すべての創作者は「スーパーマリオメーカー2」をプレイしてクリエイティビティを殺していけ。(2019年のゲーム)
よく来たな。お望月さんだ。
俺はスーパーマリオメーカー2で毎日ステージを作成しているが誰にも遊ばせるつもりはない。今日は特別に6/28に発売されて以来、世間の話題から微妙に取り残されているような気がする「スーパーマリオメーカー2」の話をする。
スーパーマリオメーカー2は禅(ZEN)である。
スーパーマリオメーカー2はマリオシリーズのステージエディットに特化した任天堂SWITCH向けのソフトウェアだ。(もっと広くSTEAMとかでもプレイできるとよいと思う)
若干タッチ操作の面白みが減ったが、前作からの改善点も多く末永く楽しめるNSWのマスターピースの一つとなるだろう。
しかし、スーパーマリオ道は一日にしてならず。いや、経験を積んだ老頭児ほど己の中で大きく育ってしまった「クリエイティビティという怪物」が立ちふさがり、ステージ作成に苦労することになるのだ。
作家の創造性を殺していけ
人類は誰もが己の考えたマリオのステージを作り上げたいと考えている。人類三大欲求の一つだ。(残りはPeggle の Ultra Extreme Fever と世界三大ウッドチッパー映画の選定作業)
しかし、その欲求がステージ完成の邪魔をする。
・1画面に情報を盛り込みすぎる。
・マリオの一挙手一投足にステージ側のレスポンスを用意する。
・ステージがどんどん複雑化・高難易度化していく。
・要素を盛り込むたびに完成が遠のいていきお前はやがてステージを放り出してしまい、いずれ白樺を植えてはオーブンで木炭を焼き一生を終える。 THE END OF MINECRAFT。
・「おじいちゃん SMM2の話をして~」
・「そうじゃのうあれは……」
・「アレは、あのステージは……」
・「おじいちゃん?」
・「すまんな、ボブ。まだ何も終わっていないんだ」
・ひび割れた目の皺が音を立てて盛り上がり肌艶が全盛期の姿を取り戻していく。
・「父さん! やるんだね!」
・「おうともさ!!」
・「ボブ!Switchとタッチペンを持ってこい!!」
・「おじいちゃん!ぼくもいっしょに!」
・「ああ!一緒にステージを作り上げよう!!」
・(ナレーション:スーパーマリオメーカー2は マルチプレイステージ作成にも対応しています)
これが「作家の創造性(クリエイティビティ)」です。この余計なアドリブとサービス精神を殺していかなければなりません。一つの記事に何個要素をぶち込むつもりなんですか。ボブってだれだよ。
スーパーマリオメーカー2は己の創造性を殺しながら、ステージを設計して適度に平坦な場面を与えて内容を薄めていかなければなりません。これが、禅の境地。これがわびさび。
緩急が大事なんだ。緩急はすべてに優先するぜ!
ヤマムラ道場へゆけ
スーパーマリオメーカー2では、うえで挙げたような技術面以外の創作に対する基礎的な心構えに対するレクチャーが存在している。
それはヤマムラ道場。我々にはおなじみの師匠だ。そして、なんとなく逆噴射先生を思い起こす口ぶりだ。
このコンテンツにはステージづくり、いやあらゆるコンテンツ創作で躓きがちな内容がカバーされていると言ってもよい。
一度に大量の要素を盛り込むな。
前触れのない不意打ちやステージの先が見えないルートを用意するな。(少しずつ進むべき方向や仕掛けを示唆するようにガイドしろ)
だからと言って届かない場所にコインを置くな。(不必要な描写を入れすぎると人は死ぬ)
人は思い通りに遊んでくれない。
緩急をつけろ。
何度でも完成させろ。意見を聞き、GUNを磨け。
そんなこんなで大量の創作心構えが鍛えられていくわけだ。先生、ぼくも余計なギミックをほどほどにして、丁寧な滋味で戦えるようにがんばるよ!
※ヤマムラ道場を観る前にこの記事を書いていたんですが、書きたいことが全部カバーされていました。ヤバイよヤマムラ道場。
未来へ
すべての創作者はスーパーマリオメーカー2をプレイするべきだ。
プレイヤーは設計通りに遊んでくれないし、必ず誤解は発生する。盛り込んだ要素をすべて無視してクリアされる。作家の意図は通じない。銃を撃つにも作法がある。平坦な場面こそが重要だ。
そして「わびさび」と「禅(ZEN)」の精神を鍛えて、己のクリエイティビティを殺していこう。
世間には卵を立てたコロンブス気取りのステージが席巻しているが、まず作成するべきは平坦で味のするマリオ作法にのっとったステージだろう。評判に目をくれるな。己のマリオ(3-1くらい)を作り上げろ!
それが作れるようになった時に、また来てください。
繰り返せ、毎日だ。
「クリエイティビティを殺していこう」の提唱記事はこちら。
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