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無職の大富豪誕生‼️

2005年12月8日 寒い朝

みずほ証券の担当者が東証マザーズに新規上場された総合人材サービス会社ジェイコム株に売り注文を入れた。

『61万円1株売り』と注文するつもりだったのだが、金額と株数を逆に入力してしまって『1円61万株売り』の注文が通ってしまった。

それが午前9時27分。

新規公開株でまだ初値がついておらず、この注文の直前には90万円前後の値がつきそうだと思われていた。

そこに大量の売り注文が入ったものだから、初値は一気に下がり、67.2万円になった。

通常ではありえない大量の売り注文だったためにその後も株価はグングン急落していき、わずか、3分後の9時30分にはストップ安の57.2万円に張り付いた。

担当者はすぐにミスに気づき、取り消し注文を送ったが、当時の東京証券取引所のシステムでは取り消すことはできなかった。

1円での売りはそもそも成立しないので、有効な価格の下限で61万株売りが処理される『みなし処理』というものが行われていて、その間は取り消しできないプログラムになっていたという。

担当者は何度も取り消し注文を送ったあと、東証と直結したシステムでも取り消そうとしたが、できない。

東証に電話で、直接、取り消しを依頼したが、それも拒否。

そこで、みずほ証券は売り注文全てを買い戻すことにした。

今度は大量の買い注文が入り、株価は一気に上昇し始めた。

9時43分にストップ高となった。

この間の事件は後に『魔の10分間』と名付けられた。

その後は誤発注と見て大量の買い注文を出す個人トレーダーや、急落に狼狽して売り出す保有者など各方面を騒がせて株価は乱高下。

10時20分以降、株価は77.2万円のストップ高に張り付いた。

みずほ証券の反対売買にもかかわらず、すでに注文を出していた9.6万株の買い注文については相殺しきれず、そのまま市場での売買が成立した。

この日、誤発注を起こしたと疑われたジェイコム株の主幹事である日興コーディアル証券の株価も急落した。

他の証券株や銀行株にまで売りが波及して、午後になると、誤発注した会社が損失補塡のため保有株を売り出すのではないかとの憶測が流れ、日経全体が全面安となった。

この日、みずほ証券がこうむった損失額は407億円!

後日、みずほ証券はシステムに不備があったのでは?と東証を訴えた。

裁判の結果、東証は107億円を負担することになった。そして東証の鶴島琢夫社長は辞任に追い込まれた。また、この事件で利益を得た証券会社に返還を求める動きが起きて6社がそれに応じた。

大きな話題になった事件であり、マスコミでもずいぶんと報じられた。

マスコミが飛びついたのは、特に個人トレーダーの存在である。

この数分間のドタバタ騒ぎの中で20億の利益を得た個人トレーダーがいた。

B・N・Fさんである。

B・N・Fさんは株式大量保有報告書に職業を無職と記載したもんだから、テレビ番組などで、『ジェイコム男』などと名付けられ無職の大富豪として世間の注目のまととなった。

実はこの事件で利益を得たのはB・N・Fさんだけではない。同じように6億円の利益を上げたcisさんが御著書の中でその時の経緯を書いているから紹介したい。

この時、2ちやんねるを観ながらトレードしていたcisさんは何か重大な事件が起こった事を察知した。

『とてつもない売りがきた‼️』とみんなが騒いでいた。

このニュースを知って、cisさんがとった行動は、この売りが誤発注かどうか?確かめること。

cisさんはこの当時、証券会社の端末では発行済株式総数以上の数値を入力しても売りに出せてしまうことを、投資に関するホームページで読んだ事があり知っていた。

そこで、この61万株という途方もない売りが発行済株式総数以上であるか確かめようと、IPOのジェイコムのPDFを開いてみた。すると、61万株という数字は発行済株式総数のなんと約40倍であることがわかった。誤発注だと確信した。

ビッグチャンス‼️そう思った。

とりあえずありったけ買ってみようと決めた。

2ちやんねるの掲示板を見て、ここまでに要した時間、約20秒。

確認に時間を使ってしまったため、そこから手動で注文を入れたので、一刻も早く買わねば売りが取り消されてしまうんじゃないかと焦った。

パソコンのウインドウを次々に開いて、片っ端から500株ずつ買っていった。成り行き注文にはしないで直接値段を入れて買い漁った。

買えたのは、合計3300株。

買った直後には、ドキドキやワクワクがあったというより、どうやったらこの取引を無効にされないかということを全力で考えていた。

これが証券会社の誤発注だったとして、全部買われてしまえば、兆円レベルの損失になる。そんな額は払えっこないから、この取引は全て無効とされてしまうんじゃないか?それが一番怖かった。

買った10分後に最初のストップ高になったときには、もったいないことになる可能性も考えながら全てを売っ払ってしまった。

ずっと保有していて無効にされたら困るから・・

そこで生まれた数億円でみずほファイナンシャルグループと任天堂の株を売買した。

その後に出金予約の手続きをした。

鉄火場は最後にお金が自分の口座に入るまでが勝負。お金をつかむまでは安心できない。

大勝利になればなるほど、勝ったことに喜んで安心してはダメ。勝ちを確定させるための詰めの作業が大切になる。

大勝利ほどチャラにされやすい。

この事件に関して『なぜ、3300株のジェイコム株を持ち越さなかったのか?』『持ち越せばもっと利益が出たのに?』と良く言われる。

この質問にcisさんはこう答えている。

『同じ事件が100回起きたら、100回とも同じように行動するのではないかと思う。』

最後にcisさんのこの言葉でこのnoteを締めたいと思います。

もっとも魅力的なギャンブル、それは東証というカジノ・・(cis)

ポコ♪🐸🇯🇵🇯🇵🇯🇵

【参考文献】『一人の力で日経平均を動かせる男が書いた投資哲学』

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