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誤解し誤解されているアーティスト契約

アーティストやアーティストに関心のある人なら一度は耳にしたことがある「デビュー」や「所属」。その正体は「契約」なんですが、アーティストも一般の人もその中身についてはあまり知らないと思います。
詳しく書くと長くなるので、めちゃくちゃザックリですが契約について最低限必要な認識について書いてみようと思います。
漢字が多いけど、中身は難しくないから読んでみてくださいね。

そもそもデビューって?

アーティストのデビューに際しては主に三方向の契約を結ぶのが一般的です。

・音楽出版社と「著作権契約」
 →自分の作品が使われる時の契約
・レコード会社と「実演家契約」「原盤契約」
 →演奏と制作物の契約
・プロダクション等と「マネジメント契約」
 →活動や宣伝の契約

この3社いずれかが大手で、そこと契約することをデビューという人が一般的です。ただし、セルフや小規模で活動開始することをデビューという人もいますし、デビューという概念に明確な定義はないんですよね。

ちなみに「メジャーデビュー」というのは海外ではユニバーサル、ワーナー、ソニーの3社とその傘下のレーベルのことを指し、それ以外はインディーズ(インディペンデント)です。
日本では日本レコード協会に加盟しているレーベル18社のみ。
それ以外のところからのリリースを「メジャー」とうたっている場合は100%詐欺と思ってください。

マネジメント契約

事務所やプロダクションのほとんどはマネジメント会社と言われ、仕事の獲得やスケジュール管理などの活動支援をします。
固定給の契約もあれば、売上に応じて報酬をもらう契約もあります。
アーティストのためにお金も人も動くので、基本的には専属契約となります。
このマネジメント会社との専属契約のことを「所属」というのが一般的です。

ちなみに作家事務所などは非専属のところもありますが、契約内容をしっかり確認しておかないと、辞める時になって「その曲うちの人脈やサポートで作った曲だから他で使っちゃダメ」と言われたりして、「実は専属契約に近い内容だったんじゃん…」みたいなこともあり得ます。
契約内容は万が一のことやネガティブなことを想定して確認してくださいね。

エージェント契約

エージェント会社やエージェンシーと言われる会社は、マネジメント会社と違い、普段から特定の人のためだけに生活やブランディングの世話をすることはありません。
なので所属ではなく、アーティストにマッチしそうな仕事があった時にスポットで契約し、売上を分配します。
登録制のお仕事紹介サービスのようなイメージですね。

実は業務委託の一種

マネジメント契約もエージェント契約も、それが専属でも非独占的でも、業務委託契約の一種として契約が結ばれます。
業務の種類、範囲、報酬、働き方のルールを決めて、お互いが納得のうえで契約するという形態ですね。
とりあえずは「雇用契約ではないから、売上が立たなければお金を貰う権利はない」くらいに考えておけばいいかと思います。

ちなみに、マネジメント業もエージェント業も特別な資格が必要な業務ではないので、それ専門の会社でなくても、マネジメントやエージェントの役割を果たすことができます。例えば読者の方の会社の一部署でアーティストマネジメント業やエージェント業を始めることもできるわけです。

羽柴秀吉のケース

日本アーティスト協会で包括的エージェント契約を結んでいる羽柴秀吉の場合、こんな契約になっています。

●音楽活動の支援
 エージェント契約で仕事獲得のサポート
 (業務委託契約)
●生計の支援
・協会の運営業務を依頼
 (誰でも自由に登録可能)
・協会にきた仕事を依頼
 (業務委託契約)
・協会の取引先のバイトを紹介

お分かりのとおり、専属でも所属でもなく、ひとりのフリーランス(個人事業主)として、いち取引先として協会と契約しているという形です。

誤解のせいでチャンスが逃げるなんてポイズン

「契約」と耳にすると、良い意味でも悪い意味でも「専属は立派」「囲い込まれる」「収入を保証されていいな」など様々な印象を持つ人がいますよね。
今回、実際はその「契約」の中身によって全く待遇が違うことがお分かりいただけたと思います。

ただ、本来は所属・契約は信頼の証であるはずが、仕事を依頼する側が「会社を通すと話が面倒くさくなる」「お金が高くなるに違いない」と思うこともあるようで、個人とのやりとりを望む人もいます。
安くラフに交渉したいだけならまだしも、契約ごとを理解していないアーティストをカモにする悪質な人もいるので要注意です。

また、僕の妻もよく「旦那が音楽関係者だから、なんとなく気軽にオファーできない」「日本アーティスト協会のお抱えアーティスト」といった印象を持たれるようですが、これも大きな誤解です。
うちの夫婦はお互いの活動に口出しすることはありませんし、日本アーティスト協会が独占契約を結んでいるアーティストは1人もいませんので、ぜひお気軽にオファーしてあげてください。

ということで、アーティストもそれを支えてくださる皆さんも、ぜひ契約についてご理解いただき、活躍の場をこれまで以上に共に広げていけたら嬉しく思います。


●ガリバー宇田川
https://lit.link/udagulliver

●日本アーティスト協会
https://jaa.mystrikingly.com

●レッスンはこちらからどうぞ!
https://udagulliver.themedia.jp/pages/833524/lesson

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