕事になった」という話も聞きますが、僕は自分を含め、それが本当にいい話であることも、長続きさせられたアーティストも見たことがありません。
バイトから仕事につなげられたとしても、その仕事には「そのバイト関連の匂い」が必ず残り、その業界、そのレベルを脱することはまずありません。
単発、または短期の一過性のものだと割り切って、実績になることなら積極的にやるのは良いと思います。
また、男女とも夜のお仕事はオススメしません。
夜の世界では、特殊な客層と出会えることが刺激的ですが、一般的な感覚が無意識にそぎ落とされていきます。
前述した「仕事以外で付き合う人間を選べる環境を作ること」もできません。
これが大ダメージになり、数年間のロスは取り返せません。
原価もあってないようなお金のやりとりが行われるので、経営側でない限り、その経験は世界以外で生かせることはありません。
そこで得たコミュニケーションや営業のスキル(と思っている能力)は、「男性」「女性」を売っているアドバンテージがあって発動するもので、他の業界では結局死ぬほど勉強しないと通用しないからです。
それを思い知って結局夜の世界に戻ってしまう人が多いです。
芸能界志望なら別ですが、アーティストでありたいならすぐ辞めるべきだと言っています。
なので、僕が24歳以上のアーティストにオススメする働き方は、個人事業として経営していくノウハウを身につけられる会社で、キャリアアップしつつ、本業がアーティストであることを忘れそうになったら思い切って辞める!ということです。
冗談みたいですが、本気で思っています。
もちろん例外もありますし、成功している人もいるかもしれませんが、そういう人はそもそもこの記事を見たり悩んだりしなくても突き抜けています。
周りで「そんなことない。結果出してる人もいる。」という人もいるかもしれません。
でもそれは、どのレベルでの結果でしょうか。
そして、それがあなたが目指す姿でしょうか。
あなたにアドバイスをする人は、どれだけの数のアーティストを見て、どれだけの失敗を見て、経験したのでしょうか。
僕は自分が見た事実だけを話すことにしています。
何より、海外のアーティストで成功している人に共通しているのは、音楽ビジネスや一般教養をしっかり学んでいることです。
アーティストは大前提として、こだわりや理想の前に、もっと必死に学ぶ必要があるのです。
プロや売れっ子になると、プライベートのことなど考える余裕もなく練習や本番に従事します。
プロでない人がそういうプロに並ぶには、並大抵の努力では難しいですよね。
ということで、かなり偏った意見ではありますが、迷いのある方の参考になればと思ってざっくり書いてみました。
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