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スクリーン「チラシ大全集」Part3感想 愛と青春の記憶。忍び寄るプレデターへの怨念

「チラシ大全集」感想第3弾。今回は80年代。今年続編が大ヒットの「トップガン」始め娯楽作に筋肉アクション、百花繚乱のアイドルがたくさん。ゴージャス感満載の年代と思います。

成龍はどこへ行った

この年代の人気筆頭はこの人。ジャッキー・チェン。初のベストテンは1980年。「バトルクリーク・ブロー」公開で5位に初登場から82年に1位。配給会社もジャッキーの売り込みに並々ならぬ気合を入れたようで公開時の予告編に出演していないブルース・リー師父の叫びを入れるという今やったらSNSでツッコまれそうな、だけど何としても「NEXTブルース・リー」として、世に売り出すんだという気迫が感じられる予告編となっている。

有名な時計台落下シーンなど、常に命懸けのスタントで公開ペースは10年で20作品以上。1986年の「サンダーアーム/龍兄虎弟」で頭蓋骨骨折の重傷から驚異の回復力で復帰する不死身ぶり。11年連続ベストテン達成と80年代MVP級の大活躍。ハリウッド進出も成功でアカデミー名誉賞と世界で愛されるスターとなった。近年は本人の立ち位置の影響か、新作が公開されない状態。ジャッキーがどんどん遠い所に行ってしまう今日この頃。

楽園は存在しない

1980年に「青い珊瑚礁」、82年に「パラダイス」と秘境を舞台にした美男美女2人きりの性の目覚めと愛を描いた作品が相次いで公開。男なら誰もが抱く夢。前者は地元の図書館にVHSがあったのだが遊泳シーンが全身モザイクで落胆した。後者は「午後のロードショー」で、まだお尻なら地上波で流せた頃、奇跡的に見れた。昔「ワイルド・ワイルド・ウエスト」で「ケビン・クラインって誰?」と調べたら「俺たちのフィービーを・・・」という内容が殆どで本当にみんな好きだったんだなとしみじみ。
そんな時代関係なく青少年は憧れるであろう2作公開から約30年後。男女裸の無人島サバイバル・リアリティーショー「THE NAKED」が日本上陸。木枝と珊瑚での足負傷は日常茶飯事。長距離沼地移動、尿道にも入るダニとの闘い、丸太落下事故、サメ接近。。甘い妄想を木端微塵に破壊する、映画のストーリーが命尽きる前の幻覚だったのではと思わせる程の過酷さに、楽園などないと渇を入れられた。

未来の消耗品軍団たち

将来のエクスペンダブルズとなるメンバーが続々と活躍。スタローンは1982年公開の「ランボー」が2作目の「怒りの脱出」から、ゴリゴリのアクション路線にシフトし、赤いハチマキ巻いて大暴れ。中国からは「少林寺」が登場。日本に初めて少林寺をクローズアップした今作からケイン・コスギ、滝沢秀明、みやぞんと日本からも多くの門下生を輩出。今年公開された4Kリマスター版で私も初鑑賞。リー・リンチェイ(男優5位)が初々しい。どこか牧歌的で、のどかな修行風景から一転「殺生はならぬ」の教えをガン無視した敵陣カチコミ何の鍛錬してないはずのヒロインがメチャクチャ強いというツッコミも野暮の痛快っぷり。ご年配の当時見ていた人たちがホクホクした感じで劇場を後にしていた。ハリソン・フォードは「スター・ウォーズ」3部作と並行して、インディ・ジョーンズ役をゲットで日本でも大当たり。1985年はオスカー候補「刑事ジョン・ブック/目撃者」で初の1位とジャンル問わず。ミレニアム・ファルコンを乗り回すかの如く、縦横無尽の活躍を見せる。

