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即興劇「悪夢」

「また、悪夢」
今日も目を覚ます。

即興劇「悪夢」

午前1時32分。

心臓の鼓動と汗を感じ、目が覚める。

眠りについて程なく、今日も私は悪夢を演じているのである。
今回の悪夢は給湯器のボタンを押しても、お湯がでないのである。
これのどこが悪夢足り得るだろうか。

しかし、私にとっては十分に悪夢なのである。

適応障害を発症してから毎晩、何遍も悪夢を観る。
ある晩には同じ悪夢の繰り返し、またある晩にはいくつもの悪夢を。

我ながらよくもここまで悪夢を創り、演じられるものだと感心する。
今では唯一、褒められることかもしれない。

悪夢という即興劇は本当に恐ろしい。
悪魔の囁きから離れる唯一の手段「睡眠」を畏怖すべき対象へと変貌させてしまうのだから。

醒めれば「お前に存在価値はない」と悪魔が囁き、眠れば悪夢が恐怖をもたらす。
完全に行き詰まっている。
何をしても恐怖という監獄に閉じ込められているのである。

そう、悪魔と悪夢により「休息」という名の心のチョコレートをたった一口、たった一口でさえ味わうことが許されなくなったのである。

眠るのが怖い、起きるのも怖い、自死も怖い、全てが怖い。
怖い、怖い、怖い。

そして、今晩も即興劇「悪夢」を上演することに熱をあげる「私」がいるのであった。




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