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ペンキの種類と仕上げのコツもまとめてみました。

もともとは修業時代から家具は修復するものとして学んできたんですが

ペイントをするかどうか修復屋のジレンマについてはこちら↓

近年、ヴィンテージブームのようなものが始まって
(このヴィンテージっていう言葉、マーケティング的に便利なんだよね。笑)
シャビー、プロバンスという南仏の田舎のおうちにあるようなスタイルに仕上げるというのが大流行し始めました。

それに伴い、かの有名なチョークペイント、をはじめ
ミルクペイント、とか
果ては地球に優しいエコペンキ、ベジペンキみたいなものまで
夥しい種類のペンキが開発されるようになりました。

ウベコ工房では主に使うのはチョークペイント、
ファニチャーペイントと呼ばれるチョークペイントの一種、
水溶性エナメルペンキです。
昔はミルクペイントも使ってみましたが市場から消えてしまったので終了。

これらのペンキのいいところは
水溶性で匂わず、お掃除も手軽なところ。
そしてコツさえ掴めばこれがまたうまく仕上がっちゃうんだな。

やすりをかけて独特の凸凹感を出せておもしろい。
通常、ただペイントすると“ぺったんこ感”が出て安っぽくなってしまいます。
これまで市場にあったペンキの最大の欠点はそこだと思います。
マットな仕上げもなかったのでテカテカ仕上げになってそれも品がない。

チョークペイントもただ塗っただけではペッタンコです。
マットなのであえてそのままにすることもありますが、
ペッタンコ感を防ぐのに、ヤスリ加工をして
下地の木目が見える様にしたり、
何色かを重ね塗りしておいて場所によって違う色が現れるようにしたり。
エイジング加工をしたい場合、やすり加工の他にススメなのが
仕上げのワックスでニュアンスを加えるアレンジ。
透明のワックスの他に、ダークワックスという影をつけられるワックスや
ゴールド・シルバーのワックスもあります。

エイジング効果としては特に影をつけるダークワックスが役に立ちます。
市販されているものもありますが、
最近はBetunという靴磨きに使うワックスを透明ワックスに混ぜて
使いやすいトーンのものを用意しています。

ダークワックスを使ったエイジング。
微妙な違いですが、少し温かみが加わったような感じになります。むしろ自然な雰囲気に。
たくさんの古い家具、傷んだ家具をみていると、
どんなところが黒ずんでくるか、影が深まっていくかが分かるので勉強になります。

エイジングは本来の修復をしていると、ある種、フェイクだなと感じます。
本来は時間の経過によって生まれるはずのパティナを人工的に作り上げるので
はっきり言って、エイジングそのものがウソです。
ただ、本物のパティナを見ていないと作り出せないものでもあるし
これまた、それでその家具がまた使ってもらえるならやってみます。

ゴールド、シルバーは華やかさを加えるのに便利です。
木彫りの部分を強調したり、金属の取っ手のトーンと合わせたりなど。

ゴールドはこういう木彫りのクラシックな家具の華やかさを取り戻してくれます。
こちらは同じ部屋で使うクッションカバーに合わせてゴールド加工を入れてみました。

最近開発されたのはファニチャーペイントと呼ばれる、チョークペイントベースの
台所・家具専用のペンキ。
水にも油にも耐えて、ワックスやニス仕上げが不要なので作業が早く、普通のチョークペイントより耐久性も勝ります。
水溶性ですが、布や手に付くと落ちづらいのが欠点。
すでに合成ニスで仕上げてある家具に最適なペンキです。

ファニチャーペイント。ニス塗装がしっかりされている家具によくノリます。


水溶性エナメルペンキ。まるでメラニン化粧板のように仕上がります。

最後に、エコペイント系。
ペイントはまだ使ったことはありませんが、水溶性のエコ剥離剤は試してみました。
匂わないので作業は助かりますが、効果の方はイマイチ。
木材が水分を吸ってしまって少し膨張傾向があること、
乾きが遅いこと、
エコな分、剥離作業を数回繰り返さないと効果が出ないこと、などなど配慮すると
時間が勝負でもあるビジネスの場合はケミカル剥離剤が勝ち。

家具修復で捨てられる家具をちょっとでも減らして
地球に溢れる超過なモノを減らしていきたいなと思っているけれど
そこで使用するものが地球に優しいものであることも大切なこと。

最近はできる限り剥離剤の代わりにサンダーをかけてニスを落としたり
自分の健康のためにも刺激の少ない薬品を使うようにしています。
防塵、防臭マスクとかもね。

みなさん、ペンキで作業中は、特に油性ペンキは換気を頻繁に!


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