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『公共善エコノミー』~尊厳・信頼・協力、もう一つの市場経済へ Economy for the Common Good

『公共善エコノミー』~尊厳・信頼・協力、もう一つの市場経済へ
"Gemeinwohl-Ökonomy" Economy for the Common Good

by クリスティアン・フェルバー (著), 池田憲昭 (翻訳)
を読み、とっても力づけられました。

Mosaik der Zukunft

★★1人はみんなのために みんなは1人のために one for all, all for one

人類は、協力することによって、歓び、生き延びてきた、生きもの。
「尊厳よりも利益」「信頼よりも効率」「協力よりも競争」と、行き過ぎた「資本主義経済」を本来のまっとう(Authentic。Common GOOD)な経済に戻すには、改めて人々が民主的経済コンベントや直接民主制などによって主権を取り戻し、おかしなことはおかしいと本筋(公共善エコノミー:Economy for the Common Good)に戻すこと(例えば、最高給与と最低賃金の倍率は X 倍までにする。規模や利益の利用先に制限をかける。公共善に貢献したらご褒美、逆ならペナルティ・・・)。それは人間の性質にあっていて、実現できる。実際に政治でも民間でもマルチな主体による動きが世界のあちこちで実現されてきていて(公共善決算の広がりなど)うれしい。

『公共善エコノミー』~尊厳・信頼・協力、もう一つの市場経済へ"Gemeinwohl-Ökonomy" Economy for the Common Goodby クリスティアン・フェルバー (著), 池田憲昭 (翻訳)

★個々人の個々の生命の「尊厳」こそが最高の価値である。
しかし現在の、手段と目的が逆立ちしてしまった経済のもとでは、それはないがしろにされている。

★★オイコノミア:公共善エコノミー:Economy for the Common Good
「エコノミー」と言う概念の本源的な意味である「オイコノミア」は、
社会的/エコロジカル/持続的/人間的/フェア/公平/民主的/倫理的といった属性をもともと全て含んでいる。
現在それらの意味が「経済:エコノミー」から外され、競争による利益の最大化であるかのようになっているのは科学でさえない「経済学」のせい。

アリストテレス
「オイコノミア」はすべての参加者の幸せ、すなわち「公共善 Common Good」が目的で、お金と資本はそのための単なる手段である。
お金と資本が目的になってしまう「クレマテイスティケ」となってはならない。

逆立ち:
命(尊厳)のためのお金や資本 のはずが
お金や資本のための命(尊厳) になってしまっているのだ!

★各国の憲法でも、実はまず公共善ありきである。

ドイツのバイエルン州の憲法「すべての経済活動は、公共善に寄与する。」
ドイツ基本法「所有権は、その利用が同時に公共の幸福に寄与することを義務付ける
イタリアの憲法「公的および私的な経済活動は、公共の福祉に照準を合わせて行われるべきである。
コロンビアの憲法「経済的な活動と私的なイニシアチブは 公共善 の境界内において自由である

アメリカ合衆国の憲法前文「 公共善 の促進
(ちなみに日本国憲法:第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。 又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。)

★利益の追求と競争の行き過ぎた資本主義の結果、人類は危機にある。

現代の資本主義は
「信頼」よりも「効率」「協力」よりも「競争」「尊厳」よりも「利益」

・Forbesによると、5人の大富豪の一人当たりの資産が1億USドルの壁を突破した。その1人である大富豪イーロン・マスクの資産は2000億USドルを超えた。
・国連によれば、現在のグローバルな不平等は過去100年の間で最も高いレベルにある
・ハワイのマウナロア山の頂上にある気象観測所は2021年、過去最高のCO2濃度を測定した
・世界の資源消費は1970年から3倍に増大している。成長のテンポは緩くなったが、現在の傾向からすると、今後数十年で完全なデカップリング(資源消費が経済成長のせいでなくなること)が起こる可能性は低い。
・アメリカのトップマネジャーは法的な最低賃金の35万倍(年収50億ドル)を稼いでいる。
・世界で最も裕福な10人の男性はパンデミックの2年間で、資産を7,000億ドルから1.5兆ドルに倍増させ、最貧困層31億人の総資産の6倍の富を所有している(オックスファム 2022.1.17)

権力の集中と乱用/競争の排除とカルテル( 企業連合 ・談合)の結成 / ロケーション競争 / 企業連合 非効率な価格形成 / 社会的な2極化と不安 / 生活の基本的欲求の非充足と飢餓 / エコロジカルな破壊 / 意義の損失 / 価値の崩壊 / デモクラシーの締め出し
が拡大中である。

これってフェアでも、公正でも、平等でも、歓びでも、安心でもないよね!
では、どうすれば?

★公共善を北極星とした、本来のまっとうな経済(オイコノミア:公共善エコノミー)エコノミー:Economy for the Common Good)に戻すことで危機から脱出できる。

未来のモザイク

★★公共善エコノミー)エコノミー:Economy for the Common Good)に戻すにはこうだ!

