短歌まとめ2024年6月

梅雨入りが遅く、そのくせ暑かった今年の六月。
ビーサンで自転車をこぐ少年の姿が印象的でした。

三日前クマ出たんだよすぐそこにいつもの道が急にダンジョン

じゃがりこの端っこつまみ僅かずつたださくさくと齧る休日

並ぶのが嫌い待たされるの苦手そのくせひとを平気で待たす

蜂蜜ときなこバナナにヨーグルト忘れるなこの素晴らしき日々

きっちりと忘れず取っていく税を随分雑に使うぢゃないか

野良猫は我との距離がじりじりと狭まるにつれ身を低くせり

春休み金髪デビューした高２梅雨入り前に早やプリン化す

昨日またつい切りすぎた深爪の不器用な手で浴衣をほどく

気がつけばほら道端ににょきにょきとブタクサ軍団今年も現る

珈琲の豆にわずかな湯を注ぎいちにいさんと数えて蒸らす

見ぬままに黄色の車体引退へわたしは幸せにはなれぬ

ビーサンで自転車をこぐ少年の影アスファルト短く速く

カタカナのヘでわらう人ヘヘヘヘヘひらがなの人みじかくへへへ

白い歯でいい音たてて浅漬けのキュウリ噛むきみ寝癖のままで

デ・キリコの形而上とはなんなのか分からないけど絵は面白い

後ろ足支えてもらい散歩するあの犬最近会わなくなった

そびえ立つはるか梢のヒメシャラの花確かめに二階の窓へ

幸福のシュークリームに秘められたバニラビーンズくらいの不安

湿気ってるシャツを着せられてるようなそうだ梅雨ってこんなんだった

ギョギョギョギョシギョギョシギョギョシと行々子今年も同じ場所にて鳴けり

限りなくヤバいに近いバナナ剥く剥けない切れるヤバいなバナナ

吸うよりもまず吐くことを意識して山道をただ一歩一歩と

ユニクロに服買いに行く時に着る服はユニクロじゃなくしまむら