移動祝祭日《水曜日のエッセイ by アミカ》
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
◆
1話
2話
3話
ミングウェイに行く途中で出会ったマリーに、誤字スライムの倒し方を教えてもらった。
やり方はわかったけれど、これは、自分でできないとダメなんだ。やっていくうちに、自分の感覚が磨かれていくのを感じる。
何度も何度も挑戦して、自分のクセを掴んでいく。間違えやすいものって、大体決まっているんだ。
弱点のようなもの。
数匹逃すことはあるけれど、ようやく誤字スライムの多くを自分の力で倒すことができるようになった頃。
マリーから「旅人が集う街」の話を聞かされたのだった。
「あなたと同じように、よその世界から来た人たちが集まっているんだよ」
いつものように明るく、マリーは言う。
「あなたも誤字スライムを倒せるようになってきたし、そろそろ次の街でステップアップしてもいいんじゃないかなって思うんだよね」
「そう……なんだ」
複雑な心境で、私はマリーの家の壁を見つめる。明るい黄色の壁は、マリーの人柄を表しているかのように温かい。ここからまた、一人で旅を続けるのか。
私の不安を察知したのか、マリーはスッとそばに座って言った。
「大丈夫」
手を握りしめ、じっと目を見つめてくる。
「どこにいたって、あなたはあなただよ。これまでやってきたことは、あなたを絶対助けてくれる」
「うん……」
そうだ。そうだよ。
ずっとここにいられるわけじゃない。
誤字スライムを倒せるからって、生活できているわけではない。もっとレベルを上げなければ、収入を上げていくことは難しいだろう。
そもそも、元の世界に帰るための方法を探すにも、旅をしなければ見つからないようだし。いつまでもここにいて、マリーに甘えるわけにもいかない。
意を決して、マリーの目を見つめ返す。
そのようすを見たマリーは「わかったよ」というように、にっこり微笑んでくれた。
数日後。
旅の支度をして、マリーと次の街へ向かった。
すぐ近くらしく、「私も用事があるから」とマリーが同行を言い出したのだ。
道中誤字スライムに遭遇することあったけれど、スムーズに「旅人が集う街」へ辿り着くことができた。
街は、広かった。
マリーが言うには「東西南北、それぞれの方向に必ず1つ『旅人が集う街』があるんだよ」とのことだ。
行き交う人を眺めていて、ふと気づいた。
みんな、お面を被っている……??
「お祭りでもあるのかな?」
そう呟くと、マリーは言った。
「あら、あなたもずっとお面を被っていたよ?」
「えっ?」
自分では自覚がなかったけれど、お面を被っていたらしい。自分では、見えないようだ。
マリーが言うには、この世界に来る旅人はみんな、お面を被っているのだという。
確かに、マリーはお面を被っていない。
(ということは、ひょっとこ仮面はこの世界の人じゃないの……??)
湧き出てきた疑問の黒雲が、渦を巻く。
それに気を取られて歩いていたのだけれど、ふと見覚えのある文字が視界をかすめる。
「あ……?!」
そこには、学校のような建物が建っていた。
周りの雰囲気からはだいぶ異色な気配が漂う。
門のところには、先ほど視界を掠めた文字で何か書いてある。
自分の所属する文章サロンの名前を冠した建物の存在に、心臓が音を立てる。
「どうしてここに……!!」
そこには『放課後ライティング倶楽部』の文字が、はっきりと刻まれていた。
[ライター:アミカ]
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