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ポッと出のダンスバトルでMVPをもらった

今までの投稿で小出しにしてきたが、私の人生は音楽に救われている。ダミ声がコンプレックスでいじめられ、音痴だったが、音程が重要性されていないラップに出会ったのが始まりだ。ここから作詞作曲など趣味程度で音楽活動をしていくものの、ダンス、とりわけブレイクダンスにも興味があった。ラップとブレイクダンスには共通する部分がある。差別や偏見に立ち向かうというルーツは同じだし、ダンスバトルで使われている曲にラップの曲が流れることもある。ダンス教室に通いたかったが当時は体育の授業に導入されていなかったし、オリンピックの競技種目になるなど思ってもいなかった。認知度が少なく、家庭では却下された。

そこから幾年か経ち、社会人になり一人暮らしを始めた。と、いうわけでダンス教室に通い始めたのが6月のこと。ダンス全般に興味があり、ヒップホップとブレイキングのレッスンを受けることにした。ハウスダンスとロックダンスというジャンルもしたかったが、クラスが無かったのでYouTubeを見ながら独学で始めた。ブレイクダンスは他ジャンルと違ってアクロバットな動きが多いため、上達には時間がかかる。それでも少しずつだが出来ることが増えていくことが嬉しく、達成感があった。

2ヶ月経った8月初め、インストラクターからダンスバトルに出ないかと聞かれた。近くにブレイキングのレッスンをしているスタジオがあり、そこと合同でバトルするらしい。軽い気持ちでOKしたが、当日行ってみると圧倒された。DJが大音量で音楽を流し、社会人だけでなく小中学生もグルグル回っている。負けると元から分かっていたが、やはり2ヶ月目が参加する所では無かったなと思った。しかも技のレパートリーはとても少ない。尺を稼ぐためにハウスダンスやロックダンスも織り交ぜてみた。結果はもちろん敗退。でも良い刺激になったし、参加して良かった。優勝者まで決まり、最後に審査員とMCの総評、そしてMVPの発表があった。

ボーっとして聞いていた時、MCが私の名前を読んだ。


理解が追いつかなかった。どうやら他ジャンルの動きもしたことが受けたらしく、自分のスタイルが出てたと言われた。

また一つ学んだことがある。

どんなに否定されても、認めてくれる人が1人くらいはいる。


おそらく今の私は小学生とバトルしてもブレイキングという観点では負ける。ただ視点が変われば勝てるかもしれない。芸術系のコンテストなども大抵そうだが、点数制のスポーツと違い勝敗は受取手の好みや価値観で大きく異なる。実際に他のバトルで負けた人でも、なんで負けたんだろうと個人的に思った人がいた。

音楽に救われてきたが、これからは私の音楽が誰かの心に響いていくのかもしれない。

100人中99人が敵でも、味方が1人いればいい。よくある表現だが、体感した1日だった。

“勝ち上がる”ことも大切だけど、一人ひとりに“価値がある”。誰もが誰かのMVP、楽しんだ者が“勝ちである”。持てるものを組み合わせれば唯一無二の“価値である”。


拙いラップではあるが、そう口ずさみながら帰路に着いた。

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