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創作裏話

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『秘境駅のクローズド・サークル』ここだけのあとがきのようなもの

『秘境駅のクローズド・サークル』ここだけのあとがきのようなもの

 理想的なミステリ短編ってなんでしょう。
 もちろん、人それぞれ様々な理想があるはず。具体的に挙げるなら、シャーロック・ホームズ、ブラウン神父、泡坂妻夫、連城三紀彦etc。ですが、書き手として自分がそういったタイプの作品――レベルの差はさておき――を書けるのかといえば、どうにも自信がない。
 短編小説は、引き算の美学です。長編小説を幾層にも色を塗りこめる油絵だとすれば、短編は水彩画、あるいは水墨画

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『ネクスト・ギグ』文庫版のあとがきのようなもの~あれから四年が経った、ロックの今~

『ネクスト・ギグ』文庫版のあとがきのようなもの~あれから四年が経った、ロックの今~

単行本刊行時のあとがきはこちら。

 『ネクスト・ギグ』は2018年10月31日に刊行された、鵜林伸也の第一長編です。わざわざ日付を細かく入れたのは、年末のランキング集計の最終日に刊行されたにも関わらず、「このミステリーがすごい!2019年版」15位、「2019本格ミステリ・ベスト10」12位という高い評価をいただくことができたから。
 今でも覚えていますが、刊行の直前に開かれた鮎川哲也賞受賞パー

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『ネクスト・ギグ』 〈赤い青〉 Biography

『ネクスト・ギグ』 〈赤い青〉 Biography

 以下の文章は、『ネクスト・ギグ』単行本刊行時に、装丁のデザインの一部として掲載された、作中に登場する架空のバンド〈赤い青〉のプロフィール(Biography)です。
 文庫本ではプロフィールを生かした装丁が引き継がれなかったため、せっかくですので、noteにて公開しておきます。

〈赤い青〉シノハラヨースケ(Vo,Gt)、クスミトオル(Gt)、ミナミコウタロウ(Ba)、ショウジタカユキ(Dr)。

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『ネクスト・ギグ』逆ライナーノーツ

 『ネクスト・ギグ』には、実在のバンド名やエピソードなどがちょこちょこ登場します。それらを「ライナーノーツ」のように解説しよう、というのが本稿です。
 ライナーノーツとは「音楽レコードや音楽CDのジャケットに付属している冊子等に書かれる解説文」のこと。ですので本来の意味とは異なるのですが、作品の楽しみをより深めるために役立つもの、という点は同じでしょう。ここでは、元ネタの音源も紹介しています。音楽

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「ネクスト・ギグ」

「ネクスト・ギグ」

デビュー長編「ネクスト・ギグ」が、2018年10月31日に発売されました。
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488020057
以下、公式サイトの紹介文です。
逆光を浴びながらステージに登場したボーカルは、突如悲痛な叫び声をあげるとその場に頽れた。彼の胸には千枚通しが突き刺さっていた。衆人環視の中でのボーカルの不可解な変死により、ロックバンド〈赤い青〉は活動

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