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『復興建築 』アナザーストーリー#03|本当は載せたかったあの一枚


こんにちは。
一日一回、「まいごのっ まいごのっ こねこちぁん〜♪」動画を見てしまう編集Kです。
自律神経のバランスを整える何かがあの動画から放たれている。
すてきな歌をありがとう、ののかちゃん。

『復興建築 アナザーストーリー』では2020年12月に発売した『復興建築 モダン東京をたどる建物と暮らし』の中で紹介しきれなかった建物の魅力、紙幅の関係で載せきれなかった写真、溢るる思いをご紹介していきます。

今回は本当は掲載したかったけど、泣く泣く諦めた一枚を集めました。
集めてみると偶然にも建物を正面からとらえた“顔”ばかり。
平面的にもかっこいい建物ばかりです。

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写真:金子怜史
建築解説:藤沢うるう

P128-129/HARIO株式会社 本社(旧川崎貯蓄銀行富沢町支店)

【建築について】
竣工:昭和7(1932)年
設計:川崎貯蓄銀行建築課
住所:東京都中央区日本橋富沢町9-3

アカンサスの葉を飾った華麗な柱頭を持つコリント式オーダー(* 1 )が配置された、ネオルネサンス様式(* 2 )の銀行建築。
建物内には銀行時代の金庫が現存しているなどほとんど内装は変わっておらず、外観内観ともに銀行建築がもつ特有の重厚さを醸し出している。

* 1 :円柱の形式の一種。柱の上部にアカンサスをモチーフにした装飾があるオーダー

* 2 : 15世紀~17世紀にイタリアで生まれたルネサンス様式に基づきながら、各地の新しい建築技術・様式を織り交ぜて設計された建築。歴史主義建築のひとつ


【編集Kより】

美しい……美しいなぁ。東日本橋のオフィスビル街に突如と現れる荘厳な佇まい。そこに手前を歩くサラリーマンの日常的な一瞬が対比となってギャップに惹かれる一枚。

全体像もやっぱり美しい(『復興建築』P128掲載)

P156-157/東京中央郵便局



【建築について】
竣工:昭和8(1933)年
設計:吉田 鉄郎
住所:東京都千代田区丸の内2-7-2

関東大震災前に焼失した仮庁舎の設計中に震災が発生、新庁舎の再設計を行った。
白いタイル、曲面を用いた壁、広い窓とモダニズムの萌芽的な建築で、当時の世界的建築家ブルーノ・タウトも来日した際に高く評価したという。
2012年にJPタワー建設のため部分保存となるが郵便局部分や局長室が残る。


【編集Kより】
カメラマンの金子さんは「この建物は朝がきっときれいだと思う……」と言って朝早くから何枚もシャッターを切り、このAM9:00ちょうどの瞬間を納めてくれました。
ガラスの反射と後方ビルの傾斜のあるガラス壁が相まって、ずっと見ていると何だか時空が歪み出しそう。AM9:00になった瞬間に異世界に吸い込まれてしまうんじゃないかと思う一枚。

設計者は戦前の郵便・電信・電話局など「逓信建築」先駆者のひとり、の吉田 鉄郎(『復興建築』P156掲載)

P160/明治屋京橋ビル(旧東京明治屋ビル)


【建築情報】
竣工:昭和8(1933)年
設計:曾禰中條建築事務所
住所:東京都中央区京橋2-2-8

輸入商材を扱う明治屋の事務所兼店舗として建てられた。
華麗な装飾が随所に表現されたネオルネサンス様式は輸入商材を扱う明治屋の気品を感じさせる。
民間で初めて地下鉄駅と一体化して設計された現存最古の建築でもある。

【編集Kより】
このビル、ライティングが本当にきれいですよね……。東京駅のすぐそば、高密度なオフィスビル街にある明治屋京橋ビル。仕事終わりだろうか、それぞれの帰路につく人々、店へ訪れる人を、温かい灯りで送り迎えるこのビルの存在感を改めてとらえたような一枚。

なんだか日本じゃないみたい。(『復興建築』P160掲載)

P174/東京電力パワーグリッド 蔵前変電所


【建築について】
竣工:昭和8(1933)年
設計:不詳
住所:東京都台東区蔵前2-9-8

目立たないことを是とすることが多い変電所であるが、縦方向に並ぶシンプルな窓など古典様式を取り入れ銀行と見紛うような造形をしている。
現地で見ると大きな建物だが、威圧感を抑えるためにこのような意匠を施しているかもしれない。
建物に向かって左側上部に丸窓のアクセント。
現在も現役の変電所として使われている。

【編集Kより】
こんなに哀愁漂う変電所がありますか……。
閉ざされた扉の奥が気になります。シンプルなアイボリーの壁面に夕暮れのグラデーションが絵画のような一枚。

実は住宅街のすぐそばにあるんです。(『復興建築』P174掲載)

それでは次回をお楽しみに!


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