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「昔かたぎ」では価値がない? 格好いい自分でいたい。50代会社員がすべきたった1つのこと。(後編)

さて、前編ではお伝えしたことは3つ。
・役職や年齢が上がるほど「できない」と言えなくなる
・それは”格好いい自分でいたい”という矜持から来ている
・だが現状の自分に目をつぶり努力を怠っては評判は上がらない

現状を打開するには、学んで新しい力をつけ自信を持つ必要があります。でも、「できない」自分を認めるのは難しいことでもある。そんなふうに揺れ動いている40~50代の社員さんをご紹介しました。

後編では、それらを両立し、自分の矜持を守りながらも、新しい学びを得ていける方法をお伝えします。


ウェブ嫌い世代がE-ラーニングに馴染んだ理由とは

私の会社では、E-ラーニングに力を入れています。独自の研修サイトを構築し、研修コンテンツも社内で内製しています。

以前は、同じ部屋に集まる集合研修がメインでしたが、会社が拡大するにつれて、全国に点在する社員たちを集めることが難しくなりました。そこで、空き時間を使って効率的に学べるE-ラーニングが発展したという訳です。40~50代の多忙な社員なら、なおさら時短になる学習方法です。

しかし・・、年齢の高い社員ほどウェブツールは取っつきにくいもの。予想されていたかもしれませんが、E-ラーニングはなかなか浸透しませんでした。一番愕然としたのは、「見ました」と言いながら、研修動画の視聴時間がたったの1秒だった人!視聴時間が分かってしまうなんて、彼は思いもしなかったのでしょう。

反対に、E-ラーニングに積極的だったのは20~30代の若い世代です。なるべく、私たちもこの世代をターゲット層として、研修内容を考えたり周知キャンペーンを行ったりしていきました。特に人気だったのは、受講するとポイントが貯まり、私たち研修部署が作るオリジナルノベルティと交換できる制度。ボールペンからステッカー、エコバッグまで、ノベルティの種類は優に10を超えました。受講者の人は、仕事中にボールペンを使ったり、パソコンにステッカーを貼ったりと主に職場で活用していました。

さて、ここまでを振り返ると、40~50代社員向け学習としては、E-ラーニングは失敗だったように思えます。

しかし、半年が過ぎた頃。不思議なことに、少しずつ管理職の受講が増えてきました。

「俺、ステッカー全種類もらったよ!」
「エコバッグ取り置きしてくれない?」

「俺には研修は必要ないんや」と言っていた人までもが、パソコンにステッカーを貼っているのを見た時は、私の部署でトップニュースになりました。
あんなに反発されていたのに、一体どういう心変わりなのでしょうか。


「皆がやってるから」という動機は不純なのか

調べてみると、管理職が多く受けている部署は、年齢に関わらず全体的に受講率が高い部署でした。その部署で親しくしている社員に話を聞くと、なんと、彼から出た言葉は。

「オリジナルノベルティをもらうのが流行り。皆が持ってるよ」

能力を上げたいとか、義務だから、ではなく「皆がノベルティを持ってるから」!40~50代の社員たちは「‥皆がしてるなら俺もしてみようかな」と思って研修を受講し始めたというのです。

学ぶ動機としては不純かもしれませんが、実はこれでいいです。

「俺はできる、だから学びは必要ない」と現状に目をつぶっていた人も、できるできないに関係なく、ノベルティのためだと思えば、自分の矜持は傷つかないまま学び始めることができるのです。ノベルティをもらいながら学習を進めるうちに、新しいスキルが身につく。そのスキルが仕事で役立った時に初めて、「研修もいいかもしれない」と感じる。研修を担当する私からすると、最後の最後に研修がその人の役に立てば、それで十分なのです。


だから、矜持を守りつつ学ぶためには、周りの雰囲気に乗りましょう。「皆がやってるから」「部下が勧めてくるから」などがきっかけで良いのです。

最近、50代の男性社員とこんな会話をしました。「娘がタピオカミルクティー買ってきたんだよ。要らないって言ったんだけど、流行ってるからって勧めてくるから仕方なく飲んだら案外いけた」

この人、実は、以前からタピオカミルクティーを飲んでみたかったのかもしれないと思います。でも、買いに行くには抵抗があった。もしそうなら、娘さんの強い勧めや、流行っているからという言葉は渡りに船だったことでしょう。

もしあなたが、実は今の自分を変えたいと思うなら、周りの流れを逃してはいけません。むしろ自分から、「最近、なんか勉強してるんだって?」と、流れに巻き込まれにいくのもお勧めです。「そうなんです。結構良いですよ」と返されたら、「上司の俺が内容を知らないわけにはいかないなあ」と言いながら流れに乗れば良いのです。

大人は学ばなくてもいい。だけど・・

そうは言っても、「そんな不純な!真面目に学ばないと!」と感じる人もいるかもしれませんね。ですが、そもそも本当に大人に学びは必要なのでしょうか。

「教育」というと、全員が万遍なく学ばなければならないイメージがありませんか?それは日本の義務教育制度が少なからず影響していると感じます。小中学校の頃から、「子どもは全員学校に行かなければいけない」と教えられてきました。

確かに、読み書き計算などは、社会生活に必須な基本的能力。全員が身につけておかなければ社会が成り立ちにくいですよね。しかし、社会人にまでなると、既にある程度のことは皆できています。その状況では、それ以上学ぶことが本当に「全員」に必要なのでしょうか。


研修を仕事にしている私が言うべきではないかもしれません。
でも、答えは「大人は全員が学ばなくてもいい」です。


先述したように、以前、「受講しました」と言いつつ研修動画を1秒しか見ていない人がいました。その時、私はこう思ったのです。

「あ、この人は今困ってないんだ。だから、学びを必要としていないんだ」

もし失業すれば、必死になって仕事を探すでしょう。仕事がなければ、必死になって資格をとったり技術を学んで仕事を得ようとするでしょう。同様に、成果が出なければクビになるとしたら、成果を出すための方法を血眼で学ぶでしょう。

社内研修に携わり、学習が身になる人や身にならない人を多く見てきました。その結果、困っている時こそが、一番学びが身につく時だと感じるのです。ですので、大人が学習することは必須ではありません。困った時に学べばいいのです。


でも、もしあなたが、実は困っているのに「できない」と言えないなら、”格好よくいたい”と願うなら、やることはたった一つだけ。周りの流れに乗って学び始めることです。そんなきっかけで構わないのです。

現状のままではあなたの評判は良くならず、”格好よく”はなれません。でも、新しいスキルを身につけて、新しい自分になって、もしそれで仕事が上手くいって自信がついたなら。その時こそ、部下や会社に頼りにされるような”格好いい自分”になっているはずです。


学ぶことは、あなたを”格好よく”してくれる。
さあ、矜持をかかげて、流れに一歩を踏み出しましょう。

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