miyoo mini plus、最高です

つい一ヶ月ほど前、miyoo mini plusという携帯ゲーム機を買った。
いわゆる中華エミュレーター機と呼ばれるものの一つで、所有するゲームを一度データ化し、それらを取り込んで遊ぶものだ。
ジャンルは違うが、音楽CDをテープやMD、携帯音楽プレーヤー等に取り込んで聴くような感覚に近いかもしれない(この例えももう古いか…?)。

miyoo mini plusは中でも小型のもので、2023年に発売された。
ゲームボーイをそのまま小さくしたようなボディに、わりに大きいディスプレイがついている。
アナログスティックはついておらず、それを前提とした一部のプレステのゲームは物理的に遊ぶのが難しいが、プレステ以前の家庭用ゲーム機はだいたい遊べる程度のスペックはある。
ソフトとエミュレーターとの相性からうまく遊べないものもごく稀にあるが、概ね懐かしの名作を小さいボディに詰め込んで自由に切り替えながら遊ぶことができる。
(当たり前だが、ソフトデータは所有したものから吸い出さないと違法になるので、遊ぶ際には専用の吸い出し機なども追加で購入する必要がある。
興味のある人はしっかり調べてから遊ぼう。)


これがまたべらっぼうに良い。最高だ。

私はスーファミからゲームボーイ、プレステ、64あたりを少年時代にどっぷりと遊んでいた世代で、その時代の名作は今でもやっぱりたまに遊びたくなる。
だが大人になって、それらを遊ぶことに少し敷居を感じるようになっていた。
それぞれの本体を準備しテレビの前に腰を据えて遊ぶ、というプロセスを頭の中に思い描く時、そこには「遊びたい」よりも「面倒くさい」の感情の方が大きく存在するようになっていたのだ。

仕事終わりに帰ってきて晩ご飯を食べた後、やっとSwitchやPS5で遊ぶかどうか、のラインで迷っている自分にとって、かつての名作を押し入れから出して遊ぶのは果てしないゴールになってしまっていた。
実際やったことあるゲームたちだから、そこまでの労力を割いてまで…。と思ってる自分はなんか悲しい。でも仕方ないんや。

そんな自分にとって、miyoo mini plusの存在は最高のおもちゃ箱になった。
当時のゲームたちをボタン一つで機種の垣根も超え、手のひらの上で自由に遊ぶことができる。
まずもって本体の外観もめちゃくちゃ可愛く、所有欲はバリバリに満たされる(私は黒いボディのものを買いました)。
ゲームボーイやスーファミなどのゲームは、フィルタを設定することでより実機の雰囲気を醸し出すことができるし(初代ゲームボーイの緑色じみた画面や、スーファミをブラウン管テレビでやった時の独特のにじみ等も、近い感じで再現可能)、セーブデータが突然消える心配もない。
重い腰の社会人さえも気軽に遊ぼうと思える起動の速さも、遊ぶ意欲を掻き立ててくれる。
もう一回言わせてもらうが、こいつは最高です。



あの小さいゲーム機にこれだけ興奮できる自分を客観的にみて、これは単にゲームに対する楽しさだけではない、違う感情を覚えているな、とふと思った。
なんやろうと考えた結果、一つ思い当たるものがあった。
あの携帯ゲーム機は私にとってデアゴスティーニなのだ。

想い出のゲーム達を、ある時は押し入れから引っ張り出し、またある時は買い戻しつつ、少しずつ集めていく感覚。
手作業で一つ一つパソコンでデータ化し、それらをmiyoo mini plusに遊べるゲームとして付け加えていく手作りに似た実体験。
誰でも買えるただの小型ゲームデバイスが、自分だけの想い出を少しずつ、けど確実に纏っていき、気づけば肉厚の想い出の象徴になっていく変化。
どれをとっても「自分だけの夢のゲーム機を作ろう!」とでも言わんばかりの体験なのだ。
コレクション気質のある私と相性が悪い訳がなかった。

昨今はレトロゲームの価格も高騰気味で、たまにビックリするお値段のソフトもあるが、それでもまだまだ安いものもあったりする。
往年の名作を、運が良ければ200円程度でコレクションに追加できるのはなんとも痛快だ。


幼少期の記憶は年とともに薄れていく。
あそこの公園で誰々と何して遊んだ、とか、小学生の時にこんなオモチャで遊んだ、とか。覚えていたとしても、それらは触れることのできないただの想い出だ。
だがゲームというメディアは、当時自分が見た画面、聴いた音楽、体験した物語を、いつでもそっくりそのまま再現してくれる。しかもその想い出だったはずの世界に、今の自分が能動的に介入できる。
過去だったはずのものが今まさに遊べる体験へと変わるのだ。
こんなエンタメ、他にはない気がする。

miyoo mini plusは、かけがえのない自分のコアの部分をいつでも遊べるようにして側に置いておける、素晴らしいデバイスだ。
今年一番の買い物と言えるかもしれない。まだ半分過ぎてないけど。

まだまだアーカイブしたいゲームはたくさんあるので、今後もじっくりと中古ショップでレトロゲームを漁っていくつもりだ。


miyoo mini plus、最高です。

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