★公共善を経済コンベント(*)で定義し
 これを「公共善マトリックス」で査定する

たとえば、GDPの上昇があったとして、GDPで次のことに回答を与えることができるだろうか? 
・その国が戦争状態にあるのか、平和な状態にあるのか
・民主制なのか独裁制なのか
・資源の消費の増加しているのか縮小しているのか
・分配は公平なのかどうか
・女性が同等の権利を与えられているのか、差別されているのか
・社会で信頼が高まっているのか不安が高まっているのか

与えられはしない。

企業のレベルでも
・企業が雇用を増やしているのか
・労働環境が人間的になっているのか、過酷になっているのか
・企業は環境に配慮しているのか、環境に配慮しているのか
・収益は公平に分配されているのか
・武器を製造しているのか、もしくは地域のビオ(有機食品)を生産しているのか

これらは、一般的な評価ツールである「財務諸表」では、わからない! 

だから!

「公共善マトリックス」で査定する
民主的に考えた
参加型の開発、全体性、実行可能性、理解可能性、評価可能性/可能性、効果、外部検査、拘束力、法律効果、公共性と見える化 
を大切にして作ったマトリックスで、査定する。

公共善決算マトリックス 5.0

★それを主権者デモクラシー(まず直接民主主義ありきで間接民主主義も)で義務化し (憲法にのっとって。代表制民主主義に騙されないで)

★透明な市場を実現し

★企業の、自らの利益を最大化する行動ではなく、公共善への努力を評価し、それに報いる(**)。公共善決算で公開すると・・・

・官公庁による商品やサービスの購入、発注において優先
・銀行から有利な条件での借り入れ
・(公共善)証券取引所への有利なアクセス
・利益に対する税率の削減
・低い関税率
・公立の大学との共同研究
・直接補助等
+商品にシール貼付も

逆に公共善に反するのであれば、その逆のフィードバックを与える。

★利益の利用を制限する(***)。

容認される企業の利益の利用は、
投資/積立金/自己資本の増額/従業員への配当/他の企業への貸付。
容認されない利益の使用は
ファイナンス投資/企業で働いていない人間への利益の配分/成長のための企業買収と融合/政府への寄付

★競争から協力へ

「他の人間の幸せに尽力する人は、他の人間の幸せが自分の幸せの豊富な源泉であることに気づくだろう。」アダム・ファーガソン

競争から協力へ

・最適な規模
・共同で市場を制御
・社会保障と自由年(休み)
・連帯所得(ベーシックインカム、公共善通貨)
・確実な年金

★内側からのモチベーション

公共善エコノミーのことを最初に聞いた多くの人がいだく懸念。
企業が無制限の金銭的利益を追求できず、個人が自分の得を優先して努力できないのであれば、経済は麻痺するのではないか? 競争が廃止されてしまったら、どうやって業績を伸ばすためのモチベーションを得て、イノベーションが生じるのか? 私たちの豊かさはどうやって創出できるのか? といった疑問だ。
これらの懸念は、資本主義的=社会的ダーウィニズム的な人間観に起因している。人間は、エゴイズムと競争によってモチベーションを得る、という人間観だ。競争に脅されなければ、人間は仕事で半分の力しか出さないか、もしくは横になって怠けてしまう。他者に照らして自分をはかり比べることができなければ、自分の社会的地位を失う不安、もしくは認められたい、優越感に浸りたい、といった衝動に駆られなければ、人生で何をやったら良いかわからなくなる。内在的なモチベーション、子供的な好奇心、インスピレーション、もしくは自然発生的な創造性はこの人間観にはほとんど、もしくは全くない。

幸福研究は、高所得あるレベル以上からは、人々をより幸せにはせず、所得を上げることが有意義なモチベーションではないと言うことを言っている。敷居は、年所得2万USドルという低いものから29万USドル(最低賃金の20倍)までいろいろある。

公共善エコノミーの大きな強みはお金を稼ぐことが目的ではないことだ。お金を稼ぐことは副次的な効果として、需要を満たす、繁栄、意義深い行いにつながることがあるが、必ずしもそうでなければならないわけではない。逆である。需要を満たすこと、公共善、意義深い行いが目的であり、会社を設立や、マネジメントはそのための手段である。

一方の子供は自分を感じ、内因的にモチベーションを得て、メディアや流行り、慣習に惑わされないで人生を送る。他方の子どもは、内的なものを抑圧し、外的な価値だけを受け入れ、この「内面化」した外的な価値が幸せに導く、という幻想に捕らえられたまま人生を送る。

幸福研究からだけでなく、人間は、お金という外因的なものよりも、自律、アイデンティティ、能力、貢献、共同体、関係 といった要因によって、より内因的にモチベーションを得ていることが示されている。(逆に、お金的な経済によって、外因的なものやそれを内面化したものに依存させられている。)

内因的なものを育むために教育に
感情学/コミュニケーション学/価値学/デモクラシー学/自然体験/身体感覚の鋭敏化/手工芸 などを。

★★民主的経済コンベント

公共善にまつわる私たちの社会への問いを民主的に決める。
その際に、選択肢への抵抗によって意思決定していく。

以下、複数の問いにそれぞれに複数のソリューション/選択枝があり、例えば 0から10の抵抗ポイントを記入できるようになっている。(例えば 収入差)

