空港みたいな台北バスターミナル
結局、台南にはバスで向かうことにした。もともと新幹線で行こうと考えていたが、心変わりした。きっかけは前の晩の「ビール2杯+つまみ2点」が1000台湾ドル(約4600円)したこと。円安、思っていた以上にやばい。
円安がやばい
海外旅行のガイドブックって以前は毎年のように最新版が出ていた。ところがコロナのせいで海外渡航者がぐっと減り、例えばいま書店に並ぶ「地球の歩き方 台湾編」は20〜21年版が最新だ。この書籍で「通貨と為替レート」の欄をみてみると「2020年2月12日現在の為替レートは1台湾ドル=3.7円」と書いてある。
この「2年半前のレート」をみちゃったのがダメだった。
ここ最近は1台湾ドル=4.5円を超える為替水準がほぼ定着。両替するときにはレートがもっと悪くなるので、実際には1台湾ドル=5円弱くらいの感覚だ。手元にある旅行ガイドのレートと比べると、街角で売られている商品すべてが30%くらい割高であるように感じてしまう。学生のころと比べれば経済的な余裕はあるけれど、それでも、節約できるところは節約しなくては、と考えるようになった。
新幹線も非・直通
で、台北→台南への道のりは、高速バスが圧倒的に安い。
こういうふうに並べてみると、金銭面だけをみても高速バスの圧勝だ。だが、高速バスが有利なのは料金だけではなかった。
大きなスーツケースが2つあるので在来線は言うまでもないが、新幹線も「+在来線」とあるのがポイント。台南の新幹線(正確には高速鉄道=高鐵と呼ぶ)の駅は中心市街地からだいぶ離れたところにあり、在来線への乗り換えが必要になる。これも、スーツケース2つのことを考えると、かなり面倒そう。
さらに台湾の新幹線は日本の技術を導入しているので「乗ってみると日本の新幹線そっくり」と聞いたことがある。それってあんまりおもしろくなさそうではないか(日本と似てる! という驚きも楽しいけれど、乗った瞬間で終わる)。
一方で台湾の高速バスは料金からは想像できないほどシートがゆったりしていて、トイレもついていて、テレビや雑誌などのお楽しみコンテンツも至れり尽くせりらしい。
時間を要するのは確かだけれど、料金は新幹線と比べれば半額以下、なにより高速バスのほうが台湾らしさを感じられそう。こうして高速バスを選ぶことに。
空港みたいなバスターミナル
唯一の懸念点は「乗るのが難しそう……」という点だ。バス会社のウェブサイトを見てみたけれど、予約の手順や乗車方法がいまいちわからない。
そこで思い切って台北轉運站(台北バスターミナル)に下見に行くことにした。詳しい利用方法の説明はこういう丁寧な解説ウェブサイトに任せるとするが、とにかく思ったのは「まるで空港みたい」ということ。
↑まず1階には各バス会社のチケット売り場がある。頭上ディスプレイに行き先が書かれているので、どこに並べば良いのかも一目瞭然だ。漢字が多いのでごちゃごちゃした印象はあるけれど、曲線をベースにした意匠もなんだかカッコいい。
↑バスの乗り場は2〜4階にある。バス会社によってどの階なのかは分かれている。これもエスカレーター近くに明示されているので間違えるリスクは低い。
↑乗り場のある各階にもディスプレイがあって「バス会社」「行き先」「経由地」「乗り場のフロア」「搭乗ゲート番号」が表示されている。まさに空港。
↑で、これが搭乗ゲート。ここもディスプレイが多数設置されている。ところで室内なので冷房が効いているっていうのもありがたい。日本にもこういうバスターミナルってあるんだろうけど(新宿のバスタってこんな感じ?)、少なくとも東京駅八重洲口の高速バス発着所って屋外でしたよね?
