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12年つかったEvernoteからUpNoteに乗り換えた

10年以上も付き合ったアプリと別れた。それなりにイザコザがあったので日記として残しておく。

Evernoteを使い始めた当時の話

学生時代、まだ紙のノートが主流だった頃から、Evernoteを使い始めた。ペンで紙に書くよりタイピングのほうが早く書けるし、電子化したレジュメ・教科書の図表をそのまま貼り付けられる。作ったノートは随時更新できるし、全文検索で必要な情報を探しやすい。スマホからも見られる。自分にとっては紙のノートより実用的だった。社会人になってからも、業務に必要な勉強のノート、書籍の要約などで使い続けている。

当時はEvernote一択だった。以前は複数のノートを一つのアプリで管理し、デバイス間で共有する簡単な方法があまりなかった。先人たちは1つずつWordで作っていた。そんな時代だったので、Evernoteは流行った。

2020年末・Evernoteの没落

2020年末のメジャーアップデートからEvernoteは駄目になった。ノートとしての基本的機能が信頼できなくなった。それに比べれば、料金体系やデバイス数制限の変更は些末な事だ。

  • 閲覧 : ノートの表示に時間がかかる

  • 編集 : 1か所でしか編集していないのに同期エラーや競合が生じることがある

  • 保存 : 同期エラーに巻き込まれると、最悪の場合ノートが消える (ゴミ箱にも残らない)

メジャーアップデート直後は時間とともに解決されていくと思っていた。しかし2年以上経過しても、この手の基本的な問題が残っている

もちろんタグやショートカットの挙動の不具合などの解決された問題もあった。しかしむしろ、新しく出てくる問題すらあった。ノートのタイトルの変更が反映されにくく、タイトル編集時に運が悪いとノートが消失する経験をしはじめたのは、2023年になってからだ。

ついでに言うと有料プランへの誘導が執拗すぎる。画像を添付するたびに有料プラン拒否のクリックを要するし、貴重な画面の一部を「アップグレード」の文字に常に占有されてしまう。

「アップグレード」の文字にお困り

ノートアプリに求めること

私は、そこまで多くをノートアプリに求めていない。

  • 画像をふくむノートが作成できる

  • すべてのノートに対して検索できる

  • 同時に複数のノートを閲覧・編集できる
    (ノートごとに個別ウィンドウで開ける)

  • WindowsとAndroidをふくむデバイス間で同期できる

  • オフラインで使用できる

これだけだ。むしろ使わない機能や編集の自由度は少ないほうが好ましい。その点でOneNote (ノートの自由度が高すぎる) やNotion (多機能すぎる, オフライン使用不可) への移行をためらっていた。

2年前の時点で既にUpNoteは有力候補だった。機能が往年のEvernoteに近く、珍しくEvernote独自形式 (.enex) のインポートに対応していた。しかしマイナーだった。2000件弱のノートを移植するのは、なかなか手間だと思っていたので、簡単にサービスが終了されると困る。

レガシーの消失

Evernote Legacyというソフトがある。メジャーアップデート前のバージョンを利用できるように、Evernoteが公式に残していたものだ。こちらのほうが同期関係の動作が安定しているのと、一度にエクスポートできるノート数に制約がないので、トラブル時に活用していた。(現行バージョンでは一度に100ノートまで)

Legacyは遺影のようなアイコンになっていた

しかし2023年5月頃に、Legacyへのリンクはひっそりと公式から姿を消したらしいのだ。もちろん古いバージョンをいつまでもサポートする訳にもいかないだろう。しかし大量のノートを一度にエクスポートしたい自分にとっては、かなりの痛手だった。

幸い、ユーザーフォーラムからダウンロード・インストールする手段が残っていた。

これを機にUpNoteに移行することにした。Legacyが使えるうちに移行しないと大変な目に遭いそうだったからだ。

奇しくも、新海誠監督がUpNoteについてツイートして話題になりはじめたタイミングでもあった。

UpNoteの第一印象

Androidアプリ経由で3,400円の永久ライセンスを購入して、移行を開始した。数十分で簡単に移行できてしまった。

  • Evernote Legacyでノートブック単位でエクスポート (.enex)