例えば、年収差の何倍が適当か、抵抗で測ると、10倍前後くらいで落ち着く。(何千倍とか35万倍とかは常軌を逸しすぎている。もちろんみんな同額もまた受け入れられない。「みんなの意見」は案外正しい のだ)

・経済活動の上位目標は何であるべきか?
 資本の増殖? 公共善? 
・経済活動の基本価値は何であるべきか?
 人間の尊厳/公平性/連帯/持続可能性/透明性/共同決定/自由 ?
 特に無い?
・何によって経済的成功が計測検証されるべきか?
 目標と価値?
 金銭的なもの?
・倫理的な業績はどれだけ報いられるべきか
 上記(**)

・市場における協力と競争はどのように規制もしくは促進されるべきか?  競争に対しては、ネガティブポジティブか?
 協力に対してポジティブかネガティブか? 
・企業は利益を何のために使用して良いか
 上記(***)

・企業はどれくらいまで規模を拡大して良いのか、最大規模を制限すべきか?
・どのような所有形態が許可されるべきか?

私的所有/公的所有/共同所有/社会所有/アルメンデ(入会い等)/利用権/非所有/個々の所有形態別 ?

・私的所有の上現はあるべきか?どれくらいのレベルか?
・相続権は規制されるべきか?どのくらいに?
・企業は、規模によって所有に関する監査権の一部を与えるべきか?

 従業員/消費者/社会/地球/次世代の代表者 たちに

・資本所得と労働所得はどのように課税されるべきか?
(ピケティ『21世紀の資本』r > g)
・最低賃金はどのくらいで保障するべきたろか

・最高給与と最低賃金の倍率は何倍位が良いだろうか?

・どのような社会的保証がすべての人間に確保されるべきか
・働くことができない人間の社会保障は、どのように(されるべきか

・どの公共財とサービスを国が提供するべきか
健康システム/教育システム/子供の保育/高齢者ケア/公共交通/エネルギー供給/飲料水供給/郵便/インターネット/電話

・正規の労働時間はどのくらいの時間になったらいいか?
・人々は何年の自由間を勤労期間中に取ることが許されるだろうか
・労働による税の負担と環境消費への負担の関係性は?


・今の世代と未来の世代とは?・
・自然は人間が意のままに使っていい対象だろうか?
 それとも地球の限界をリスペクトし、守らなければならないものだろうか。


・貨幣システムと金融システムは、民主的に主権者(市民)によって形成されるべきだろうか
・誰がお金を発行できるか?
・銀行はどのように規制されるべきだろうか?

 公共善を目指す銀行は優遇されるべきだろうか?
・貿易は 人権/環境保護/公平な分配/社会的な結束  
 を達成するための1つの手段にすればいいんだろうか?


・経済教育はどうあるべきだろうか?次の内容はどうだろうか?
考えることと感じること/哲学と倫理学/エコロジーと持続可能性性/政治とデモクラシー
・どのような人格形成ツールが義務教育中に統合されるべきだろうか。
感情学/コミュニケーション学/価値学/デモクラシー学/自然体験/身体感覚の鋭敏化/手工芸

循環経済、サーキュラーエコノミー、ドーナツ経済、定常経済、エコロジー経済、脱成長エコノミー、共有財エコノミー、ケア・エコノミー、ギフト・エコノミー、ポスト自閉症エコノミー、ブルーエコノミー、シェアリング・エコノミー、連帯経済、シェアード・バリュー、パブリック・バリュー、Bコーポレーション、ソーシャル・ビジネス、プロシューマー、地域支援型農業(CSA)、パーマカルチャー、トランジション・タウン、ヨガ、NVC、ソシオクラシー、アート・オブ・ホスティング、ティール組織などなど等々、オルタナティブでホリスティックなアプローチが満ちていて、たくさんの多様な協働によってつくられてきていることが伝わってきます💖

そして、動きも始まっているそうです。
・公共前決算を始めてみる!(主に意識ある中小企業から)
読書会や勉強会
・ロビイング
・・・

池田さん、素晴らしい書をわかりやすく翻訳いただき、ご紹介いただき、本当にありがとうございますm(_ _)m

その他:関連情報

最初に池田さんのプレゼンをお聞きした時の感想
・法人税と連動させたい。
・この決算システムに参加することが、企業活動的にも協働する(たとえば共同調達とか)メリットにつながるとかあるといいなと思いました。
・中小企業家同友会とかそういう方向で何かできないのかな?
・ブロックチェーン(スマートコントラクト)とこの決算とすごい親和性があるのでは?と思いました。
・日本は中小企業が9割以上でそれが日本を支えているので、中小企業庁的には、中小企業はこのEconomy for Common Good で法人税とか補助金出すよ とかありえるのでは?

Economy for the Common Good for people for earth for lives for future for women for children for everyone , cosmic,natural,organic,ecology,vivid,smile,beautiful,dancing, --v 4

公共善 ( Economy for the Common Good ) なオルタナティブな日本(じゃなかシャバ)を、この日本で併存させちゃってもいいかも💖(^ ^)

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