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言語化だけではゲームは上手くならない
言語化は楽しい
思ったこと、考えたことを喋ったり書いたりする言語化。分析や解説とも言えるかもしれない。例えばトッププレイヤーの解説。自分では思いつかないほど高度で、聞いているだけで更にゲームが楽しくなる。その他に、自分でゲームを分析したり解説したりするのも楽しい。現に、いくつも記事を書いてみている。
言語化はさらにゲームを面白くさせると思う。しかしゲームの上達法として考えた時に、言語化がすべてではないとも思う。
本当に、ゲームしながら言語化してる?
プレイ中に言語化するのは、とても難しい。むしろ言語化はプレイ外 (後から振り返ったり解説者として見ていたりする時) に行われることが多いと思う。
例えばFPSやTPSで接敵した際の判断を、プレイ中/外で比べてみる。
プレイ中 (言語化時間 0.1秒) : なんか敵多くてヤバいから、近づきすぎない移動にしとこう。
プレイ外 (言語化時間 10秒) : 直前に聞こえた音から敵は2名・武器は~系。数秒前に後方に居た味方からは自分の姿が映っているはずであり、カバーしてくれることが期待できる。味方のカバーを活かせば人数不利にはならない。味方と挟撃できるような位置をとってから攻撃しよう。
分析して言語化したほうが正確だが時間がかかる。その数秒は、実際のプレイでは致命的に遅い。
瞬時に正確な判断を行うプレイヤーは、あたかも物凄いスピードで言語化しながら複雑な判断をしているように見える。しかしあまりにも早いその判断は、もはや言語化されていない直感的判断だろうとも思う。つまり上手なプレイヤーは言語化はもちろん、直感の正確性が磨かれている。
上達には直感力がいる
実際に自分のゲームプレイに反映させるには、言語化して得た考え方や知識を、直感という形にレベルアップしておきたい。つまり、状況を見て、言語化して、考えて、答えを出す のではなく、状況をパターン認識した瞬間に (考えずに) 答えが出てくる、そこまでのレベルにならないと勝負できない。
認知心理学の分野では二重プロセス理論と言われている (このテーマでノーベル賞受賞者が出ている)。つまり判断 (意思決定) は、① 直感, ② 分析 の2つのプロセスがあるという理論だ。① 直感 は、速くてだいたい正しいがたまに間違える。② 分析 (≒言語化) は、遅いが正確で人にも説明できる。どっちのプロセスも良いところと悪いところがある。ただ、瞬時の判断が求められるゲームにおいては、① 直感 を鍛えるのが上達に直結する。
直感力を鍛えるには
直感はトレーニングできるとされている。そのために言われている条件が次の2つだ。
環境 : ルール・パターンがあって予測できる ≒ 言語化できる状況
トレーニング方法
プレイ : 長期にわたって繰り返し経験する
プレイ外 : すぐに振り返る (言語化する)
言語化は上達に役立つ。振り返りの質を高めるからだ。しかしそれだけでは不十分だ。たくさん経験することをおろそかにしてはいけない。
参考図書
ダニエル・カーネマン (著), 村井 章子 (訳). ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか?. 早川書房; 2014.
ダニエル・カーネマン (著), 村井 章子 (訳). ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか?. 早川書房; 2014.
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