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雑音のない世界《水曜日のエッセイ by 逢志亭あーや》

 
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
 

 
ノイズキャンセラー付きのイヤホンを買いました。
 
これね、スゴイの。
電車に乗ったときの騒音が、一気に消えちゃう優れものなんですよ。
 
初めて使ったときの感動は今でも鮮明に覚えてます。周囲の喧騒、車のクラクション、人々の話し声――これらすべてがまるで魔法のようにスッと消えて。まるで別世界にいるような、静寂の中にいると錯覚させられます。
 

初めは、この静寂がとても心地よかったんですよね。
忙しい日常から逃れ、一人の時間を満喫できる贅沢さを感じました。読書に集中できるし、音楽もクリアに聴こえる。
 
何よりも、自分だけの世界に浸れるこの感覚がたまらなくて。
毎日そのイヤホンを使って通勤し、その効果を満喫していました。
 

だけど、ふと思ったんですよ。
 

静寂がもたらす快適さの中に、何かが足りないような気がするって。
 
電車の中で完全に遮断された音の世界にいると、周りの人々の存在が希薄に感じるようになりました。
 
隣の席で寝息を立てる人、スマートフォンでゲームをしている学生、友達と笑いながら話している人たち――彼らの声や音が、いつの間にか私にとって背景音のように感じられていたんです。
 

でね、この感覚、文章にも通じるものがあるなぁって。
 

仮にすべてのムダを省いたとしたら、無味無臭なカタログにしかならないんじゃないかと思ったんですよね。
淡々と事実だけを並べた文章は確かに分かりやすくて効率的かもしれないけど、そこには人間味や温かみが欠けてしまうように感じられて。
 
文章の中に「えーと」「うんうん」とかの言葉があると、一緒に考えてる空気感が出るし
「って、そうじゃなくて」なんて一人ツッコミ的な言葉があると、つられて小さく笑ったり。
 
「その一文がなくても通じるような、一見ムダな」小さな言葉が、その人の個性や深みに繋がるんだろうなと。格好つけない素直な言葉は「その人そのもの」ですもんね。
 
完全に雑音を排除した世界が味気ないと感じるように、ムダを全て省いた文章もまた、あまりにも味気なくなるんだろうなと。
 

イヤホンを外して「現実」に戻ってきたときの、不思議な安心感。
完全な静寂には魅力もあるけど、雑音もまた必要な要素なのだと思います。
 
少しの雑音があることで、世界はより色鮮やかに感じられ、人間らしさを取り戻せるのかもしれません。
 

雑音は多少あった方が良いよね、そんな風に思うようになったのです。
 

[ライター:逢志亭あーや]

◆あとがき
ヤスです。伝えたいことがあるのなら、物語や体験談など挟まずに、それを短くシンプルにわかりやすく伝えればいい。それだとたしかに味気ないかもしれません。ノイズがないのは寂しくて。考えさせられる記事でした。

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