既視感のあるギルドの噂《ディスクライブ・メソッド・オンライン》《水曜日のエッセイ by アミカ》
水曜日の記事は文章クラブ『放課後ライティング倶楽部』メンバーさんが担当です。だいたい2ヶ月くらいで順番がまわってきます。
◆
1話
2話
3話
4話
* * *
先を歩いていたマリーは、私が隣を歩いていないことに気づくとすぐに戻ってきた。
「マリー、ここって……?」
「ああ、これ? これはギルドだよ」
「ギルド?」
「そう。ギルドっていうのは簡単にいうと、同じ目的のために組織された組合だね。放課後ライティング倶楽部は比較的新しいギルドだったと思うよ。できて数年だったと思う。メンバーもじわじわ増えて、今は60名ほどいたんじゃなかったかな」
「そ、そうなんだ……!」
「ここに入っていく者を見たものは誰もいないんだよね。でも、活動は熱心にしているらしい。あちらこちらで噂は耳に入るよ」
マリーには、私自身の事情について話してあった。異世界から飛んできたようだということ、ひょっとこ仮面のこと。
初めて聞いたときはかなり驚いた様子のマリーだったが、「この世界に突然現れる人がいるって話は聞いたことがあるよ」とつぶやき、何やら納得したようだった。
恐る恐る、自分が放課後ライティング倶楽部のメンバーであることを伝える。
ここのメンバーではないかもしれないけれど、同じ名前のサロンに所属していたことも。
マリーは大きな目を見開いて言った。
「そうだったんだ!! ここのギルドは謎が多くてね。活動の詳細も不明だし、所属メンバーもどこの誰がいるのかあまり知られていないんだよね。取材しようにも、どこに聞いたらいいかわかりゃしない。最近大きなイベントが開かれるようになって、ようやく活動の様子が見えてきたところなんだよ」
聞けば聞くほど、自分が所属していたサロンの活動に似ている。
けれど、放課後ライティング倶楽部にオープンなイベントなんてあっただろうか。
自分の知っている放課後ライティング倶楽部は、主宰者が毎日投稿してくれる文章をもっぱら読むだけで、大きな活動はなかったように思うのだが……。
「そのイベントって、どこでやっているの?」
「イベントのことなら、あっちの広場に行けばわかるよ。一緒に行こう」
マリーと連れ立って行った先には、ちょっとした公園くらいの広場があった。
仮面を被った数人が、ノートと筆記具を片手に立ち尽くしている。
よく見ると、ノートに夢中になって何かを書いているもの、空を見上げて呆然としているものなど様々だ。中には、頭を抱えてうずくまっているように見えるものもいる。
様子を見ていると不安になってくるけれど、声をかけづらい雰囲気を出しているので遠巻きに見守るしかない。
彼らは一体、何をしているのだろう。
手元はよく見えないが、皆何かを書いていることは確かだ。
……文章だろうか?
彼らの中央には、学校の黒板くらいのサイズの掲示板があった。貼ってあるのは、どうやら一枚だけのようだ。
近づいてみると、その張り紙は見たことのある暗めのターコイズブルーだった。
ゾワゾワする二の腕を抱えたまま、そっと近づく。
貼り紙の文字を見て、私は絶句した。
そこには、ゴシック体の大きな文字でこう書かれていた。
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[ライター:アミカ]
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