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紅葉と山林所有と固定資産税と森林保全と(旧暦10月6日)

新暦11月2日 旧暦10月6日

島根の山間部は山のてっぺんの方から少しづつ赤みが増して来ました。不安定な天気が続いた今年の紅葉はどうなりますでしょうね。

この時期に紅葉するのは落葉広葉樹であるナラやケヤキなんかですが、これらはスギやヒノキと違って雑木林というレッテルが貼られています。野菜に対する雑草のように、統一のない色々なものとしての「雑」の字が当てられています。

確かにスギやヒノキは建材としての利用価値が高いですから、そのようなカテゴリー分けがされるのでしょうが、かつて国策として各地に植えられたスギやヒノキの針葉樹は時代とともに価値を失い、管理もされないまま放置されている山も多いのが現状です。

そうなってくると山林を所有していることが負債のように感じられるのも仕方ないことでしょう。相続しようにも息子たちは管理する気がないし、それでいて登記の書類仕事は面倒だし費用もかかるし、しかも微々たるものではあっても毎年固定資産税がかかるという始末。

だったら、後々の面倒をかけないためにもとりあえず生えてる木は全部伐採して収益化するなりしてしまえ、という意見が出てくるのも理解できるわけです。針葉樹なら木材に。雑木も昨今はバイオマス発電の普及で価値が高まってますからお金になります。

しかしその森の利益を享受するのはその山林を所有している人だけでありません。日本はもちろん世界の環境を保全し、そこで暮らす僕ら全員に利するわけです。生態系の保全、水源の保全、山崩れ防止や緑のダムとしての治水の役割も持っています。

個人の資産として腫れ物なのは理解できる一方、世界の資産としての役割があることと折り合いをつける必要があるように思います。

当然、森林は景観保全にも寄与しているわけで、それこそ紅葉が楽しめるのは雑木林があるからです。スギとヒノキの針葉樹林は紅葉しませんし、むしろ紅葉した山の中に帯のように針葉樹林があると残念なくらいです。新緑の季節も同じことを思います。

人工林のない国立公園などの保全地区の紅葉はやはり圧巻です。

木材としての森林経営をしないのであれば、広葉樹の森にしてそこに少額でも助成金を出すくらいしてしまっても良いのではと僕は思います。広葉樹の森の方が針葉樹と比べて植えてからの下草の管理などの手間が少なくて済むそうですし。

助成金は難しくても、雑木林には固定資産税がかからないようにするとか。雑木林は別に放っておいてもいいのだし、そのまま原生林化してくれれば最高でしょうし。

その代わり、皆伐するときに申請を義務付けて、伐採税なんかを取るのはどうでしょう。それなら針葉樹林も固定資産税無しにしても良いでしょうね。

そして間伐している限りは伐採税はかからない。とか。森に光を入れて、森林の健全性を高める行為だから、どんどんしてもらって良いじゃないですか。

固定資産税がかからなくて、
皆伐したら伐採税がかかって、
間伐なら伐採税が免除される、

みたいな状態なら、山を持っていても負債感はないし、その上で間伐材を利用した経営は可能です。針葉樹なら建材になるし、広葉樹なら、薪や炭、しいたけ原木などに使えます。

そして国土は一層美しくなって、生態系は豊かになって、災害にも強くなる。

最高じゃないかと思うんですが、どうでしょう。国益イコールGDPな目線とは逆行するんでしょうがね。

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