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「ただ」なだけじゃない Free Lunch体験記 in Wisconsin

2006年~2007年、ウィスコンシン留学。
前回は、教会で組んでもらったホストファミリーに多大なお世話を受けた話しをした。

今回は「食事」について。
 

ミールプランを早々に解約する

留学してキャンパス内の寮に入った。
当初ミールプラン(月に一定回数、学食を利用できる定額プラン)を選択していたが、10日で解約を決意。
「学食がおいしくない」のもあるが、
「1食に5ドルも6ドルも使いたくない!」というのがメインの理由だった。
茶ぶどうはまあまあケチである。
 
朝はシリアル、昼は学食で4ドル以内、夜はインスタントラーメン。
野菜は野菜ジュース。
……これでいけるはずだ。(正気か)
 

スーパーで調達できるもの

スーパー(Walmart、Sentry)はキャンパスから歩いて7~8分。
リュックを背負って自転車で行く(借りもの)。

ご覧のとおり子ども用である

日清のMaruchan ramenがとてもお手頃価格だった。色んな味があったが、Oriental味(!?)が一番日本のラーメンっぽさがあった。醤油味、かな。
これに、日本から送ってもらった「ふえるわかめちゃん」を入れる。ふえるわかめちゃんは偉大。
ここにカット野菜も突っ込んだら栄養は十分だ。

タッパーに材料を全て入れてレンチンする

シリアルは日本の比ではないバラエティ。数種類をまぜて食べると面白そう。
牛乳が薄いのにはびびった。2%が最高、あと1.5と1%。
アメリカンは脂肪を気にするんだな……日本の3.5%牛乳とか見たら卒倒するかもしれない。
しかしあの食事(と歩かない生活)では牛乳だけ気にしても……
 
パンとチーズ、ハム。
ウィスコンシンはチーズの名産地で、低価格帯のスプレッドチーズでも味のバラエティは豊かだった。
パンにチーズとハムを乗せれば立派な食事である。

見渡す限りのチーズ 圧倒的な種類と物量

パスタも作った。
当然マ・〇ーの麺などはなく、微妙に「これじゃない感」のあるパスタができた。
パスタソースも試したが、結局日本から送ってもらったたらこソースが最高という結論に。

絶対にアルデンテではない様子 そしてきたない

米。日本の米とは少し印象が違うものの、米が売られていた。
ルームメイトの象印rice cookerを使わせてもらい、米を炊く。
日本から送ってもらった永谷園で食べるときもあれば、同じく海を渡ってきたカレールーでカレーを5日連続くらい食べることもあった。
(ルームメイトやお友だちにシェアもしたよ!)(最低限の社会性の主張)

こういうのがめちゃくちゃおいしかった お茶漬けとみそ汁は必須……

(※カレールーのアメリカ空輸にはコツがいる。
母からの最初の支援物資がダンボール箱で届いたとき、どうも一度開けられた形跡があり、いや~な予感がして中を見ると、ない、あるべきカレールーがない!
かわりに入っていたのは、肉の輸送禁止に関する英語のメモだった。
「カレー没収―――!?」
パッケージの写真に肉が写っていたのが、空港での抜き打ち検査で引っかかって没収されてしまったのだ……
このような憂き目にあって以来、外箱から出して送ってもらうことにし、無事届くようになった)

外箱から取りだされて無事にアメリカ潜入を果たしたカレールー(一番下)


親が見たら泣くようなレベルの自炊?生活だったが、さすがにそれだけで生きていたわけではない。
貧乏(というかケチ)学生には、強い味方がいた。
それも、複数。
 

①Tuesday Free Lunch for students

前回お話ししたMethodist Churchでは毎週火曜日、Free Lunch for Studentsを開催していた。
大学生を対象とした無料のランチが教会でふるまわれるのである。
支度してくれるのは教会員のおじさまおばさま方。
どうやら近隣の他の教会や、Sentryまで協力しているらしい。
最初、信じがたいと思った。こんな夢のようなことあっていいのか。
しかしこれは「キリストの無償の愛を体現する」活動らしく、
そう言われればなるほどであった。見返り、pay backを求めない愛。
腹をすかせた学生たちが、クリスチャンであろうとなかろうと、続々と教会へ入っていった。その数なんと、300~400人。もう6年やっているという。
そこで、私たちは学食の比ではない栄養価に富んだおいしい手作りのお昼ごはんをいただいた。
入り口でスタッフのおじさんと握手。私は歓迎されている、と感じる。
おなかも心も満たされるひとときであった。

フリーランチ時、教会のキッチンの様子

私は毎週欠かさず、フリーランチに出かけた。
それはもう授業以上に熱心に出席した。
シリアル・パン・インスタントラーメン・牛乳・野菜ジュースで生きていた私にとって、火曜のフリーランチは主たる栄養源であった。
 
年度末にはスタッフのおじさまおばさま方をねぎらう会があり、なぜか私が(教会員だったからだろうか)入り口で握手する仕事をつとめることに。
あんなに人と握手したのは初めてだったし、これからもないだろうな、と思った。
社交性が著しく低い茶ぶどうなのだが、ほんの数十分、顔見知りの穏やかなみなさんばかりだから楽しくやらせていただいた。

②Wednesday Free Pasta Supper

もう一件、「ただ食い」(言い方!!)の当てがあった。
毎週水曜日の夕方、学内のクリスチャン団体によるフリーパスタである。
こちらにも全出席を果たしたと記憶している。
 
小さな集会所のような場所で、世話人のトム(仮名)がミートボールをゆでている。
集まった学生たちは各自お皿に好きなだけパスタを盛り、ミートソースをかけ、トムにミートボールをよそってもらう。
これがまたおいしいのだった。
自分で作ったパスタは微妙だったが、ここで食べるミートボールパスタはおいしかった。
アップルパイ+バニラアイス、という「だーから太るんだよアメリカン!!」デザートが出たこともあった。
 
みんなそのへんに座って食べていた。アメリカでは珍しい?地べたリアンである。
ここには恰幅のいいビード神父(仮名)がいて、ものすごいあたたかい歓迎をしてくれるのだった。
たくさん学生が来るのに、私の名前を憶えてくれた(日本人が珍しかったのはあるかも)。
私の全存在を受け入れてくれている。そんなオーラを常に発していた。
神の愛を体現するってこういうことだ、と思った。
帰国前にハグしてもらって、一緒に写真を撮ったのは忘れないよい思い出である。
 
教員になるとき、本当はビードみたいになりたかった。
 
 
このように多くの愛により、茶ぶどうの健康的な食生活は守られたのである。
フリーランチ、フリーパスタがなければ、私の留学ライフはいかに「味気ない」ものとなっていただろうか。
 
私は基本的に一人楽しすぎるぜタイプだが、
誰かが自分のために食事を用意してくれる
というのは、人生において必要な経験だった。
そんな気がする。

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