  • UpNoteにインポート

    • ファイル名をノートブックとして使用

    • Evernoteからタグを変換する : ハッシュタグ

UpNoteの良いところ

UpNoteの使い心地はとても良い。そもそもEvernoteと比べてノートとしての基本機能が優れている点がいくつもある。

  • 閲覧

    • 動作が軽快

    • 編集ロック機能 (閲覧時の誤操作による無駄な編集を防止)

    • 見出しを反映した目次機能

  • 編集

    • 上付き文字や数式などの特殊入力

    • 幅が調整可能なテーブル

    • 折りたたみセクション

    • コードブロック (私はプログラミングはしないが、ちょっとしたHTMLの下書きに使いやすい)

  • 保存

    • テキストファイルやMarkdownでエクスポート可能 (エクスポートの様式の汎用性が高い)

  • (Evernoteが抱える閲覧・編集・保存の不安がない)

UpNoteでできないこと

一方でUpNoteに移行すると手放すことになる要素もある。大きく2点が気になった。

1点目はノートの共同編集、ノートブック単位の共有ができないことだ。紙のノートの延長線として個人用の記録として使っていくには問題ないが、複数名で情報を共有しながら進めていくような仕事の道具としては使いにくい。(この手のクラウドを介した同時編集機能はトレンドでもあるだろうから、UpNoteを使い始めるまでは当然実装されていると勘違いしていた...)

URLを付与してノートを共有することはできるので、主に一方向に共有するだけなら問題はないが、今後の使い方によっては他のツールも併用する必要があるかもしれないと思った。

2点目はWebアプリがないことだ。普段使わないデバイスで少し閲覧したい場面でもアプリインストール必須になってしまう。

移植に関連して気になったこと

仕様の違い : タイトルはH1?大見出しはH2?

メジャーアップデート後のEvernoteと同様に、UpNoteも緩やかにMarkdown記法に対応している。ノートの移植のことを考慮してなるべくMarkdownを使った記述をしておいたので移植しても文書構造が保たれた。しかし見出しの付け方にズレが発生した。

WebページにおいてH1タグをタイトルタグとして用いるかどうかの論点と関係していそうだ。Wordpressが典型的だが、Markdown記法で「#」で見出しを書いた時にはWebページ (HTML) としては見出しタグ (H1, H2...) として出力されることが多い。慣習的に記事タイトルがH1、記事内の一番大きい見出しがH2とされる。つまりH1は記事内に複数あってはいけないという風潮がある。

しかしHTMLの仕様的にはそのような意図はないようだ。H1には1番目大きい見出しという以上の意味合いはなく、H2以降と同様にH1が複数あっても良い。

UpNoteにはタイトル入力欄がなく、本文1行目をタイトルとして採用する。そして1行目は自動で見出し装飾される。そして何故かH2が初期設定だ。つまりタイトルが中見出しと同じレベルという変な文書構造になってしまう。

目次がおかしなことになる

そのため、以下の対策を講じる必要がある。

  • 設定>エディター>新規ノート1行目のスタイル を H2からH1に変更する

  • 見出しとしてはH2以下を使用する

  • (EvernoteではH1から見出しをつけていたので1段階ずつ下げる)

やや釈然としないが、この運用を行っておけばWordpressの下書きとしてもそのまま流用できる。もちろんnoteの下書きとしても問題ない。

保持されないもの : 画像の表示サイズ・ノート間リンク

ノートに画像を貼り付けた後の表示サイズやノート間のリンクなど、Evernoteが独自に保持していた情報は失われてしまう。とくに画像についてはフルサイズでベタベタ貼られた形になる。

見出しについても同様だが、すべてのノートについて直していくのも大変だ。ノートを編集する機会があったら、見出しや画像レイアウトもふくめて修正するぐらいの熱量が現実的だろう。

まとめ

早く見切りをつけて乗り換えればよかったと思った。

日常的に使う道具なので、気になる不具合が出るたびに乗り換え先を悩むことが多かった。その悩んでいる時間が生産性を下げていた

乗り換えたとしてもEvernoteのデータが消えるわけではないので、4,000円弱の有料プランぐらい思い切って買ってしまってすぐに試せば良かった。失敗しても失うのはお金だけだ。原状復帰は容易い。

そういう後悔・反省ができたという事で、プラスにとらえておく。

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