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続続・多言語を学ぶにあたって忘れてはいけないこと 外国のおじさんのお話編

予告しちゃったから書かなくちゃ…
っって、1人で自分にプレッシャーをかけて書いています。笑
でも備忘録としてこれは20年経っても忘れたくない話。

言語習得シリーズ、第一弾、第二弾はこちら↓

外国に住んでいるおじさん

私には、自分が幼い頃からずっと「外国に住んでいるおじさん」がいます。
文字通りおじさん、母の兄になりますがサウジアラビアから始まってイギリス・ロシア・チェコなどなど人生の半分は海外生活で
語学はもちろん、建築、演劇、音楽などいろいろに通じるインテリ系文化人です。
一族の中で頭いい黒ヤギさん、私は無鉄砲派の黒ヤギさん。


そのおじさんと
ゆっくり海外生活のあるあるあれこれを話す機会がありました。
話の前後は覚えていないんだけど
心に残った言葉。

「外国語を学ぶってね、その言葉を使う背景にある生活習慣、文化、宗教とか全部をひっくるめて学んでいるんだよ。僕は長いことイギリスにいたけど日本にいて英語をただ勉強して喋れるようになるのと、現地にいて暮らしながら話せるようになるのとでは全然意味が違うんだよ。
むしろ英語圏同士でアメリカ人とイギリス人とかね、会話ができちゃう間柄だとコミニュケーションは取れてるんだけどお互いに対する理解が深まらない。だって相手を理解しようっていう姿勢の勢いが全然違うんだもの。」

これ、肌感覚で知ってた。
おじさんが言語化してくれてやっと自分の腑に落ちて来ました。

言語とは口や舌ベロが発する言葉だけではない


同じスペイン語でもラテンアメリカ各国ではボキャブラリーが違って恥をかくこともあるし
アクセントも違う。
スペインでも地方によってよく使う言い回しが違ったりとか。
それから案外大切なのが
カタルーニャ州やバスク地方に住んでいると歴史的、政治的背景を分かっていないと
他ではまったく問題ないテーマもナイーブな発言になりかねない。

皮肉なことに言葉がわかれば上辺だけのコミュニケーションってとれちゃうんだけど、本当の意味で言語を理解するには言葉だけじゃ足りない。

こっちでいてよく体験するのは、歌。
スペイン人、何かあるとその状況が歌詞になってる歌とかよく歌ってくるんだけど
これ、分かんね〜。笑
大体そういう歌って30年くらい前の歌なことが多いので、日本で30年前の歌謡曲の話が出てくるようなもんですよ。

スペイン人の間ではツーカーの常識ですから、これもある意味文化風習。
言語の一部。ボキャブラリーの一部。
その歌の歌詞のオチをみんな知ってるからみんなはそれで納得、収集がつく。
私はつかん。笑
日本語でも「愛は勝つ」とか会話の中で言っちゃったりするじゃん。みんな「だよね〜」とか言って笑うけど、あれ外国人には何のこっちゃ。よっぽどJpopマニアでないと分からないよね。それと同じ。

逆に考えれば
一生懸命現地の言葉でそこにいる人とコミュニケーションを深めていれば
知らずとそういう背景も自分に入ってくるってことです。
歌を歌うかどうかは知りませんが 笑
よく出てくる歌ならオチを知るし
いろんなことわざも会話の中で覚えていく。
そして
カタルーニャ独立派にフラメンコや王室の話は避ける。笑

どうしてこんな発言をしているのかな?
の背景を分かるのと分からないのとでは
天と地の差。
そして当然、その後の付き合い方は変わる。
日常会話のほとんどがそういう背景を知っていてされるものだから
長く住んでる外国人は大変です。笑
それなりにプレッシャーあります。

これは結局、前回書いた
体験を通じて学んでいくと言う事とつながっていくんだけど
やっぱり言葉だけの問題じゃない。

聞き取り能力と共に発達するもう一つの能力


そしてもうひとつ、肌感が鳥肌感になったおじさんの話。

「必死で相手の言うことを理解しようと何年も何年も一生懸命、相手の顔を見てると
目の動きや表情、ジェスチャーをものすごく観察するでしょ。肯定的なのか否定的なのか、喜んでいるのかちょっと戸惑っているのか。その言葉以外の部分に強烈に注意を払うからそっちに敏感になって言葉のもっと向こう側で伝えようとしてる事が分かるようになってくる。
嘘ついてたら分かっちゃうよ。笑」

納得〜‼️

言語がわからない状況下で、いかに私たちはすべての感覚を使って情報をキャッチしているかということ。
聴覚から入る言葉の理解が充分でない時
他感覚へ払う注意は倍増する。
そこで読み取れる情報が深まる。

これめちゃ分かる。
だからこそ当初は電話で話すのが苦手だったんだもの。
視覚情報に頼っていたからなんだよね。

言語学校の先生もヒヤリングはテレビよりラジオを勧めてました。画像情報に頼らず聞き取れる力がつくから。
確かに。

問い合わせに来るお客さんと話してて、
どこまで本気でどっから上辺の言葉かな
みたいなことがわかってしまう時もある。
だから実際にお客さんになる人と
ただ聞いてみたかっただけの人の区別ができちゃうこともあります。
これは時に苦い思いをすることにもなるけれど
本気の人には真摯に対応できるし
そうでないことが分かればこちらもそんなに消耗せずすむし
まあ、メリットかな。

家具の仕上がり途中を見に来たお客さんが100%納得してるのも分かるし
そうでないと分かる時は他の仕上げの提案をさりげなく提案して、お客さんの思っている仕上げを探る手がかりになります。
仕事においては特に相手の言わんとすることを把握してなんぼです。コミュニケーションひとつで家具の仕上がりは変わります。
こういう面ではこの視覚情報をキャッチできることはとても重要です。

目は口ほどにモノを言う、とはまさに。
むしろ言葉は簡単に偽れる。
本音は言葉以外で伝わってくる。


だから
わたしに嘘つかんといてね。バレるから。笑
日本語だったらもっとバレちゃうよ。笑笑

20年以上、スペイン語を使って生活してきて
最近はコミュニケーションに問題はないけれど
まだまだネイティブとは程遠いレベルです。

多分ゴールのない学習なんだろうな。
かつては
寝言がスペイン語になるレベルになりたい!とか
ペネロペクルスみたいに早口でしゃべりたい!とか
ちょっとした目標を作ったりしてたけど
今は何だろうなぁ。
字幕ちゃんと追えるようになるとか、
ことわざレベルも使いこなすとか、
かな。

まだ本を読むのは日本語の方が楽だし
スペイン語で言い表せないこといっぱい。
政治とか経済の話になると体験値や知識が低いので急に分からなくなる。
だんだん子供に「これ何?」って聞く事多くなってきてるし。

まだまだ先は長いな。
昔の歌でも勉強すっかな〜。


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