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リモートワークで大切にしたかったこと

10月1日から、自宅でのリモートワークをはじめることになりました。

今後は、編集の業務は変わらず、働く場を自宅とその近くで進めることになります。六本木オフィスに通勤するのは、週に1回かそれ以下になる予定(もちろん取材などで東京にアクセスすることがあれば回数は増えます)

会社の方針としては、リモートワークは認められておらず、これまで、家庭の事情による止むを得ない遠方への引越しがきっかけとなった、特例的テレワーカーはいたものの、僕が知る限りでは、その方のみ。条件面での会社との相談のうえまとまった、イレギュラーな形態です(会社の内部事情的なことを書くことが目的ではないので、経緯等は端折ります)。

つまり、社員の権利として保障されているわけではないリモートワークに、どうしてそこまでして、こだわったのか、という個人の想いを、忘れないうちに書き残しておきたいと思います。

1・コロナショックはやはり大きかった

リモートで働く。

こんなこと現実的には、ほとんど考えていませんでした。

我が家は今年の3月に軽井沢に引越しをしました。もちろん、その前段で、テレワークができればいいな〜くらいにはうっすら思ってはいたのですが、会社的には認められる可能性が低いし、新幹線通勤も悪くない、と思っていたのです。

※実際、3月の時点では、新幹線通勤たのしむtweetをしているw

ただその後の、新型コロナウィルスの感染者蔓延と自粛期間突入によって、きもちは大きく変わってしまいました。

4〜5月に自宅で過ごす時間が長くなるにつれて、どんどんと「仕事」と「プライベート」の境界が溶けていく感覚がありました。

※自粛期間では庭に訪れる鳥や木々に助けられました

当初は、仕事と家事と育児の分担で、妻ともちょいちょい揉めていましたが、5月に入る頃には、バランスを見出しはじめ、同時に仕事を手放すきもちの持ちようも身につけてきたので、うまく回りはじめました。

*マンションではなく戸建ての意外なメリット、というこんな記事も書きました。

「仕事」と「プライベート」の境界が消えていったいちばんのよさは、子育てに関われる距離が近いことでした。自宅での業務を終えて、1階に降りるとすぐに夕食に加われる。子どもにかかわれる時間が長くなることは、今の自分にとって「幸福感」につながります。

そして、もう一つの良さとしては、夫婦での子育て・家事分担もしやすい、ということです。自宅にいると、床の汚さや洗濯物など、自宅の不具合が目に着きます。ささっと時間を見つけて、それを解消することができます。

よく、「見えない家事」といって、たとえば「ゴミ袋をかける」とか「トイレットペーパーを替える」とか、家事にはリストアップされないけれど、誰かがやっている家事リストがあります(あってます?)。その遠因は、やっぱり男が家にいる時間が少ないことがあるんじゃないか、なんてこともここでは気づかされました。

結果的に、ですが、家事・育児、というか家族の生活全般を協業していくことがとても自然なあり方に思えて、リモートワークはそれを可能にしてくれる働き方のひとつだ、と思わされたのです。

2・取材・打ち合わせがすべてリモートへ

もう一点、大きかったのが、コミュニケーションの「オンラン化」でした。

社外の著者の方とは、いまも100%。当初はむずかしいと思い込んでいた、本の取材も、オンラインで一度も会わずに完結してしまうほどです。コロナが落ち着いたら、どうなるかは分かりませんが、この流れは続くのではないかなぁと感じています。

実は、zoomでの取材が一般化すると、新幹線通勤のデメリットが目立つようになってきました。それは、「一日5時間を通勤で拘束される」ということです。

zoomの良さは、リアルに比べた、取材・打ち合わせの設定のしやすさです。(相手の方から見たら、言い方は悪いですが)時間を頂きやすい、ということです。午前や夜の時間が、候補に入ってきます。しかし、新幹線通勤をしていると、その時間に、オフィスか自宅にいないといけないため、逆に場所に拘束されることが増えてしまったのです。

さらに、オフィスのスペースも不足しているように感じました。zoomの時、個室で静かな空間を求めても、「会議室が空いてない問題」にぶち当たってしまう。雑談が聞こえるフリースペースの打合せは、相手にも失礼かなと気になってしまいます。

場所に拘束されない方が、リアル・オンラインの境界が溶けていく中で、仕事の効率も上げられるのではないか、と考えました。

3・コミュニケーションの課題をどうするか

社外の関係者の方とのコミュニケーションはオンラインに移行している、と書きましたが、社内との意思疎通はどうなのでしょう。

正直、むずかしさはあるよね、と思ってます。今のところ・・・。

オンラインのコミュニケーションが上手に回る場合って、双方がそのコミュニケーション手段をベースに考えていて、尚且つ、ツールを駆使している場合が多い気がします。しかし、前段で書いたとおり、リモートワークはあくまで超例外なので、社内の人が、コミュニケーションのベースをオンラインに移行することはないわけです。

メールは、とことん感情のやり取りには向かないなぁ、と最近つくづく感じます。もちろん、zoomでのやりとりの場をつくってくれているので、それはありがたいことです。ただ、リアルにあったときの、相手に残る感覚は圧倒的にオンラインには欠如しています。社内のコミュニケーションは、「情報の交換」ではなく、「感情のやりとり」の割合が、仕事を回していく上で大きいと痛感します。

これは、自分の今後の課題です。

4・マネジメントを降りた

付け加えるならば、3年ほど務めさせてもらった、新書リーダーと副編集長のお役目を降りることになりました。勤務形態の変化がきっかけです。

ちゃんとコミットして成果でお返しできず、正直、何も残せていない感覚なので、ここはしっかり振り返りをしていきたいと思います。

5・なってほしい社会になってほしい

最後に。

自粛期間あけに、久しぶりに上京した日のことを、ありありと覚えています。ホームの音がうるさかったり、入ったどんぶり屋が美味しくなかったり…。あんまり人間的じゃないなぁ…。と感じてしまいました。

これは、勤務形態の話ではなく、生き方の話なのかもしれない、とそのとき思ったのです。「生きたいように生きてほしい」と娘には常々願っているので、合わせ鏡のように自分にも、その言葉が返ってきます。

もっと、仕事も家庭も、オンもオフも境界のない生き方をしたい、そのために効率性はあんまり重要じゃない、そんな気持ちがひとつの大きなきっかけになったことは間違いなさそうです。

…はて、どうなることやら。

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