刻まれた刻印。怨念が産んだ怪物

一方のシリーズ主力メン、アーノルド・シュワルツェネッガーも作品が相次いで公開されたが、日本での人気はもう少し先で、この時点では共演者が目立つ格好に。1985年の「ターミネーター」はカイル・リース役のマイケル・ビーンが人気で最高順位は87年の2位。中学の理科室にある長机に彫刻刀で「マイケル・ビーン命」という文字があって、当時の人気をようやく認識できた。1986年はみんな大好き「コマンドー」。娘役のアリッサ・ミラノが88・89年2位。1987年は同じくみんな大好き「プレデター」。ベストテンには届かずもヒット。今作でスーツアクターを担当するはずが、制作側の都合で降板。プレデターになり損ねた男がいた。

ジャン・クロード・ヴァン・ダム。

マーシャルアーツの使い手という初期設定が、ボツになり降板。シュワに見舞うはずだった回し蹴りともうスーツなんて要らない。己の体だけで闘うんだと尻を出した男のアクション俳優記がここから始まる。

36年越しフライト。エモい共演

1986年は「トップガン」が作品1位。主演のトム・クルーズは男優ナンバーワンまたの名をBEST GUY(織田裕二ではない)に輝く。この年の女優部門1位がジェニファー・コネリーなので、86年作品・男優・女優ナンバーワンが揃い踏みしているのが今回公開の36年ぶり続編の「マーヴェリック」。当時を生きた映画ファンからすれば感涙必須モノな訳で。来年のベストテンは「トップガン」2度目の頂点もあるかに注目。

34分辺り。日本で流れていた当時のCMを見て赤面するジェニファー。

居場所

翌88年に男優ナンバーワンとなったのがミッキー・ローク。アウトロー的な男の色気も、突然のボクシング転向による猫パンチお披露目&整形で失墜。時が経ち、全盛期を過ぎたプロレスラーを演じた「レスラー」はこの人にしか演じられない位の役そのものだった。恥辱に塗れ、傷ついても変わらずにあった映画という居場所。オスカーノミネートで掴んだ授賞式の晴れ姿は感動的だった。その後、ボクシングに復帰したが。

ハブられるマクレーン

1989年。平成元年に「ダイ・ハード」が公開。シュワ&スライとは異なる、ボヤき・弱音を言いながらも頑張る中年おじさんの奮闘は作品部門3位と日本でもヒットしたがブルース・ウィリスはまさかのベストテン圏外。マクレーン本人も「クソッタレ!!チクショー!」と嘆くだろう不遇ぶり。

ずっと好きだった

そしてこの年代の映画女優たち。天皇陛下もファンだったブルック・シールズ(82年1位)、思春期男子ぶっ刺さりのフィービー・ケーツ(84年2位)、自然な年の重ね方が魅力のダイアン・レイン(1位獲得4回)、フランスの大女優になったソフィー・マルソー(82・83年1位)、オスカー女優になったジェニファー・コネリー、マーティのママで「ハワード・ザ・ダック」唯一の見所、リー・トンプソン(86年2位)、「もー、パパったら古いんだ」アリッサ・ミラノ。。下記のような上映会が出る程の偏愛と郷愁に満ちた憧れのヒロイン。

斉藤和義の「ずっと好きだった」をバックに往年のアイドルたちが出演した資生堂のCMを思い出す。モー娘。やAKBに興味が持てなかったけど、30後半になって洋画を通して皆さんの想いを理解できるとは。染みる。

総括

レンタルビデオ普及とCMの外タレ起用が増えて、馴染み深い作品と俳優が多いと思われるこの年代。特にスピルバーグ関連が凄い。シュワ&スライに筆頭に肉体派アクションも東西問わずに盛り上がっていくが、テレビゲームの出現とVFXの進化で徐々に陰りが。そんな中。彼らと競わず、代名詞の回し蹴りで初志貫徹。我道を突き進む男、ジャン・クロード・ヴァン・ダムの活躍が幕を開けるのもまた90年代。次回からはブラピ始め黄金の人気者たちの活躍と読者人気投票ベストテン無縁、裏番長ヴァン・ダムの活躍を同時並行で振り返ってみる。

ヴァン・ダムも実践する教え


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