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【近いはずの人】感想と夫婦について


娘と一緒に行く図書館はゆっくりと本を選ばせてもらえない。
それどころか「お母さんこれにしなよ」と勝手に選ばれてしまう。
だけど意外とこれが良くって、自分では選ばなかったかもしれない本に出会える感じがします。

【あらすじ】

突然の事故で妻を失った男性。
妻の携帯電話のロックを解除するために、毎日毎日0000から四桁の数字を打ち込み続ける。

旅行に行くといって事故に遭った妻。
友達と行くんだと「思っていた」。
でもそれは違かった。

一緒に旅行に行ったのは誰だったのか。

知っていると思っていても知らないこと。
そして知らなくていいこと。

日常の曖昧さ。夫婦の曖昧さ。


【感想】

特になにがガツンと心に残るとか、
壮大な謎解きがあるとかいうわけではありません。

文章は比較的淡々としていて、
主人公の「誰を恨んでいいのか」「誰に怒りを向ければいいのか」
悲しいんだけれども、突然すぎて悲しみもよく分からない「妻が亡くなった事実」に向き合いきれないもやもやした感じがよく現れていると思いました。


夫婦は一番近い他人。
「秘密」とまではいかなくても、
「わざわざ言うほどでもないこと」なんて沢山ある。

誰もが、自分の人生において若くして配偶者が突然亡くなるなんて起こるわけがないと思っている。

そしてそれが起きた時に、よく知っていたはずの人の知らなかった一面が露わになってきます。
誰でも持っている狡さとか弱さとか。


夫婦ではなくても、人間関係において誰かと長く一緒にいたいと思ったら
「きっと分かってくれるだろう」ではなく
ちゃんと話すこと。伝えることがとても大事だと思いました。
これは本を読んでというよりも、第一子出産後の産後クライシスの中で学んだことでもあります。

「夫婦だから分かってくれるべき」はあり得ない。伝えなきゃ分からないし、伝えたとしても全部理解してくれるとは限らない。
まったく違う環境で育った他人なのだから、歩み寄りながら進むのだ。



重ためなテーマですが、文章がサラッとしているので重すぎません。
比較的あっさり読めて最後は少しスッキリすると思います。



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