ポコ♪がたまには「株」について語る②
「株のプロ」っていったいなんなんだ?
例えば将棋のプロは、子供の頃から奨励会で鍛えられ、厳しい昇級・昇段試験を勝ち抜いた者をいう。
漫画や小説ならあるかもしれないが、インターネットの対戦将棋で自己流の戦法を編み出した素人の若者が藤井聡太二冠を打ち破る、などということはあり得ないことなのです。
なぜならプロの棋士は、才能はもちろんのこと、徹底した訓練と膨大な記譜の研究結果を駆使して将棋を戦っているからなのです。
あるいはプロのサッカー選手を考えてもい。
欧州のサッカーリーグをネットで観戦して感動してサッカーを始めた無名の若者が、数年後、ワールドカップで最優秀選手になる。なんてことは誰もが荒唐無稽であることに気づくはずである。
将棋やサッカーに限らず、ほとんどの競技ではプロとアマチュアの間には高い壁がある。
「プロ」とはたんにその競技から生活資金を得ているというだけではなく、素人がどれほど努力しても到達できない高みに達した人たちへの呼称なのだ。
株式運用のプロを金融業界ではファンドマネージャーと呼んでいる。
彼らの成績は、株式市場の平均値(インデックス)との比較で決まる。
その年の運用成績が平均株価をわずかでも上回ればボーナスが上乗せされるし、逆だとカットされる。
だから毎年、インデックスに0・1%勝ったとか負けたとかで大騒ぎする。
でもこれって、「運用利回り900%」と比較したらクジラとミジンコくらいの違いがあるんじゃないだろうか?笑
だったら、「株式運用のプロ」っていったいなんなんだ?
それを知るには、プロの存在しないゲームを考えてみたらいい。
例えば、コイン投げのプロというのは存在しない。
コインが表になるか裏になるかは偶然によって決まり、その確率は五分五分だからだ。(イカサマがなければの話だが)
宝くじのプロがいない理由も同じで、当選番号は偶然によって決まるのだから、1等の出る売り場とか、当たりやすい数字の組み合わせなどは全て迷信である。(怪しげな宝くじ必勝法を売りつける自称「プロ」ならいる。)
コイン投げや宝くじに限らず、ルーレットやサイコロなど、勝敗が偶然によって決まるゲームにプロはいない。
それに対して囲碁や将棋では、プロとアマチュアの間には乗り越えがたい力量の差が生じる。
そこでは強い者ほど勝率が高く、偶然の要素はわずかしかはたらかない。
これはスポーツ競技でも同じで、だからこそひとびとは「奇跡」を求めて熱狂するのだと思う。
そして、実はここに株式投資の本質があるのだ。
・・つづく・・
【参考文献】『臆病者のための株入門』橘玲著(文春新書)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?