一つだけ注意点は、搭乗ゲート近くの2〜4階のトイレは、半2階/半3階など階段を少しだけ昇り降りしないとたどりつけない場所にあるということ。スーツケースを持っている旅行客には辛い。台南まで4時間半の道のりになるので、搭乗直前にトイレは済ませておきたいところ。これは下見したからこその発見だ。
窓口も懇切丁寧
いずれにしても、たどり着いた結論は「うん、これなら高速バスでも移動できそう」。1階に戻り、チケットを買うことにした。
とはいえまだ中国語に自信がないので自動券売機へ。ところがすぐに自動券売機がクレジットカード払いを受け付けていないことに気付く。できるだけ現金は温存したいので、しょうがない、言葉の不安はあるけれど、窓口へ。
「明日の午前8時か9時くらい、台南に行きたいです」。おそるおそる話してみると、案外すんなり伝わった。中国語のネイティブと中国語で話してみると、本当絶望するくらい伝わらないことが多い。が、こういう場では「バスの乗車券売り場」という文脈があるから、むこうもある程度意図をくみとってくれるのかも。
あと、ココでとても助かったのが、この顧客サイドに設置されたディスプレイ↓
窓口の職員さんが選択した「行き先」「日程」「席の種類」「料金」を確認できるのだ。こちらの要件が着実に相手に伝わっていることを確認してから料金を支払うことができる。おかげで不安感がまったくない。
こういう細かいところにサービスの質って表れるものだと思う。日本の鉄道駅やバスターミナル、訪日外国人向けにこういう気配りはできてるかな?
(ところで窓口もクレジットカード払いNG。結局は現金で支払った)
【2022/08/29の日記】
朝食は最後の防疫ホテル隔離メシ。さすがに感慨深いものがあった。右下のヨーグルトは自分で買ったもの。
個人的な事情により台北にもう1泊する関係で、台北駅近くのホテルへと移動(防疫ホテルは防疫ホテルとしてのみ営業しているようで、1週間お世話になったホテルは延泊を断られた)。午後3時まではチェックイン不可だったので、とりあえずスーツケースを預ける。ここのホテルは日本語を話してくれるスタッフがいた。
ホテルを出ると、スシロー・和民・サイゼリアが揃い踏みする一角があった。別に日本食に飢えているわけではないが、和民の「居食屋」という枕詞に惹かれて入店してみた。居酒屋とは何が違うんだ?
すき焼きセット(200台湾ドル=910円)。まあ、可もなく不可もなく……。日本なら生卵がつきそうなものだが、ここは海外。
結局「居酒屋」と「居食屋」の違いはよくわからなかった。メニューはいわゆる「和民」そのもので、店内の雰囲気も居酒屋っぽかったが。中国語ネイティブからみると、語感に差があるんだろうか。お客さんはそこそこ入っていた。
チェックインまで時間がまだまだあったので、かなり暑いなかを散歩。
アデランスの屋外広告に大きく「假髮」と書かれているのを見つけた。「假」ってこういう意味↓
なのでカツラを意味していることは一瞬でわかるんだけれど、あまりにそのまんますぎてちょっと面白い。
近くにあった「台北228記念館」が面白そうだったので向かってみるが、月曜日は休み。しょうがないので「228和平公園」を歩き回る。ちなみに228というのは1947年に外省人の役人が台湾人女性に暴行を加え、その後の国民党政権による長期的な弾圧政治につながった事件です。それにしても日差しが強い。
せっかくなので総統府にも足を伸ばしてみる。ツアーもやっているけれど休祝日限定だった。辰野金吾っぽさ、確かにある。東京の首相官邸と比べると、建物前面のスペースが狭い。セキュリティ大丈夫だろうか。
15時にチェックイン。その後、前述の通りバスターミナルを視察した。バスターミナルそのものだけではなくて、バスターミナルに至るまでの地下道の動線も確かめた(ほんと、スーツケース2個って不便極まりない)。
時間があまったのでスターバックスで10日ぶりくらいのカフェイン摂取。やっぱりカフェインっていいですよね。アイスコーヒーのグランデが110台湾ドル(約500円)なので、これも日本よりはやや割高か。
初めて台北市内で野良犬をみた。個人的にインドで半年間暮らした経験があり、海外で野良犬をみると身構えてしまう。実際ふらふらしていて足取りがおぼつかないように見えたので、念の為近寄らずに違う道を通ることにした。
夜は自分の会社の台北拠点で働く人々に会った。手土産を持っていったりして、久しぶりに会社員に戻った気分。そのまま夕食(写真なし)。日本料理店。
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